【個人年金】一般の生命保険と何が違うのか、個人年金についてまとめました
生命保険の一種である「個人年金保険」。
確定申告すれば「個人年金保険料控除」が受けられるため、その名前を目にしたり耳にしたりすることは少なくないでしょう。
けれども、個人年金保険がどんな保険なのかというと、よくわかっていない人が多いのではないでしょうか。
今回は、個人年金保険が普通の生命保険とどういった違いがあるのかについて説明します。
個人年金は生命保険の一種
個人年金保険は生命保険の一種です。
しかし、一般の定期保険や終身保険のように「死亡した場合」などに保険金が支払われるのではなく、「一定の年齢になった後、年金形式で保険金が支払われる」という保険です。
そのため、うまく活用すれば、老後のライフプラン設計に自由度が増し、より豊かな老後生活を送る助けとなります。
個人年金保険は一定期間保険料を払い込み、契約時に定めた年齢から一定期間もしくは一生涯に渡って年金形式で保険金を受取ることができます
それでは、個人年金保険の種類や保障内容について詳しく見ていきましょう。
個人年金にも種類があります
個人年金保険には、年金の受取方法によって大きく分けて3つの種類に分けることができます。
①有期年金タイプ
有期年金タイプは、一定期間、年金を受け取ることができます。
ただ、年金を受け取っている人が死亡した時点で、年金の支払いがストップされます。
そのため、受け取る年金総額が元本(総払込保険料)を割り込む可能性もあります。
②確定年金タイプ
有期年金では元本を割り込む可能性がありますが、そのデメリットを解消したのが「確定年金」タイプです。
確定年金でも、一定期間、年金を受け取ることができますが、年金受取期間中に死亡してしまっても、期間満了まで遺族が年金を受け取り続けることができます。
③終身年金タイプ
終身年金タイプは、その名の通り、死亡するまで一生涯、年金を受け取ることができるものです。
長生きした場合、その分だけ生活費がかさむというリスクがありますが、終身年金タイプであれば、セカンドライフの生活資金設計を立てやすくなるのがメリットです。
しかし、有期年金と同様、年金受取人が死亡した時点で年金の支払いがストップされてしまうため、受け取った年金額が元本を下回る可能性もあります。
このような3種類に分けることができますが、当然、保険料にも差があります。
有期年金よりも確定年金や終身年金の方が、受け取れる年金が多くなる可能性が高くなります。よって、その受取る保険金が大きくなる可能性に応じて保険料が決められています。
同じ受給額である場合、保険料の支払額を安い方から並べると、「有期年金<確定年金<終身年金」という順になります。
④夫婦年金タイプ
さらに、その3種類に加えて、夫婦年金タイプというものがあります。
これは、夫婦のいずれかが生きている限り年金を受け取ることができるというものです。
通常、終身年金タイプでは、年金受取人が死亡してしまったら年金がストップしてしまいます。
その後、遺された配偶者が年金を受け取ることができ、その生活にも備えられるのが夫婦年金です。
ただし、戸籍上の夫婦ではなく事実婚の場合は年金が支給されません。
みんなどれくらいの個人年金を用意しているの?
では、近年、個人年金保険の加入動向はどうなっているのでしょうか。
生命保険文化センターが調査した「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」をひも解いてみましょう。
個人年金保険の世帯加入率は、21.4%となっています。
世代で分けると、40代後半から60代にかけて加入率が25%を超える高さとなっています。
年金の1年あたり受取額でみると、平均101.0万円です。
1か月あたりになおすと8.5万円程度です。国民年金や厚生年金などに追加する形で用意するものなので、この程度で十分と考えている方が多いようです。
なお、年間の支払保険料では、平均17.9万円です。
個人年金保険を紹介
①ソニー生命「個人年金保険」
ポイント:確定年金だけでなく、終身年金も選ぶことができる
加入例:30歳男性
年金額 | 年金支払い期間 | 年金支払い開始年齢 | 月額保険料 | 解約返戻率 |
---|---|---|---|---|
100万円 | 10年 | 60歳 | 32,010円 | 約104% |
②住友生命「たのしみワンダフル」
ポイント:年金受け取り開始までの据え置き期間を設けることで年金額を増やせる
加入例:30歳男性
年金額 | 年金支払い期間 | 年金支払い開始年齢 | 月額保険料 | 解約返戻率 |
---|---|---|---|---|
77.88万円 | 10年 | 65歳 | 15,000円 | 約106.3% |
個人年金をかけていた契約者が死亡した場合、保険金はどうなる?
契約者が死亡してしまった場合、個人年金保険の契約がどうなるかを説明します。
一般的な個人年金保険の契約である
・契約者(保険料を支払っている人)
・被保険者(保険を掛けられている人)
・年金受取人
がすべて同一人物である場合を例としてお話しします。
年金受給前に死亡した場合
年金を受給する前に死亡してしまった場合、死亡給付金が支払われます。
死亡給付金とは、払込保険料相当額とされており、保険料の払い戻しとイメージしてもらうとよいでしょう。
年金受給中に死亡した場合
この場合、前述の通り、有期年金と終身年金の場合は年金受取人が死亡した時点で年金がストップされます。
確定年金の場合は、年金受取人が死亡した後も、あらかじめ決めた年金受取期間中、遺族が年金(または一時金)を受け取ることができます。
有期年金・終身年金の場合でも、「保証期間」を設定することができます。
その場合、保証期間中に年金受取人が死亡してしまっても、保証期間終了まで遺族が年金(または一時金)を受け取ることができます。
個人年金保険料控除の対象にするには適応条件を押さえる
個人年金保険は、生命保険料控除の対象になっています。
生命保険料控除は「一般の生命保険料控除」、「個人年金保険料控除」、「介護医療保険料控除」の3種類に分かれていますが、そのうちの「個人年金保険料控除」の対象にするには条件があります。
その条件を満たしていない場合は、定期保険や終身保険と同じ「一般の生命保険料控除」扱いとなり、控除額の上限を超えてしまうと控除を受けきれない場合もあります。
所得控除が受けられない場合は、所得税だけでなく住民税の減額メリットも受けられなくなってしまいます。
個人年金保険料控除を受けるためには、加入する個人年金保険に「税制適格特約」を付加しなければなりません。
ただし、この特約を付けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
①年金受取人が契約者またはその配偶者である
②年金受取人が被保険者と同一である
③保険料の払込期間が10年以上である(そのため、一時払いは対象外)
④年金の受取開始が「被保険者が60歳以上の日」となっていて、年金支払期間が10年以上であること(終身年金を含む)
これらの条件をすべて満たしている場合に税制適格特約をつければ、支払った保険料を個人年金保険料控除の対象にすることができます。
まとめ
- 個人年金保険は、老後資金を準備するための積み立てをするような保険
- 年金の受け取り方は、大きく分けて「有期年金」、「確定年金」、「終身年金」の3種類ある
- 個人年金保険料控除を受けるためには、4つの条件を満たしたうえで税制適格特約をつけなければならない