【貯金実態調査】貯金1,000万円以上保有者に聞いた、貯まる人の体質とは
- 増税に伴う景気後退のリスクや年金不足問題による老後資金の確保など、万が一の時や将来への備えのために貯金は必要です。しかし、なかなか貯められない人が多く“貯蓄ゼロ”の人がいることも事実です。
FP恩田雅之氏監修のもと貯金1,000万円以上保有者500人を対象に貯金調査を実施し、貯金成功者の体質を明らかにするとともに、「貯まる人」と「貯められない人」の違いや資産管理について解説いただきました。
調査回答者の属性(n=500)
- 性別:男性46%/女性54%
- 年代:20代12%/30代48%/40代40%
- 婚姻・子供:未婚・子なし33%/未婚・子あり3%/既婚・子なし20%/既婚・子あり44%
- 雇用形態:正社員67%/契約社員・嘱託社員3%/派遣社員2%/パート・アルバイト9%/
業務委託契約1%/自営業・自由業4%/専業主婦13%/無職1% - 個人年収:100万円未満17%/100万円以上~150万円未満2%/150万円以上~300万円未満10%/300万円以上~500万円未満30%/500万円以上~700万円未満27%/700万円以上~1,000万円未満9%/1,000万円以上5%
- 世帯年収:150万円以上~300万円未満1%/300万円以上~500万円未満17%/
500万円以上~700万円未満32%/700万円以上~1,000万円未満24%/1,000万円以上26%
調査1:現在の貯金額
全国20代~40代の貯金1,000万円以上保有者500人を対象に、自身または夫婦の貯金に関する調査を実施したところ、現在の貯金額については以下の通りで、最も割合の多かった回答が「1,000万円以上~1,500万円未満」67%、次いで「1,500万円以上~2,000万円未満」15%と、1,000万円~2,000万円で8割以上を占め、平均値は1,532万円、中央値は1,200万円という結果でした。
また、本調査結果での最低額は1,000万円、最高額は8,000万円です。
現在の貯金額
1,000万円以上~1,500万円未満 | 67% |
1,500万円以上~2,000万円未満 | 15% |
2,000万円以上~3,000万円未満 | 9% |
3,000万円以上~5,000万円未満 | 8% |
5,000万円以上 | 1% |
調査2:1,000万円貯めた期間
貯金額1,000万円を達成するまでの期間については、「7年以上~10年未満」と「15年以上」が26%と同率1位で、平均11.4年という結果でした。7年以上の回答がおよそ8割を占めていることから、長期間で堅実的に貯めていることが伺えます。
1,000万円貯めた期間
1年以上~3年未満 | 1% |
3年以上~5年未満 | 9% |
5年以上~7年未満 | 13% |
7年以上~10年未満 | 26% |
10年以上~15年未満 | 25% |
15年以上 | 26% |
また、1,000万円と平均期間の11.4年から年間の貯金額を計算しますと約88万円(1,000万円÷11.4年)、月に直すと毎月7.3万円です。期間15年計算するとそれぞれ年間約67万円、毎月約5.6万円となります。継続して貯める大切さが伝わってくる調査結果です。
調査3:貯金を続けている期間
貯金を続けている期間については、「15年以上」が44%と最も多く、回答者の半数近い人が15年以上の期間を貯金していることが明らかとなりました。次いで、「10年以上~15年未満」23%と続き、平均貯金継続年数は13.3年という結果でした。
貯金を続けている期間
1年以上~3年未満 | 1% |
3年以上~5年未満 | 4% |
5年以上~7年未満 | 9% |
7年以上~10年未満 | 16% |
10年以上~15年未満 | 23% |
15年以上 | 44% |
現在貯金は続けていない | 3% |
調査4:毎月の貯金額
毎月の貯金額については、「10万円以上~20万円未満」が54%と最も多く、回答者の半数以上が毎月10万円以上を貯金に充てていることが明らかとなりました。次いで、「5万円以上~10万円未満」26%と続き、毎月の貯金額の平均値は121,450円、中央値は100,000円という結果でした。
毎月の貯金額
5万円未満 | 7% |
5万円以上~10万円未満 | 26% |
10万円以上~20万円未満 | 54% |
20万円以上~50万円未満 | 11% |
50万円以上 | 2% |
調査5:月収入から貯金に充てる割合
毎月の収入(世帯収入含む)から貯金に充てる割合については、「1割以上~3割未満」が47%と最も多く、次いで「3割以上~5割未満」30%と続き、平均3.3割という結果でした。
貯金に充てる月収入は5割未満という回答が8割以上を占めていることから、生活費を削減してコツコツ計画的に貯めていることが読み取れます。
月収入から貯金に充てる割合
1割未満 | 6% |
1割以上~3割未満 | 47% |
3割以上~5割未満 | 30% |
5割以上~7割未満 | 12% |
7割以上 | 5% |
※世帯収入含める
調査回答者の属性をみますと個人年収で300万円以上~500万円未満30%が該当するかと思われます。1割以上~3割未満の比率が高いのは世帯年収で500万円以上が約8割を占めることが影響しているのでしょう。
調査6:貯金の保管・管理
貯金の保管・管理については、「貯蓄用口座にわけて貯金」366件が最も多く、次いで「生活口座にそのまま貯金」172件、「財形貯蓄」97件という結果でした。
貯金の保管・管理 上位5項目
貯蓄用口座にわけて貯金 | 366件 |
生活口座にそのまま貯金 | 172件 |
財形貯蓄 | 97件 |
タンス貯金 | 42件 |
外貨建て預金 | 40件 |
