ミニ保険で保険料を節約!ピンポイントで保障を持てる「少額短期保険」とは?
生命保険や損害保険は当然ながら、十分な「保険加入者」がいないことには保険商品として成立しません。
加入者が少ないと、さまざまなコストが必要となるため、必然的に保険料も高くなってしまいます。
●既往歴があるなど、既存の生命保険に加入できない人(保険料が高くなる人)
●登山で遭難した時のための山岳費用保険(レスキュー保険)
●犬や猫へのペット保険
今、これら「オリジナル性の高い保険」として、ミニ保険が誕生し、大きな注目を浴びています。
ミニ保険のなかには生命保険分野のものも損害保険の分野のものもあり、既存の保険会社もミニ保険に進出しています。
まずはミニ保険の特徴を確認してみましょう。
ミニ保険は既存の生命保険と何が違うの?
既存の生命保険などと比べて、ミニ保険の特徴をまとめると、以下のような特徴があります。
- 保険料がリーズナブルに設定されている
- 1人の保険金額に上限が定められている
- 保険の加入条件が比較的易しめ
- 広くリスクを保障するよりは、ピンポイントで特定の保障に特化している
- ミニ保険会社を設立するのに、1,000万円の資本金で可能
(既存の保険会社は10億円の資本金が必要)
ミニ保険は少額で短期間の保険、別名を「少額短期保険」といいます。
日常生活のなかで広い不安感に対するよりは、「ペットのワンちゃんが病気になったときに備えたい」という特定の需要に対してミニ保険の商品が発売されています。
さまざまな理由により既存の保険商品の高い保険料がネックとなって加入できない人、医療保険や終身保険「までは」必要ないものの、お守り的な位置づけで保険に加入したい人のニーズを補完しています。
急拡大するミニ保険市場
現在、ミニ保険の市場は急拡大しています。
保険業法の改正により、ミニ保険の設立が可能になったのは2006年。
運営会社は登録制です(生命保険会社は国の認可が必要)。
2014年のミニ保険会社の数は82社と5年前に比べて2割強を増加しています。
市場規模といえる収入保険料も、5割増しの640億円台と右肩上がりで急伸しています。
ミニ保険の特徴は、保険会社だけではなく様々な異業種会社からの新規参入が続いていること。
百貨店やクッキングスタジオ、建設会社などが本業のノウハウを活かし、ミニ保険運営会社を設立、世の中のニーズを捉え急拡大しています。
異業種の急拡大を目にした生命保険会社が「後追い」でミニ保険市場に参入し、結果的に市場の拡大とミニ保険の認知度底上げを実現しました。
ミニ保険に加入するときの注意点
ミニ保険ですが、加入者保護の観点から注意点があります。
(1)保険契約者保護機構の対象外
生命保険会社や損害保険会社の加入する保険契約者保護機構は、万が一保険会社が破綻したときに、契約者を守る制度です。
破綻した保険会社に加入していた契約者は、一部保険金の減額がある(可能性が高い)ものの、保険契約自体は守られます。
一方でミニ保険会社の保険は保護機構に加入していないため、あらかじめ破綻の可能性を認識したうえでミニ保険に加入する必要があります。
(2)各種保険関係の所得控除の対象外
生命保険や損害保険の保険料は、一定の条件下で所得控除となりますが、ミニ保険の保険料は控除の対象外です。
(3)生保の補償額が最大300万円以内、損保は最大1,000万円以内
生命保険分野のミニ保険の補償額は最大300万円と、単体でライフプランの補償とするには心もとないもの。保険金も1-2年と短いのが特徴です。
保険契約者のなかには補償額を把握せずに、保険に加入しているから大丈夫、という認識をしている人もいるため、これがミニ保険の加入のみだととても危険です。
保険料の問題もありますが、理想としては格安の医療保険と、家計の負担にならない終身保険を申込む一方、保険料を抑え目にして補償を手厚くしたい場合に、医療系のミニ保険を上乗せするとよいでしょう。
