終身保険で死亡保障を確保すべき5つのケース
生命保険は「万が一のことがあって死亡した場合に保険金が受け取れるもの」です。
やはり多くの人が死亡リスクに備えたいと考えているようで、今の日本では約8割の人が生命保険に加入していると言われています。
しかし、生命保険で「本当に必要な備え」ができておらず、保険料を払いすぎている人も多いようです。
今回は、生命保険でももっとも代表的な「終身保険」でどのような保障を確保するべきかをまとめました。
一生涯の保障が持てる「終身保険」は保険料が高い!
終身保険は、簡単に言えば「一生涯保障が続く」生命保険で、死亡または高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。
たとえ何歳で死亡したとしても保険金を受け取ることができるため、支払った保険料が必ず返ってくるという意味で「貯蓄性がある」と言われています。
また、相続税対策にも使えるため、人気がある保険のひとつです。
保険料が割高になるというデメリットもあるんじゃ。
保険は、加入者が保険料を出しあい、誰かに万が一のことがあった場合に保険金を支払う「相互扶助」のためのものです。
なので、死亡リスクが低い場合は保険料が安く、死亡リスクが高い場合には保険料が高くなります。
終身保険は何歳で死亡しても保険金が支払われるため、解約しない限りすべての人が保険金を受け取ることになります。
そのため、保険金を受け取らないで済む人が多くいる「掛け捨てタイプ」の定期保険と比べて、保険料が大幅に高くなってしまいます。
終身保険でどこまで保障を確保するかを考えるのが重要になるのです。
定期保険ではなく「あえて」終身保険を使うべき5つのケース
終身保険は、貯蓄性の高い保険だからこそ、いろいろな活用の仕方があります。
ただ単に死亡保険金を受け取ることを考えておく以外に、解約返戻金を受け取ることで将来の資金を準備することもできるのです。
ここでは、その活用法を5つ紹介します。
死亡後すぐに必要な「葬儀代・入院費」をスムーズに用意するのに役立つ
死亡した直後には、大きく2つの出費があります。
それが「葬儀代」と「入院費」です。
これらの費用は死亡した人の財産から支払いたいところですが、そうはいきません。
人が死亡した後、その人の銀行口座などは凍結されてしまい、相続方法が確定するまではお金を引き出すことができないからです。
けれども、死亡した人が加入していた保険は、請求すれば保険金受取人の銀行口座にすぐに振り込まれます。
この分を葬儀代や入院費の支払いに充てることができます。
一般的な葬儀費用は200万円程度と言われていますし、入院費用も数万円では収まらない可能性もあります。
そういった出費に備えて、遺族が受け取ることができる終身保険で備えておくことができます。
死亡整理金に役立つ
死亡後に必要なお金はそれだけではありません。
葬儀そのものの費用以外にもお金が必要になる場合があります。
例えば、新たにお墓を用意しなければならない場合などです。
その場合の費用は、お墓を用意する地域や公営か民営かなどによって大きな差がありますが、数百万円必要になる場合もあります。
遺産分割をしやすくする
資産のほとんどがマイホームだという場合、相続で遺産分割するときにトラブルが起きやすくなります。
それを防ぐために、終身保険を活用することができます。
マイホームを相続させようと思っている人以外の相続人が受取人となる終身保険に加入しておけば、相続人同士の不平等を少しでも減らすことができます。
また、死亡保険金は相続税の非課税財産とされる部分もあるため、相続税対策にも活用することができます。
死亡保障を持ちながら教育資金を貯められる
終身保険は解約をすると解約返戻金を受け取ることができます。
解約するのが保険料払込期間満了後(または満了後しばらくしてから)であれば、解約返戻金額がこれまでの支払保険料総額よりも多くなります。
この特徴を利用して、子供の教育資金として学資保険代わりに終身保険を活用することができます。
ただし、保険料の払込期間に注意しましょう。
一般的なプランでは、保険料の払い込みが60歳か65歳に設定されています。
子供の教育資金が最も必要となる大学進学の時期が50代なのであれば、それまでに保険料の払い込みを終了させ、解約返戻金額を大きくしておかなければなりません。
もちろん、保険料の払い込みを早く済ませるためには、月々の保険料が高くなってしまうので、今の生活設計にも気を配っておきましょう。
また、(終身保険とは異なりますが)個人年金保険の活用も可能ですが、多くの場合、年金の受け取りは早くて55歳からとなっているので気をつけましょう。
死亡保障をしながら老後資金を貯められる
前述の「教育資金を貯められる」場合と同じですが、終身保険の解約返戻金を使って老後資金を貯めることもできます。
老後の生活費に心配が出てきた場合、葬儀を質素なものに変更してもらうようにしておいて、終身保険を解約するという方法もあります。
ただし、解約が早い時期になればなるほど解約返戻金額が少なくなってしまい、実質的な積立利率が低くなってしまう可能性があります。
なお、保険料を一括で支払うタイプの「一時払終身保険」であれば、契約後4~5年で元本以上の解約返戻金を受け取ることができます。
しかし、この商品は昨今の超低金利の影響を受けて、販売停止に踏み切る保険会社が相次いでいます。
終身保険を選ぶと損をしてしまうケースとは
中途解約する可能性がある場合には使うべきではない
はじめにも書いたとおり、終身保険は必ず保険金が受け取れる代わりに保険料がかなり割高です。
そのため、保険会社も加入しやすいように工夫をしています。
ただ、どのようにして加入しやすくしているかというと、解約返戻金の返戻率を引き下げることで、保険料の引き下げを実現しているのです。
「中途解約しなればお得ですよ」という終身保険が増えているのです。
つまり、終身保険でできるだけ多くのことに備えたいからと考えて低解約返戻金型の終身保険に加入しすぎていると、保険料の負担が重くなって解約せざるを得なくなった場合に、支払った保険料のほんの一部しか返ってこなくなるかもしれないのです。
遺族の生活資金は終身保険で準備するべきではない
また、自分が死亡した後に遺された家族が生活するための資金を残してあげたいという場合にも、終身保険ではうまくいきません。
数年分の生活費を用意するために1,000万円もの金額を終身保険で準備しようとすると、保険料の支払額だけでかなりの額になってしまいます。
遺族の生活に必要なお金は、時間とともに変化していきます。
子供が小さいうちは、これから多額の教育資金が必要となるため、備えておきたい金額も多くなるでしょう。
しかし、子供が大きくなり独立すれば、収入を得て自分で生活するようになります。そうなると、教育資金どころか子供の分の生活費も備えておく必要はありません。
このように、必要とする生活費が年々減少していくことを考えると、貯蓄性のある終身保険で遺族の生活費に備えなくてもいいでしょう。
貯蓄性はなくなってしまいますが、少ない保険料で大きな保障を得られる定期保険や収入保障保険で備える方が適していると言えます。
終身保険の特約を追加したり別で加入したりするなど、目的の応じた必要な保障を準備しましょう。
まとめ
- 終身保険は死亡後の葬儀代や入院費、遺産分割に活用することができる
- 途中で解約すれば、教育資金や老後資金として使うこともできる
- 途中解約すると、解約返戻金がとても少なくなることもあるので注意が必要
- 保険料が高いので、すべてを終身保険で備えようとせず、定期保険なども活用するべき