保険料の一括払いはお得?一時払いと全期前納の違いを解説!

生命保険の保険料と言えば、毎月の収入から固定費として支払うもの…、という固定観念を持っていませんか?

たしかに、多くの生命保険契約では保険料を毎月支払う、つまり「月払い」が選択されています。

ですが、保険料を1年分まとめて支払う「年払い」を選択すると「月払い」よりも総支払保険料が少し安くなることはご存知でしょうか?

そして、契約時に保険料の全額を払い込んでしまうと、「年払い」よりも総支払保険料がガクンと下がるのです!

今回は、保険料を契約時に一括して支払う方法について、解説いたします!

一時払いと全期前納はココが違う

559002

保険料を1度に支払方法には2種類あり、それぞれ「一時払い」「全期前納」と呼ばれています。

これらは、契約時に生命保険会社にお金を全額わたしてしまうことでは同じなのですが、そのお金の扱われ方が異なります。

「一時払い」ってどんな支払方法?

一時払いはその名の通り、「月払い」なら契約から毎月(「年払い」なら契約から毎年)支払い続けていく全保険期間分の保険料総額を、契約時に支払ってしまうことです。

保険料支払回数が1回しかないので、「一時払い」と呼ぶのですね。

保険料を一度に払い込んでしまうため、支払保険料総額は「月払い」や「年払い」と比べて格段に低くなります。

「全期前納」ってどんな支払方法?

契約時に全保険期間分の保険料総額を生命保険会社に支払うという点では「一時払い」と同様です。

異なるのは、契約後に毎月訪れる支払期日に、生命保険会社がその受け取って預かっているお金の中から、保険料を改めて支払っていくという仕組みです。

ですので、契約時に一括して支払った保険料は、厳密には保険料として消費されてはおらず、生命保険会社に預けているだけだと考えられます。

「一時払い」は保険料を支払ってしまっている、「全期前納」は保険料を生命保険会社に預けているだけ、ということですね!
でもそれって、そんなに大きな差なんですか?
ふぉっふぉ。契約時に大金を払い込むのは、たしかにどちらも同じじゃからの。
しかしじゃ。それが大きな差になるのじゃよ…。

一時払い、全期前納のメリット・デメリット

それでは、「一時払い」と「全期前納」のメリット・デメリットについて、点検していきましょう。

 一時払い全期前納
保険料総支払額◎比較的割安×一時払いに比べると高い
被保険者の死亡時×保険料は返還されない◎保険料未払い分が返還される
途中解約時×保険料は返還されない◎保険料未払い分が返還される
生命保険料控除×契約した年のみ受けられる◎毎年受けられる

保険料では「一時払い」が有利

ずは、上の表の一段目の保険料総支払額から見てみましょう。

一時払いの魅力は、月払いや年払いなどすべての保険料払い込み方法の中でも、最も保険料が安くなることです。

それに対して全期前納は、月払いや年払いよりは割安なものの、一時払いよりは割高になってしまいます。

これは、保険会社からしてみれば、一時払いのお金は「生命保険会社のお金」全期前納のお金は「預かっているだけで完全に生命保険会社のものにはなっていないお金」であり、「もしかしたら返さなければならないお金」でもあるからなのです。

「全期前納」には保険料未払い分がある

そして、その「もしかしたら返さなければならない」事態の可能性が、全期前納払いのメリットなのです。

表の二段目、被保険者の死亡時について考えてみましょう。

掛け捨ての保険期間10年満了の定期保険を例にとります。

もし不幸にして保険期間開始から1年後に被保険者がなくなってしまった場合、一時払いなら全期保険期間分の保険料は返還されません。

一方で全期前納なら、保険料は生命保険会社に預けているだけなので、残りの9年分の保険料は「未払い」扱いになり、返還されます。

これは表の三段目の、途中解約時でも同様です。

なるほど~。一時払いのメリットは割安な保険料。
一方で全期前納のメリットは、被保険者の死亡時や途中解約時に未払い分の保険料が返還されるところですね。
そうなのじゃ!実は全期前納にはもう一つのメリットがあるぞい。
それは、税金に関することなのじゃ…。

生命保険料控除についても、「全期前納」が有利

生命保険に加入して保険料を支払っていると、確定申告や勤務先での年末調整のときに申告して所得控除を得ることができ、減税を受けられます。

平成24年1月1日以降に加入した保険なら、年間最大12万円(それ以前の契約なら最大10万円) の所得控除を受けることによって、所得税で1万2000円(所得税率10%の場合)、住民税でも8400円の、年間合計2万400円もの節税効果を得ることができるのです。

ここで、表の四段目に注目してみましょう。
保険料を一時払いにした場合は、この生命保険料控除の恩恵を受けるは契約した年の1回きりです。

反面で全期前納を選んだ場合には、保険料は毎月支払われるという扱いになるので、毎年減税を受けることができるのです。

相続税対策としての一括払い

う~ん。一時払いって保険料が割安でも、減税が少ないんですね。
それじゃあ、節税分を考えればメリットが相殺されませんか?
全期前納だってそれなりには保険料が割安なんだし。
それでも一時払いを選んだほうが有利なことって、あるんでしょうか…?
うむ。生命保険料控除の枠に余裕があるなら、そういう考え方もできるじゃろうな。
税は税でも相続税対策で保険加入を考えるなら、一時払いが有効なのじゃ!