一方で、登山時の遭難補償であるレスキュー保険や、コンサートのチケットを紛失したときのためのチケットガード保険は、「趣味を充実するための」保険です。
趣味にかける金銭的価値は人それぞれによって大きく異なるため、ニッチな市場を上手く捉えたミニ保険に適合していたと考えられます。
今後もこのような「趣味への保険」は、いっそう拡大していくことが予想されています。
自分にあったミニ保険はどうやって選ぶといいか
趣味に対する保険のように、「その世界で唯一の保険」だと選択肢がないため問題ないのですが、たとえば病歴のある人が加入できる「引受緩和型保険」だと各社からさまざまな保険が発売されています。
これらのラインナップのなかから、自分にあったミニ保険はどのようにして選ぶとよいのでしょうか。
それは各社の商品で微妙に異なる「保障内容」「保険料」「独自性」を並べて比較し、自分にあったミニ保険に加入することです。
ミニ保険はカタログやパンフレットを取り寄せなくとも、インターネットのホームページで十分な情報提供がされている場合も多く、すぐに比較することが可能です。
加入検討者に対するカスタマーサービスも充実しているため、不明点があれば問い合わせるようにしましょう。
補償額が低いとはいえ、万が一の際に保険に加入していないときと比べるとミニ保険の補償はとても心強いものです。
オリジナリティあふれるミニ保険ラインナップ!
ここからは、独自性のあるミニ保険の商品を見ていきましょう。
(1)パーツケア(トライアングル少額短期保障株式会社)
自動車保険で対象外となることが多い、「事故以外の愛車の故障」について対象とする保険です。
自動車は近所への運転限定で、高い(自動車)保険料を支払う余裕がないご家庭にお勧め。
保険料は排気量(区分4種類)、年式(5区分)、走行距離(4区分)から算出されます。
<保険金>200万円(1年間)
<保険料>5800円(年払い)
※排気量660c超-2000ccまで、走行距離5万km超-7万km以内、年式4年超-6年以内
また、補償範囲を特定の部品に限定した「パーツケアライト」もあり、最高200万円を補償します。
(2)MIKATA(プリベント少額短期保険株式会社)
弁護士を必要とする日常生活のトラブル(不法行為、売買や雇用等の契約その他トラブル)の早期解決のため、弁護士への相談費用(限度額10万円/年)と、弁護士にトラブル解決を依頼したときの費用(限度額300万円/事件)が支払われます。
依頼を以って補償範囲が発生するのではなく、受任前の相談から補償してくれるのがポイントです。
<保険金>年間支払限度額500万円(被保険者1人あたり通算1,000万円程度)
<保険料>2,980円
付帯サービスとして、弁護士にリアルタイムで相談できる無料の直通ダイヤルや、弁護士紹介サービス(保険金支払い対象の場合)が設置されています。
(3)賃貸住宅管理費用保険(アイアル少額短期保障株式会社)
被保険者(賃貸オーナーまたは管理会社)の物件内で、孤独死や自殺、犯罪死が発生した場合の家賃保証保険、現状回復費用、事故見舞金をパッケージにした商品。
<保険金>原状回復費用保険金 100万円を限度とする実費
事故見舞金は定額
<保険料>1戸室あたり月額300円、一時払い3,600円(1戸室あたりの保険料×入居数の戸室数)
まとめ
いま話題のミニ保険についてまとめました。
何年も前から「こんな保険あったらな」と言われていた分野に進出したミニ保険は、年を追うごとに市場を拡大しています。
今後も更なる発展が見込まれるため、新しいニーズを掴んだ、新商品は更に豊富になっていくでしょう。
ミニ保険を活用して保険料を抑えた、賢い使い方をしたいですね。
執筆者
工藤 崇株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO
ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。FP関連の執筆実績多数。東京都千代田区丸の内。