学資保険の特約は不必要!?保険料をムダにしない学資保険の選び方とは
学資保険には色々と特約を付けられる商品がありますが、どの特約が必要でどれが不要なのか、悩んでしまいますよね。
今回は、学資保険に付加できる特約が本当に必要なのかどうかについて考えてみます。
まず第一におさえておきたいのは、学資保険は基本的に教育資金の貯蓄のための保険ということ。
特約を付けた分だけ貯蓄性は減少してしまうので、付ける特約は最小限にしましょう。
学資保険の特約
そもそも、学資保険に付加できる特約にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、その特約を付加することによって、解約返戻金の保険料払込総額に対する割合(つまり、どれだけお金が増えるか)である返戻率はどれだけ下がるのでしょうか?
生命保険会社ごとに付加できる特約は違いますが、代表的なものを例に挙げてチェックしてみたいと思います。
※契約者は保険を契約する親、被保険者は学資を用意する対象の子どもです。
各表は <契約者(親):30歳男性・被保険者(子ども):0歳、被保険者が18歳のときに300万円の満期金(満期保険金)を受け取るプラン> として計算しています。
医療特約
被保険者(子ども)がけがや病気などになったときに、その程度に応じて保険金が支払われる特約です。
たとえばかんぽ生命の『はじめのかんぽ』には、医療特約『その日から』を付加することができ、子どもがけがや病気で入院したときに入院給付金、手術したときに手術給付金、長期入院になったときに一時金が支払われます。
災害特約と傷害特約
災害特約は不慮の事故で被保険者(子ども)が傷害を受けたときに、傷害の程度に応じて保険金が支払われる特約です。
傷害特約は災害保険をより拡大したもので、被保険者が不慮の事故や伝染病で死亡や高度傷害の状態になったときに保険金が支払われます。
上記のようにかんぽ生命の『はじめのかんぽ』には医療特約『その日から』を付加できますが、その上にさらに『災害特約』を付けることもできます。
返戻率は上記『その日から』を付加した98.4%をさらに下回ることになります。
育英年金特約
保険料払込期間中に契約者(親)に万一のことがあったときに、その時点から年金が受け取れる特約で、家族の大黒柱に先立たれたときの生活費を保障できます。
保険料払込免除特約
保険料払込期間中に契約者(親)に万一のことがあったときに、その時点から保険料の払い込みをせずに済む特約です。子どもが大学入学の時には満額の満期保険金が支払われます。
医療、災害、傷害の3つの特約が不要な理由
以上、5つの特約を挙げてきましたが、実は「医療、災害、傷害」の3つの特約は学資保険に付加する必要はきわめて少ないと考えられます。その理由をまとめてみました。
子どもが亡くなっても、経済的には困らない
保護者は、子どもが将来大学に入学するときの教育資金確保のために、学資保険に加入します。
なので子どもが死亡してしまったならば大学入学資金は必要ありません。
災害特約と傷害特約では子どもの死亡保障までついています。子どもの死亡は大変悲しい出来事ですが、そのときに保険金が支払われるのは本来の目的からそれていますよね。
子どもに対しては公的医療制度が充実している
大人は医療を受けたときに健康保険で窓口負担額が3割となります。
しかし子どもはそれに加えて、各自治体が設けている「乳幼児医療費助成制度」(小学校入学前)や「義務教育就学児医療費助成制度」(小学校入学後)という様々な制度により窓口負担が無料になるケースが多いのです。
たとえばさいたま市の場合は、親の所得に関係なく子どもが中学校を卒業するまで医療費は無料です。
自治体によって制度は異なるので、一度確認しておきましょう。
学資保険の医療特約は、医療保険に比べて保障内容が薄い
子どもでも、公的医療ではカバーしていない先進医療が必要となることはあります。
そのような事態に備えるのであれば、子どもでも医療保障が必要だという話になりますが、学資保険に付加できる医療特約では、そこまではカバーしていません。
やはり特約は本契約のオマケであって、医療特約の保障内容は、それ自体が目的の商品である医療保険には及ばないのです。
ほんとうに子どもの傷病に備えたいのであれば、医療特約ではなく、しっかりした医療保険を選ぶべきです。
返戻率が元本割れする
かんぽ生命の『はじめのかんぽ』に医療特約を付けると、上記のケースで返戻率が98.4%になり、100%を下回ってしまいました。
これは、子どもの学資を用意するため積み立てるつもりで支払った保険料の総額より、学資である満期保険金が少なくなるということです。
かんぽ生命以外にも学資保険に医療特約を設定している保険会社は数多くありますが、軒並み返戻率は100%を下回ります。貯蓄性を重視するなら、絶対に付けてはいけない特約です。
育英年金特約も不要
一家の大黒柱に万一のときには、収入が途絶えるために生活費の保障が必要なのは確かです。
でも、この保障額は子どもの育英資金(高校卒業までの学費)だけで考えるのではなく、一家全体の必要生活費に含めて考えた方がよいです。
子どもの親に万が一のことがあった場合は遺族年金や就学援助など、国による社会保障制度が整備されているのです。
育英年金は子どもが18歳に達したら保険金支払いが終わるのが一般的で、その後の生活費の保障はありません。
それらを総合的に考えるなら、契約者の死亡した後に年金として毎月数万~十数万円の保険金が支払われるような定期保険を、必要な分だけ検討した方が合理的です。
保険料払込免除特約は検討の価値あり
現在では各生命保険会社の主力商品には、この特約が最初からついています。
保険料払込期間中に契約者に万一のことがあったなら、それ以後の支出はなるべく抑えたいものです。
学歴には子どもの将来がかかっています。どんなことがあっても、学資が保障されているということは、親にとってこの上なく安心ですよね。
また、下でもう一度第一生命の学資保険の返戻率を確認してみましょう。
保険料払込免除特約をつけても返戻率は100%を上回っており、貯蓄性もそれほど損なわれませんよね。
特約なし | 特約あり | 差 | |
---|---|---|---|
月額保険料 | 12971円 | 13289円 | 318円 |
返戻率 | 107.1% | 104.5% | 2.6% |
貯蓄性を重視するなら
貯蓄性を重視するなら、なるべく特約は付けない方が良いです。
さらに言うなら、諸々の特約をそもそも選択肢として設定していない生命保険会社の方が、高い返戻率の学資保険を販売しています。
アフラックの『みらいのつばさ』の返戻率は10歳払い済みで110.8%、ソニー生命の『学資保険スクエアⅡ型』の返戻率は109.1%+配当となっています。
どちらも保険料払込免除特約がついています。
これまで例に挙げてきた生命保険会社よりも返戻率が高いですよね。
また、貯蓄性にのみ焦点を当てるなら、学資保険ではなく、親の終身保険で学資を準備するという手もあります。
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どの保険を選ぶにしても、学資保険加入の本来の目的を見失わないように気をつけましょうね!