相続対策のために、退職金で一時払い終身保険に加入する人が増えています。
なぜ一時払い終身保険が相続対策になるのでしょうか。

その理由を解説しましょう。

一時払い終身保険ってどんな保険?

終身保険とは、保険期間が終身の死亡保険です。

死亡保障が終身にわたるため、途中解約しなければ必ず保険金支払いが発生します。

このため、定期保険に比べて保険料のわりに保険金額は少なく、また保険料払い込み期間終了後は解約返戻金が支払保険料総額を上回るというのが特徴です。

一時払い終身保険を利用して相続税が節税できる!

375078

貯蓄目的の一時払い終身保険が、なぜ相続税対策になるのでしょうか。

これはそもそも、死亡保険金には亡くなった人の評価財産を圧縮する効果があるからです。

具体的には、死亡保険金には【500万円×法定相続人の数】の非課税枠が発生します。

例えば法定相続人が3人で、2000万円の現金プラス持ち家(評価額3500万円)が遺産として想定されるケースを考えましょう。

何もしなければ相続税評価額は2000万円+3500万円=5500万円となります。

相続税の非課税枠は基礎控除額3000万円+(600万円×法定相続人の数)=4800万円のため、5500万円-4800万円=700万円が課税対象となりますね。
この場合税率は10%ですので、70万円もの相続税が発生してしまいます。

しかし、仮に1500万円の終身死亡保障を得るために、1300万円の一時払いで終身保険に加入したらどうなるでしょう。

生命保険の非課税限度額は500万円×3人=1500万円となるため、この死亡保険金は相続税評価額には算入されません。

このため相続税評価額は、2000万円-1300万円(一時払いした保険料)+3500万円=4200万円となり、相続税非課税枠4800万円に収まるために課税されないのです。

同じ死亡保険でも定期保険であれば掛け捨てのために相続には向きませんが、 貯蓄性のある終身保険なら元本割れリスクも最小限に抑えられるため、この制度の活用に最適です。

一時払い終身保険は「争」続対策にもなる!

以上のように一時払い終身保険を利用することで税金対策ができるのですが、保険を利用することで、最近話題の争続の対策もできるのです。

争続になってしまう原因の一つは、故人がどの相続人にどのくらいの遺産を分割するつもりだったのかが不明瞭であるからだということが少なくありません。

保険契約をするときに、個人が想定する相続人を保険金受取人に指定すれば、少なくともその保険金に関しては争いが生じることは無くなるでしょう。

現在は予定利率が下がり、終身保険でもさほどの運用益を期待できず、貯蓄型保険としての魅力が減りつつあるのは事実です。

このため、一時払終身保険は相続対策として、今後も人気商品であり続けるのではないでしょうか。

まとめ

  • 一時払いと全期前納では、一時払いの方が総支払保険料が安い。
  • 全期前納払いの場合、途中解約時や被保険者の死亡時には未払いとされる分の保険料が返還される。
  • 生命保険料控除は一時払いでは1度きりしか受けられないが、全期前納だと毎年受けられる。
  • 一時払い終身保険を利用することで、死亡保険金の非課税枠を活用して相続財産の評価額を減らすことができ、相続税が節税できる。
一時払い終身保険を利用して相続税対策か…。
遺産を相続できる人って、うらやましいですよね。
私の両親もそんなお金持ちのだったらなぁ…。
とんでもない!平成27年1月1日から相続税の非課税枠が大幅に削減されておるのを知らんのか?

それまでは基礎控除額5000万円+1000万円×法定相続人の数じゃったのが、3000万円+600万円×法定相続人の数に変更されたのじゃ。

じゃから、相続税が発生する人はぐぐっと増えたはずじゃぞ。

相続税対策は、もうお金持ちだけの話じゃないのじゃ。
持ち家があるなら、より危険じゃぞ。
知りませんでした!お父さんお母さんに伝えておかないと!

関連記事

記事一覧

保険ランキング

がん保険

生命保険

医療保険

老後破産

学資保険

保険会社の評判

個人年金保険

保険の見直し

損害保険