【若年女性のお金事情】20代独身女性の約6割が「生活が苦しい」と回答
- 「働き方改革」や「女性活躍推進法」の施行により、若者や女性の雇用安定と活躍しやすい職場環境への支援が進む中、いまだ非正規雇用や低所得に悩む若年女性も多く、“女性の貧困化”が問題視されていることも事実です。
若年女性が抱えるお金の悩みと苦労を探るべく、エフピーウーマン山本麗子氏監修のもと全国の20代独身女性350人を対象に生活収支調査を実施し、月々の生活費に関する実態を明らかにしました。
調査回答者の属性
- 婚姻歴:なし95.7%/あり(離婚・死別)4.3%
- 子供の有無:子供なし96.3%/子供あり3.7%
- 最終学歴:高校中退0.9%/高校卒業22.6%/専門学校中退1.4%/専門学校卒業16.0%/短大・高専中退1.4%/短大・高専卒業6.6%/大学中退1.7%/大学卒業46.6%/大学院卒業2.9%
- 雇用形態:正社員61.1%/契約社員・嘱託社員3.1%/派遣労働者4.3%/パート・アルバイト18.9%/業務委託契約1.1%/学生6.6%/無職4.9%
- 居住形態:実家42.3%/持ち家(マンション)1.4%/賃貸(戸建て)0.9%/賃貸(マンション)26.9%/賃貸(アパート)22.3%/社宅・寮4.3%/シェアハウス2.0%
調査1:ひと月あたりの収入額(※複数収入がある場合は総額)
全国20代独身女性350人を対象に生活収支に関する調査を実施したところ、ひと月あたりの収入額は以下の通りで、最も割合の多かった回答が「20万円以上~23万円未満」20.3%、次いで「18万円以上~20万円未満」16.9%であり、平均値173,325円、中央値180,000円という結果でした。
今回の調査では無職の回答者が4.9%いることから月収0円という回答もみられ、収入には大きな開きが生じています。
ひと月あたりの収入(総額)
0~1万円未満 | 1.4% |
1万円以上~5万円未満 | 2.9% |
5万円以上~10万円未満 | 10.3% |
10万円以上~15万円未満 | 13.4% |
15万円以上~18万円未満 | 16.0% |
18万円以上~20万円未満 | 16.9% |
20万円以上~23万円未満 | 20.3% |
23万円以上~25万円未満 | 5.7% |
25万円以上~30万円未満 | 9.4% |
30万円以上 | 3.7% |
調査2-1:仕事・収入の内容
仕事・収入の内容については、「オフィス系(公務・営業・企画・事務・受付・データ入力 等)」が204件(33.4%)と最も多く、次いで「サービス系(販売員・レジ・オペレーター 等)」81件(13.3%)、「在宅系(データ入力・モニター 等)」58件(9.5%)と上位3項目で全体の半分以上を占める結果です。
仕事・収入の内容(一部)
オフィス系(公務・営業・企画・事務・受付・データ入力 等) | 204件 |
サービス系(販売員・レジ・オペレーター 等) | 81件 |
在宅系(データ入力・モニター 等) | 58件 |
飲食系(調理師・ホールスタッフ・バーテンダー 等) | 56件 |
医療・専門系(医療・薬剤・介護・福祉・栄養士 等) | 44件 |
美容系(美容師・エステティシャン・ネイリスト 等) | 27件 |
工場系(製造・物流・品質管理 等) | 26件 |
水商売系(キャバクラ・ラウンジ・ガールズバー 等) | 20件 |
教育系(教師・塾講師・家庭教師・保育士 等) | 15件 |
調査2-2:副業・掛け持ち労働の有無
副業・掛け持ち労働の有無に関する調査では「副業・掛け持ち労働なし」63.4%、「副業・掛け持ち労働あり」36.6%と3人に1人以上が副業・掛け持ち労働をしていることが明らかになりました。
「副業・掛け持ち労働をしている」と回答した人の内、仕事・収入源の数は、「2つ」85.9%、「3つ」10.2%、「4つ」3.9%で平均仕事数は2.18という結果です。
「副業・掛け持ち労働あり」と回答した36.6%は、同業種で複数掛け持ち労働をする人の他、異業種やSNSを使ったメディア系を収入源として選択している人もみられ、幅広い仕事・収入内容であることが明らかになりました。
一方で、調査対象者の約3割はパートタイムなど正社員ではない雇用のもとで働いていることや、3人に1人以上が副業・掛け持ち労働をしていることを見ると、複数の仕事を持つことで低収入をカバーすることが必要であると考えられます。
調査3:ひと月あたりの支出額(ローン等を含む総額)
ひと月あたりの支出額について最も割合の多かった回答が「10万円以上~15万円未満」28.6%で、その他5万円以上~23万円未満の回答まで大きな差はなく、平均値143,685円、中央値143,000円という結果でした。
ひと月あたりの支出額
1万円未満 | 1.4% |
1万円以上~5万円未満 | 5.1% |
5万円以上~10万円未満 | 19.1% |
10万円以上~15万円未満 | 28.6% |
15万円以上~18万円未満 | 12.3% |
18万円以上~20万円未満 | 12.3% |
20万円以上~23万円未満 | 13.7% |
23万円以上~30万円未満 | 5.1% |
30万円以上 | 2.3% |
支出額の内訳については以下の通りで、実家暮らしが42.3%いることもあり食費の平均値は2万円以下でした。また、支出割合の高い家賃に関しては、本調査の回答にて最低額9,000円~最高額115,000円と大きな差があり、社宅・寮やシェアハウスで出費を抑えている傾向もみられました。
さらに、「ローン・奨学金」については64人が選択回答しており、平均値21,656円、中央値15,000円と支出項目の中で大きな割合であることがわかりました。
ひと月あたりの支出内訳
家賃 | |||
