老後資金の貯め方と退職後の生命保険見直しについて
厚生労働省の発表によると、2015年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳、女性が87.05歳となりました。
平均寿命は年々伸びており、こうなると、不安なのが老後の生活設計です。
退職後の収入は現役時代に比べるとかなり少なくなってしまうため、老後のための準備は早い段階から進めておかなければなりません。
今回は、保険を使った老後生活の準備について、徹底的に解説します!
老後資金はいくら必要?資金計画を考えてみよう
生命保険文化センターが行った意識調査『生活保障に関する調査』(平成25年度)によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考える最低日常生活費は、平均22.0万円となっています。
ですが、この22.0万円はあくまで最低必要な金額にすぎません。
同調査では、ゆとりある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額についてもアンケートをとっています。
その平均値は13.4万円。
確かに、旅行や趣味に支出したり孫にお小遣いをあげたりというのは、老後生活においてかけがえのないことですよね。
そのような老後生活のために必要な「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」の合計は毎月平均35.4万円なのです。
ところで、私のお給料から毎月社会保険料が天引きされていますが、年金でその「ゆたかな老後」は手に入らないんですか?
「ゆたかな老後」の準備には、それだけじゃちと不足なんじゃ。
公的年金で賄えるのはいくら?
日本年金機構によると、国民年金保険料を25年以上納付した人には、65歳から老齢基礎年金が支給されます。
国民年金の年金額全額は78万100円。
夫婦合計だと156万200円
になります。
ただしこれは国民年金の加入可能年数である40年間(20歳から40歳になるまで)保険料を休まず納付し続けた場合で、免除を受けたことがある人は、その月数に応じて年金額が減額されます。
つまり、国民年金の夫婦合計年金額は156万200円÷12か月≒月額13万円。
「ゆとりある老後」に必要な35.4万円と、国民年金で受給できる約13万円との間には、実に22.4万円もの開きがあるのです。
また、最低必要な生活費とも約9万円開きがあります。
会社員や公務員なら老齢基礎年金(いわゆる1階部分)の上に老齢厚生年金(2階部分)が積み重なり、より手厚い年金を受け取ることができますが、月額22.4万円(最低でも9万円)、年額にして268.8万円(最低でも108万円)という金額が、老後のために準備しておかなければならない金額なのです。
60歳からの余命を25年間と仮定すると、
- 「ゆとりある老後」のために必要な資金:268.8万円×25年間=6720万円
- 「最低必要な生活費」のために必要な資金:108万円×25年間=2700万円
また、定年退職する人が多い60歳から、老齢年金の受給開始年齢である65歳までには5年間の開きがあります(繰り上げ受給/繰り下げ受給をしない場合)。
今後は老齢年金受給開始年齢が段階的に引き上げられると見込みですので、これから老後を迎える人はよりいっそうしっかりと老後にむけて資産形成しておく必要があるのです。
自分で貯めておかなければならない資金
積立定期預金、個人向け国債、積立投資信託、株式投資、確定拠出年金なんて方法もありますが…。
じゃが、保険商品の中にも、資産形成にはピッタリのものがあるぞい。
保険ならではのメリットもあるから、資産形成の方法に加えてみてはどうかのう。
保険商品に共通する資産形成上のメリット・デメリット
生命保険会社が販売する保険商品の中には、「貯蓄型保険」と呼ばれる、貯蓄性の高い保険が存在します。
保険による資産形成には、以下のようなメリットがあります。
- 定期預金よりも高利率で運用できる。
- 途中解約しなければ元本割れしない。
- 保険なので、万一の時の保障を得ながら資産形成ができる。
- 生命保険料控除という年間最大4万円の所得控除が受けられ、所得税と個人住民税をの節税効果がある。
一方、以下のようなデメリットもあります。
- 元本割れリスクがある投資商品(投資信託や株式投資など)に比べて、利回りが低い。
- 長い契約期間中、予定利率(利回り)が変わらないので、インフレリスク(物価上昇リスク)に弱い。
- 途中解約した場合、元本割れが起こる。
まとめると、途中解約で元本割れしてしまうので短期投資には向かない、また株式投資のように短期投資で大きな利益も生まないが、所得控除制度もあるので長期間安定して資産を増やしたいのであれば、うってつけの資産形成方法なのです。