調査7:貯金の方法
貯金の方法については、「毎月の余ったお金を貯金」276件が最も多く、次いで「先取り貯金」162件、「積立定期預金」154件と続き、1位以降の回答に大きな差はなく各々の生活スタイルに合った貯金方法であることがわかりました。
貯金の方法 上位5項目
毎月の余ったお金を貯金 | 276件 |
先取り貯金 | 162件 |
積立定期預金 | 154件 |
ボーナスをすべて貯金 | 132件 |
給与天引き | 105件 |
また、調査7の回答で最も多い「毎月の余ったお金を貯金」は、家計の切り盛りが上手く、毎月予算内で支出を抑えられている方が多いことを伺わせます。それは、「ボーナスをすべて貯金」の結果にも表れています。
調査8:貯金の成功理由
貯金額1,000万円達成の理由としては、「貯金用口座をわけているため」243件が最も多く、次いで「給料から先取貯金をしているため」207件と続き、“貯金用口座”と“先取貯金”が成功の秘訣ということが結果として明らかになりました。
それ以降の回答では、「家計簿(アプリ)をつけているため」150件、「1日に使うお金を制限しているため」141件、「転職・仕事(給与)を増やしているため」108件と続き、貯金するために自発的に心掛けている点と抑制的に我慢している点である回答がみられました。
貯金の成功理由 上位5項目
貯金用口座をわけているため | 243件 |
給料から先取貯金をしているため | 207件 |
家計簿(アプリ)をつけているため | 150件 |
1日に使うお金を制限しているため | 141件 |
転職・仕事(給与)を増やしているため | 108件 |
以下では、貯金成功のための自発的行動(ポジティブ)と抑制的行動(ネガティブ)な意見の一部をご紹介します。
- ●自発的(ポジティブ)な意見
- 家計簿をつけて日々の生活費・消費内容を明確にして改善している。
豊かで楽しい老後を想像して、毎月の貯金目標を設定し達成したときだけ贅沢をしている。
固定費の見直しを半年に一度行い、無駄な経費を削減している。 - ●抑制的(ネガティブ)な意見
- 会社や友人との飲み会を断り、他人との付き合いを必要最低限にしている。
身に付けるもの(衣料品)はすべてフリマアプリを利用し中古品で我慢している。
交通費(タクシー・電車賃)の出費を無くすため、時間をかけて徒歩で移動している。
3番目の「家計簿(アプリ)をつけているため」により、無駄な支出を抑える努力が伺えます。家計簿アプリを使うことでレシートをそのまま読み込み、手書き家計簿をつける負担軽減も図られているようです。
4番目の「1日に使うお金を制限しているため」は、我慢を強いるようでは持続性が心配です。ポジティブな意見にある「毎月の貯金目標を達成したときだけ贅沢をしている」など自分へのご褒美を用意して取り組むといいでしょう。
5番目の「転職・仕事(給与)を増やしているため」は、収入を増やす考え方として、今と同じ割合でも貯金額の増えるスピードが上がります。収入を増やす点から考えますと、ネガディブな意見の「他人との付き合いを必要最低限にしている」「時間をかけて徒歩で移動」は、もしかしたら収入を増やすチャンスを逃しているかもしれません。
調査9:貯金をする理由・目的
貯金をする目的としては、「自分または夫婦の老後の備え」458件が最も多く、回答者500人中9割以上が選択しており、人生100年時代ともいわれる将来の備えのために、自分自身で蓄えている姿勢が伺えます。
次いで「子供の教育費のため」162件、「資産運用(投資)のため」114件と続き、人生3大費用(住宅資金・教育資金・老後資金)の内、2項目が貯金目的の上位にあることから計画的に資金繰りしていることが明らかになりました。
貯金をする理由・目的 上位5項目
自分または夫婦の老後の備え | 458件 |
子供の教育費のため | 162件 |
資産運用(投資)のため | 114件 |
趣味・娯楽費のため | 105件 |
住宅購入のため | 103件 |
貯められない人は、調査7の「毎月の余ったお金を貯金」の結果を鵜呑みにしてはいけません。これは「収入-支出=貯金」につながる考え方です。
毎月10万円と最初から高い目標を上げるよりも、1万円、2万円と少ない金額から貯金を始め、家計簿アプリを活用して無駄な支出を省きながら徐々に貯金する金額を増やして貯める習慣を確実につけるようにし継続することを一番に考えて行動を起こしましょう。
調査3「預金を続けている期間」の平均が13.3年、10年以上前は投資に対するスタンスは「ある程度まとまった資金ができてから」でした。500人中114人(23%)の人が「資産運用」を目的に挙げているのも納得できます。最近は「つみたてNISA」のように少額からこつこつ投資ができる投資方法も選択することで貯金と投資の同時に行うこともできます。堅実に貯金をした習慣を投資に生かすことを考えてみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール
オンダFP事務所
恩田 雅之
オンダFP事務所/恩田 雅之
1959年 東京生まれ 専修大経営学部卒業後、16年間パソコン業界の営業の職業に携わる。その間に資産運用に興味を持ちAFPを取得。
2004年3月にCFP®資格を取得後同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。資産運用に関するセミナー、ブログやコラムの執筆や監修などを中心に活動中。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2020年2月7日~2020年2月12日
- 調査対象:全国20代~40代 貯金1,000万円以上保有者500人
- 調査監修:オンダFP事務所 恩田 雅之