医療保険にも解約返戻金があるの?貯蓄ができる終身医療保険とは?

最近では医療保険を解約したときに解約返戻金が支払われない、いわゆる「掛け捨て」の医療保険が人気になっています。

掛け捨ての保険は貯蓄型保険に比べて月々の保険料支払額が安く済むというメリットがあるため人気なのですが、それでも「払った保険料が少しでも戻ってきて欲しい」という思いがある人もきっと少なくないですよね。

そこで今回は、終身医療保険の解約返戻金の仕組みや貯蓄ができる終身医療保険をご紹介していきます。

医療保険の「解約返戻金」って、どんなもの?

本来保険を解約したときには解約返戻金と呼ばれるお金が払い戻されます。

最近ではこの「解約返戻金」を低く抑えるか、まったくゼロにする医療保険が主流となっていて、解約返戻金がある医療保険はほとんど販売されていません。

現在でも〈解約返戻金を低く抑えたタイプ〉〈解約返戻金があるタイプ〉との両方を販売しているソニー生命を例に、医療保険の解約返戻金について解説します。

解約返戻金を低く抑えたタイプ[低解約返戻金特則付総合医療保険(無配当)]

月額保険料:3,845円(35歳男性、保険料払込は60歳まで、保険期間は終身)

保障金額備考
入院給付金日額5,000円入院5日目から1入院につき360日を限度に支払い
手術給付金1回につき5~20万円手術の種類による
死亡給付金5万円
解約返戻金5万円60歳以降に解約した場合のみ支払われる

こちらの〈解約返戻金を低く抑えたタイプ〉の医療保険では、60歳以降まで保険を続けた場合のみ5万円が支払われます。月額保険料は3845円。

解約返戻金があるタイプ[総合医療保険(無配当)]

月額保険料:6380円(35歳男性、保険料払込は60歳まで、保険期間は終身)

保障金額備考
入院給付金日額5,000円入院5日目から1入院につき360日を限度に支払い
手術給付金1回につき5~20万円手術の種類による
死亡給付金50万円ただし解約返戻金が50万円を上回る場合は、解約返戻金と同額となる
解約返戻金払込済み保険料合計の70%前後詳細は下の表

※解約返戻金・返戻率の詳細(保険料払込は60歳時点で終了)

経過年数年齢払込保険料累計解約返戻金額差額返戻率
10年45歳76万5,600円52万9,865円23万5,735円69.2%
20年55歳153万1,200円112万1,990円40万9,210円73.2%
30年65歳191万4,000円144万9,215円46万4,785円75.7%
40年75歳191万4,000円138万5,400円52万8,600円72.3%

〈解約返戻金があるタイプ〉の医療保険では、いつでも解約したときにそれまで払い混んでいた保険料の70%が戻ってくることになります。

解約返戻金額は保険加入からわずか10年で約53万円、20年経てば110万円を超えた額が戻ります。月額保険料は6380円。

解約返戻金があると保険料が高額に!

第一に注目してほしいのは、〈解約返戻金があるタイプ〉の方が〈解約返戻金を低く抑えたタイプ〉よりも、圧倒的に保険料が高くなるということです。

月額保険料を比べると、〈解約返戻金を低く抑えたタイプ〉では3,485円で済むのに、〈解約返戻金があるタイプ〉では6,380円と約2倍近く高くなります。

解約返戻金を抑えることによって保険料が下がり、月々の家計に与える負担が軽くなることが分かります。

また、入院や手術に関する保障は高齢になるにつれ必要度が増していきます。それに医療保険には

  • 契約時の年齢が高くなるほど保険料が割高になる
  • 年を重ね持病をもつと加入できないこともある

という特長があります。

なので、終身医療保険を解約する人は少なく、実は解約返戻金の存在はあまりありがたがられません。

このため保険各社では、解約返戻金のない、掛け捨ての終身医療保険が主流となっているのです。

解約金ありの医療保険は死亡時に解約返戻金が支払われる

次に注目してほしいのは、〈解約返戻金があるタイプ〉では解約返戻金額と死亡保険金額が同額となっていることです。

死亡後は医療保障が必要なくなるので、自動的に解約と考えれば良いでしょう。

もちろん、解約返戻金の受取人は契約者本人ですが、死亡給付金の受取人は遺族となるという違いはあります。

なお、オリックス生命の『リリーフW』のように、死亡給付金があっても解約返戻金はない医療保険もあるので、注意しましょう。

このため〈解約返戻金があるタイプ〉の需要は、

  • 医療保障を捨ててでも、まとまった金額を用意する必要がある
  • 終身医療保障を得るとともに、遺族にまとまった金額を遺したい

という2つの場合に限られます。

解約返戻金は、ほとんどの場合非課税

なお、解約返戻金は税制上「一時所得」として扱われるので、解約返戻金額が払込保険料累計を50万円以上超えない限り(すなわち50万円以上プラスにならない限り)、税金はかかりません。

ソニー生命の場合は、どの場合でも解約返戻金額の方が払込保険料総額より少ないので、非課税になるということですね。

常識的な金額で医療保険に加入しているなら、返戻率が100%を大きく上回らない場合は非課税と考えて良いでしょう。

貯蓄のできるおすすめ医療保険

終身医療保険を解約することによって医療保障を捨ててしまうのは、解約返戻金が受けとれるとあっても、あまりおすすめできません。

しかし、ずっと掛け捨てで保険料を払い続けるのはとってももったいない…と感じることもありますよね。

なので、ここからは【一定の年齢に達したらそれまで支払った保険料が戻ってくる。しかも保障はずっと続く】という一風変わった終身医療保険をご紹介します。

    メディカルKit R(東京海上日動あんしん生命)
    保険料:2,880円(30歳男性、終身払いの場合)
    60歳(もしくは70歳)に達したとき、それまでの保険料支払累計から、それまでに受け取った給付金を差し引いた全額が「健康還付金」として戻ってくる医療保険です。

    つまり、この時点まで生存しておりさえすれば、この時点で保険料は100%返ってくることになります。なお、その後も一生涯の医療保障が、加入時の保険料のまま(増額されず)続きます。

    [macth url=”https://www.money-book.jp/3402″]

    リターンズ(メットライフ生命)
    保険料:7,404円(30歳男性、60歳払込満了の場合)
    入院や手術のときに給付金が支払われるだけではなく、5年ごとに連続5日以上の入院をしなかった際に「健康ボーナス」として健康祝金が受け取れます。

    そして契約時に決定される年齢に達したときに生存していたら、それまでの保険料支払累計から、それまでに受け取った健康ボーナス・給付金を差し引いた全額が「リターンボーナス」として支払われます。つまり、この時点で保険料は100%返ってきます。

    そのうえ、リターンボーナス受け取りと同時に保険料の払い込みが満了となるので、その後は保険料の払い込みなく、一生涯にわたって保障が続きます。

最近は保険会社各社で、終身医療保険については月額保険料の安さで競争しています。

このため、保険料が割高となる貯蓄性の高い(掛け捨てではない)商品は、あまり多くありません。

しかし、それでも掛け捨てには抵抗があるという方には、上記のような60歳や70歳などの時点でそれまでの払込保険料全額が返ってくる保険商品がおすすめです。

この場合は解約しなくて済むので、その後も一生涯保障が続くのもポイントとなります。


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