それでは、代表的な貯蓄型保険をご紹介しましょう。
貯蓄型保険の代表格「終身保険」特に「低解約返戻金型終身保険」
終身保険とは、その名の通り保険期間が終身すなわち一生涯続く生命保険です。
ですから、生命保険会社は必ず発生する保険金支払いのため、責任準備金と呼ばれるお金を運用しながら積み立てており、払込期間終了後には高額な解約返戻金が受取れるのが終身保険の最大の特徴なのです。
保険料払込期間を55歳または60歳にして終身保険を契約し、以後自由なタイミングで解約することで、老後資金を用意することができます。
また現在は「低解約返戻金型終身保険」と呼ばれる、保険料払込期間中の解約返戻金を抑えて、その分それ以後の解約返戻金を増額するという、より貯蓄性を高めた商品が終身保険商品の主流になっています。
終身保険の最大のデメリットは早期解約時の元本割れですので、手を付ける心配のない余裕資金での運用を心がけたいですね。
老後に年金形式で受け取る「個人年金保険」
個人年金保険はその名の通り、年金を積み立てるための保険です。
例えば毎月1万円のように保険料を積み立てることで、60歳から10年間など年金を受け取ることができます。
この積立期間中は、保険会社が将来の年金支払いに備えて準備金を運用してくれているので、運用されて増えた年金を受け取ることができるのです。
ですが、契約者に万一のことがあっても保険金はそれまでの支払保険料相当額にとどまるので、死亡保障を用意するには向かないというデメリットがあります。
また、やはり途中解約すると返戻率は100%を大きく下回ることになるので、注意が必要です。
より高い利回りを求めるなら「外貨建て保険」
保険による資産形成で、より高いリターンを得ようとするのであれば、外貨建て保険を選んでみても良いでしょう。
外貨建て保険とは、その名の通り、日本円ではなく外貨で運用する生命保険のことです。
アメリカやオーストラリアは、依然として日本より高金利ですので、米国ドルや豪州ドル建ての保険では、より高い利回りを得られます。
ただし、その高いリターンはあくまでも外貨ベースでのことで、解約時の為替相場次第では、外貨ベースの資産が増えていても日本円にすると元本割れしているという事態もあり得ます。
高いリターンの代わりに為替変動リスクを負うというのが、外貨建て保険の注意点です。
退職後に考えたい生命保険の見直しポイント
とはいえ博士、やっぱり老後は収入が限られるだけに、生活費は圧縮したいです。
最後に何か、良い方法を教えてくださいよ!
職業生活をリタイアして老後に突入するというのは、結婚や出産に匹敵する人生のターニングポイントです。
保険見直しで不要な保険をカットすることで、保険料支出を抑え、少しでも「ゆたかな老後」を実現できる家計に近づけたいものですね。
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老後に医療保障は必要か
まずは、医療保険から検討してみましょう。
現役時代には、入院費や手術費に加えて、病気やけがで働けない間の保障として、医療保険に加入していたかもしれません。
しかし、老後の主な収入源は老齢年金ですので、収入を補てんするための医療保障はもはや不要だと言えるでしょう。
また、70歳以上なら健康保険によって医療費の窓口負担額は3割から2割へ縮小されますし、依然として高額療養費制度も使えます。
ですから、医療保障は大幅にカット、保険料が負担になるようならすべて解約することも検討してみましょう。
低解約払戻金型終身保険を、他の保障へ移行させる
老後だからこそ、身体のことは心配。
だからこそ医療保障や介護保障が欲しい、だけど保険料負担は抑えたいという方には、こんな選択もあります。
一部の低解約払戻金型終身保険の中には、保険料支払期間満了前後に終身死亡保障を介護保障や医療保障に移行させることができるものがあります。
例えばAIG富士生命の終身保険『E-終身』は、保険料支払いを終えた後であれば「死亡保障コース」から「年金コース」「介護年金コース」に移行することが可能で、これなら介護や年金の保障を維持し続けることができます。
ただし、こういった特徴のある保険は多くの生命保険会社が販売しているわけではないので、そもそもの加入時に注意して選択しましょう。
まとめ
- 老後の生活費は、公的年金だけでは不足するので、自分で資産形成する必要がある。
- 貯蓄型保険は長期運用に向くので、老後の資産形成に大活躍する。
- 貯蓄型保険には、「(低解約払戻金型)終身保険」「個人年金保険」「外貨建て保険」などがある。
- 老後に突入するタイミングで保険見直しをして、不要な保険料を抑えよう。
これはインパクトが強かったですね…。
私も今から準備しておかないと。
「おひとりさま」じゃと年金額は半分、かといって生活コストは半分という訳にはいかんから、もっと苦しいのう。
未婚はリスクなのじゃ…。