水道光熱費 | |||
通信費 | |||
交通費・車両費 | |||
年金・保険料(義務・任意) | |||
食費 | |||
日用品費 | |||
衣服費 | |||
美容費 | |||
医療費 | |||
交際費 | |||
趣味・娯楽費 | |||
子ども費 | |||
ローン・奨学金 | |||
雑費 |
生活費以外では「ローンや奨学金返済」が平均値21,656円、中央値15,000円と目立ちます。長ければ20年近く続く支出ですから通信費やその他費目を節約し、こまめに繰上げ返済して早期完済を目指してみましょう。
調査4-1:ひと月あたりの収支額(赤字・黒字額)
月収入額から月支出額を引いた収支額については、全体の21.1%が赤字(マイナス)収支、14.6%が分岐、64.3%が黒字(プラス)という結果でした。
最も割合の多かった回答が「黒字5万円以上~10万円未満」24.0%であり、月間収支の平均値は黒字29,640円、中央値は黒字24,000円でした。
ひと月あたりの収支額
赤字10万円以上 | 1.4% |
赤字5万円以上~10万円未満 | 2.3% |
赤字3万円以上~5万円未満 | 2.3% |
赤字1万円以上~3万円未満 | 10.9% |
赤字1万円未満 | 4.3% |
分岐0円以上~1万円未満 | 14.6% |
黒字1万円以上~3万円未満 | 18.3% |
黒字3万円以上~5万円未満 | 11.7% |
黒字5万円以上~10万円未満 | 24.0% |
黒字10万円以上~15万円未満 | 8.0% |
黒字15万円以上 | 2.3% |
調査4-2:お金のやりくりについて
前項(調査4-1)にて、黒字または赤字収支の際のお金のやりくりについてそれぞれの対象者に調査したところ、余ったお金(黒字)場合の1位は「貯金する」73.6%で、足りないお金(赤字)場合の1位は「食費を削る」29.6%でした。
余ったお金(黒字)場合の2位以降は「趣味・娯楽費に回す」13.0%、「衣料費に回す」5.4%と続くも、1位の貯金と2位には5.6倍もの開きがあり、20代独身女性でも将来に備えて堅実な姿勢が伺える結果となりました。
また、足りないお金(赤字)場合の2位以降に関しては「生活費(その他)を削る」18.7%、「不要品を売る」16.5%と続き、「支払滞納する」「お金を借りる(消費者金融)」といった切実な生活実態も明らかになりました。
余る(黒字)の場合
貯金する | 73.6% |
趣味・娯楽費に回す | 13.0% |
衣料費に回す | 5.4% |
美容代に回す | 5.4% |
食費に回す | 2.5% |
足りない(赤字)の場合
生活費を削る(食費) | 29.6% |
生活費を削る(その他) | 18.7% |
不要品を売る | 16.5% |
仕事を増やす | 10.9% |
お金を借りる(親または知人から) | 10.0% |
支払滞納する | 6.5% |
貯金を崩す | 3.5% |
お金を借りる(消費者金融など) | 1.3% |
赤字対策として生活費を削るなら通信費や保険料などの固定費を減らすのが効果的です。なお、消費者金融を利用すると利息がかかりその分支出が増えてしまい、支払滞納に繋がります。将来的にクレジットカードの申込などが出来なくなる可能性もありますから、まずは支出の見直しに努めましょう。
調査5:生活苦について
今の生活について、収支面を理由に調査したところ「まったく苦しくない(余裕・贅沢できる)」11.4%、「あまり苦しくない(生活できている)」32.0%と全体のおよそ4割が「苦しくない」と回答するも、「やや苦しい(ギリギリ)」47.1%、「とても苦しい(赤字)」9.4%と全体のおよそ6割が「生活が苦しい」と回答する結果となりました。
回答者の意見には「正社員になれず雇用(収入)が安定しない」、「どれだけ働いても収入内に自分の支出が収まらない」などといった声があり、雇用や低所得の問題が浮かび上がる実態が見てとれます。
また、お金を使わない努力として、「キャッシュカードやクレジットカードを持ち歩かず、お金を使えないようにしている」、「趣味を辞め、友達付き合いをなくした(友達がいなくなった)」という声もあり、20代女性にとってはとても辛い現実が本調査で明らかになりました。
世の中は業務委託や有期契約社員など正社員ではない雇用が多くなっている傾向にあります。その分収入は低めの場合が多く、また社会保険(年金・国保)を自分で払わなければならないケースも多くあります。
今、会社で社会保険に加入できるかどうかは現在の支出額にも直結しますが、病気で働けなくなったときの経済保障、老後にもらう年金なども違ってきます。今年の4月からは非正規社員と正社員の待遇差を改善すべく法律が改定されますが、そのためには労働者自身のスキルアップも必要になりそうです。
監修者プロフィール
「エフピーウーマン」所属
山本 麗子
ファイナンシャルプランナー 山本 麗子
女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」所属
ファイナンシャルプランナーとしてFP事務所に勤務しライフプランや保険相談などのキャリアを積む。お金の教養を高めて女性の内面から輝いてほしいという想いから女性だからこその視点や経験をもとに実用的で役に立つ知識とお金についての正しい扱い方について伝えている。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金のmanaVIVA(学び場)」を無料開講中!
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2020年1月17日~2020年1月23日
- 調査対象:全国20代独身女性350人
- 調査監修:エフピーウーマン山本麗子