生命保険に複数加入するときに確認しておきたいこと
あなたは生命保険に「いくつ」加入していますか?
1つだけという人が多いと思いますが、保険の加入状況を把握できておらず、実は複数の生命保険を契約している可能性もあります。
けれども、複数の生命保険に加入することにはメリット・デメリットともにあります。
生命保険の制度の知識をつけて、複数加入しようとするときや見直しをするべきかを考える場合に確認しておきたいことを理解しておきましょう。
生命保険を複数契約するメリット・デメリット
生命保険と言っても、保険会社によってさまざまな商品があります。
必要な保障内容によって、複数の生命保険に加入した方がいい場合もあるのです。
そこで、まずは複数加入することのメリットとデメリットを説明しましょう。
複数契約のメリット
生命保険を複数契約した場合、いろいろな保険のいいとこ取りができます。
医療保障特約が魅力的な商品と通院保障が魅力的な商品がある場合、必要保障額を半分に分けて2つに加入すれば、両方の特約を付けることができます。
このような組み合わせ方次第で、自分の生活にあった保障を手に入れることができます。
また、複数あれば、保険の見直しもしやすくなります。
加入しているのが1つだけだと、見直す時にすべて解約しなければなりません。
終身保険であれば途中で解約した場合の解約返戻金は支払済保険料よりも少なくなってしまいますが、2つのうち1つだけ解約するのであれば、解約で損をする金額も少なく抑えられるでしょう。
複数契約のデメリット
一方のデメリットは、何といっても手間がかかってしまうことです。
申込と告知を何度もしなければなりませんから、契約者は診断書などの提出書類をそれぞれの会社用に準備しなければなりません。
更新のタイミングがバラバラになることもあるでしょう。
万が一のことがあった場合にも、給付金を受け取るためにそれぞれの担当者に連絡をする必要があります。
その際、保険会社によって加入や保険金支払いの基準が異なる点も理解しておきましょう。
また、どんな生命保険にいくら分の死亡保障で加入しているのか把握しきれなくなってしまうかもしれません。
住宅ローンを借りている場合は特に注意です。
住宅ローンを申し込んだときに団体信用生命保険に加入していることを忘れて、合計すると生命保険に加入しすぎているケースもあります。
複数契約していても全て保険金はもらえるの?
生命保険は、被保険者が死亡した場合に保険金が支払われるものです。
損害保険や医療保険は事故や病気で費用がかかってしまった場合に備えているのとは異なり、支払われる金額に上限はありません。
だから、複数の生命保険に加入していても、万が一の場合にはすべての保険会社から生命保険金を受け取ることができます。
ただし、保障額には上限があります。
その基準は、収入と職業などによるものです。
一般的な生命保険の場合、保障額は年収の15倍までとされています。
そして、危険を伴う職業の場合、保険事故が起きる可能性が高くなるため、さらに制限される場合があります。
こういった保障額の上限はありますが、だからといって限度近くまで生命保険に加入するのは間違いです。
保障額を大きくするということは、その分だけ加入者が支払う保険料も多額になってしまいます。
いくら老後や死亡した場合のための備えとはいえ、保険料の支払いが多すぎると今の生活を圧迫してしまいます。
必要な保障額をしっかりと確認して、ムダな保険に加入してしまわないようにしましょう。
必要保障額をどうやって計算すればいいかわからない場合は、専門家に相談することもできます。
無料相談をしているところもありますよ。
[macth url=”https://www.money-book.jp/171″]
税金対策としての生命保険について
生命保険の保険金は税金がかかる場合があります。
けれども、税金対策になるのも特徴なので、どのようなルールになっているのかをしっかりと把握しておきましょう。
まずは、契約者、被保険者、受取人がどのようになっているかでかかる税金が変わることを理解しましょう。
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | かかる税金 |
---|---|---|---|
A | A | B | 相続税 |
A | B | A | 所得税(一時所得) |
A | B | C | 贈与税 |
上の表のように受け取った保険金に税金がかかることになります。
なお、生命保険を途中解約した場合の解約返戻金は、支払った保険料総額よりも多い部分について所得税の課税対象になります。
詳しい計算方法は省略しますが、その解約返戻金などで所得額が一定額(20万円)を超えた場合、確定申告が必要になります。
ちなみに、学資保険も親の生命に関する保険ということもできますが、それに付帯できる育英年金に関する税金にも注意が必要です。
育英年金自体は相続税の対象となるため、基礎控除の範囲内であれば納税しなければならない事態にはなりません。
しかし、育英年金を受け取っている金額を元に計算した所得額が年間38万円を超えると、親の扶養から外れてしまい、所得税・住民税を納めなければならなくなるのです。
その税額はインパクトがあるので、加入する時点で充分に注意しておきたいところです。
生命保険を活用した節税方法とは?
「生命保険は相続税の対策になる」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。
相続税を計算する際、相続した資産から基礎控除を差し引いた分が課税対象の相続財産となります。
しかし、生命保険金でお金を受取をすると、受取人が配偶者や子供などといった法定相続人にあたる場合に相続税が軽減されるというものです。
どう軽減されるのかというと、法定相続人が受け取る保険金について、基礎控除に加えて「法定相続人の数×500万円」まで非課税とすることができます。
例えば、配偶者と子供が2人いる場合では、法定相続人が3人となるので、基礎控除4,800万円(3,000万円+600万円×3人)に加えて1,500万円分も非課税となるのです。
[macth url=”https://www.money-book.jp/8014″]
生命保険で相続のトラブルを減らすこともできる
また、生命保険を相続人それぞれを受取人とするように複数契約しておくと、相続時のトラブルを減らすこともできます。
相続が発生した場合、保険金受取の手続きをすれば、それぞれが保険金を受け取ることができます。
誰かが一括で保険金を受け取り、それをほかの相続財産と合わせて分割するよりもトラブルになりにくいでしょう。
生命保険と税金に関する制度やメリット・デメリットを知らないで加入すると、数十年後に思わぬ落とし穴が待ち受けていることもあります。まずは簡単なルールだけでも理解しておきたいものですね。
まとめ
- 複数加入のメリットはそれぞれの商品のいいとこ取りができること。
- 複数加入のデメリットはそれぞれに申請や告知を行うため手間がかかること。
- 複数契約していても保険金は受取ることができる。
- 複数の生命保険に加入することによって相続トラブルを減らすことができる。