学資保険の満期金には税金がかかるの?

学資保険に加入すると「生命保険料控除」っていう制度のおかげで払込んだ保険料に応じて税金の負担が軽減されるんですよね。
でも、学資保険の祝金や満期保険金を受け取るときには逆に税金がかかるって聞いたんですが、それって本当ですか!?
銀行に預けておくより学資保険で積み立てていった方が得だと思ったけど、税金取られるんだったらあんまり意味がないのでは…。
確かに、祝金や満期保険金として受け取るお金は課税対象になるが、通常の加入方法では実際に税金がかかるケースは稀なのじゃ。
 
ただ、「高額な保険契約」や「契約者と保険金受取人が違う」場合には税金を支払わなければならなくなる可能性もある。
どんな条件で税金を支払わなければならなくなるのか、加入してから後悔しないよう、説明しておこうかのう。

保険の「契約者と受取人」を誰にするかでかかる税金が変わる!

学資保険に加入する際は、保険の契約者(お金を支払う人)・被保険者・保険金の受取人をそれぞれ設定します。

学資保険なので被保険者はかならず「子ども」になりますが、契約者と受取人を誰に設定するかでかかる税金が変わります。

契約者と受取人が同じ人物
=「所得税」の対象
・・・税金がかかる可能性が低い

契約者と受取人が違う人物
=「贈与税」の対象
・・・税金がかかる可能性が高い!

多くの家庭では、契約者は子どもの父親か母親となるはずです。

その場合、受取人は子どもではなく父親か母親に設定しておけば、保険金の税金がかかる可能性はほどんどなくなります。

契約者が旦那さんの場合は、受取人も旦那さんに設定しておけば税金の心配はほとんどないってことですね!
その通り!ただし、契約者と受取人が同じ場合でも、高額な学資保険の契約をするときだけは所得税がかかる可能性があることも確認しておかんとな。

学資保険の祝い金や満期保険金などは所得税の一時所得として課税対象

契約者と受取人が同じ人物の場合は所得税の中の「一時所得」という分類で課税対象となりますが、実際に税金の支払いが発生するのは高額な保険契約を結んでいた場合のみになります。

受取保険金が課税対象になるかどうかは、こちらの式にあてはめて計算して確認ができます。

一時所得の場合の計算式
(受け取った保険金 – 支払った保険料 – 特別控除50万円)÷ 2

ちなみに、一時所得として扱われるのは、学資保険の祝い金や満期金以外にも以下のものがあります。

  • 生命保険の死亡保険金、解約返戻金、満期保険金
  • 自動車保険(自賠責保険)や火災保険の満期返戻金
  • 懸賞や福引の賞金品
  • 競馬や競輪の払戻金

複数の保険の満期保険金を受け取った場合

例えば、学資保険の満期保険金を受け取る年に、養老保険の満期保険金の受け取りもある場合は、両方の満期保険金の合計から両方の払込保険料の合計をマイナスします。

〈保険内容〉
学資保険:満期保険金=100万円 払込保険料=92万6千円
養老保険:満期保険金=100万円 払込保険料=150万円

    ((100万円+100万円)-(92万6千円+150万円)-50万円)÷2=-46万3千円

満期保険金よりも払込保険料が多く、利益がマイナスになると所得ゼロ扱いになるので、この場合は満期保険金には税金はかかりません。

学資保険も養老保険も、満期保険金が100万円程度の保険だったら税金の心配をする必要はないってことか!じゃあ、実際にいくらくらいの保険から税金がかかってくるんですか?
現在販売中の学資保険だと、だいたい満期保険金が600万円くらいの金額のものから税金がかかってくる。だが一般的には300~400万円の満期保険金が受け取れる学資保険に加入する人が多いから、「学資保険ではほとんどの場合は税金がかからない」と言われているのじゃ。
 
満期保険金が600万円の学資保険というと、月々25,500円程度の保険料を18年間ずっと払い続ける計算になるからの。
確かに、そんなに大きい金額の学資保険には入る余裕のある家庭って少なそうですね・・・。
保険料の負担で無理しすぎて保険料貧乏になったら本末転倒じゃからな。
でも念のため、高額な満期保険金の学資保険に加入する場合に税金を払わなくても良くなる方法を解説しておこうかのう。

高額な学資保険でも税金を払わなくて良くなる方法

学資保険で高額な満期保険金を受け取りたい場合、世帯主1人が契約者になったのでは課税される所得が多くなって税金がかかってしまいますね。

その場合は、保険を分割し、世帯主と配偶者がそれぞれ契約者になる契約を2つ持てば税金を払わなくて済みます。

たとえば、満期保険金が800万円受け取れる保険に加入したい場合、世帯主と配偶者で400万円ずつの契約に分割します。満期保険金が400万円の学資保険では税金の心配をする必要はほとんどありません。

学資保険で保険料を支払う人と学資金を受け取る人が異なる場合

そういえば、うちの姉の旦那さんのお義父さんが「孫が産まれたら学資保険に入りたい」って言ってくれてるらしいんですが、この場合は契約者=お義父さん、受取人=旦那(子どもの父)となるわけだから…「贈与税」っていうのがかかってくるんですか?
そうじゃ、学資保険金の受け取りに関わる贈与税についても説明しておかんとな。

保険料の支払人である契約者が祖父母で、満期保険金の受取人が子どもの親の場合は、契約者と受取人が異なるので、贈与税の対象になります。

課税対象になる額は、以下の式で計算できます。

1年間に受け取った学資保険金 – 110万円 = 課税対象額
※110万円引いているのは贈与税の控除額。金額に関わらず1年に110万円まで。

たとえば、学資保険金として200万円受け取れる学資保険に加入した場合、

200万円-110万円=90万円(課税対象額)

課税対象額が200万円以下の場合の税率は10%なので、

90万円×10%=9万円

9万円が贈与税として課税されることになります。

契約者と受取人が同じ場合は高額な学資保険じゃないと実際には税金がかからないのに、契約者と受取人が違うと学資保険金の受け取りが200万円程度でも課税されちゃうんですね。
そうなのじゃ。ただこの場合には、契約者が祖父母ならば学資保険金の受取人も祖父母に設定すればOK。契約者=受取人であれば、贈与にはあたらないからの。
 
最後に、もし受け取る保険金に税金がかかってしまう場合の確定申告の方法についても説明しておこう。

確定申告について

保険金の受け取りに所得税や贈与税がかかってしまうときは、確定申告が必要です。

通常は、生命保険会社から確定申告するように通知の郵便物が届きます。

もし届かなくても、所得税の場合は保険金を受け取った翌年の2月16日~3月15日までの1か月間に、
贈与税に相当する場合は同じ翌年の2月1日~3月15日までに確定申告することが必要です。

この時期は自営業の人が確定申告に来たり、高額な医療費がかかった人が医療費控除を受けに来たりで税務署は混雑するので、早めに行った方が良いでしょう。

確定申告しなかった場合

確定申告しなかった場合、追徴課税という制度により「本来払うべきだった税金」+「税を滞納した分の課税」がされるので、必ず忘れずに確定申告しましょう。

学資保険の保険金を受け取ったことは保険会社から税務署に筒抜けと思っておいた方がいいです。

同じ保険契約でも、契約者や受取人の設定などの加入方法を工夫すれば、余計な税金を払わなくても良くなる。
学資保険のメインの目的は「教育費の貯蓄」にあるのだから、少しでもムダなく加入できるように申込時点で考えておくのじゃよ!

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