子供に生命保険は不要?本当に必要な保障について解説!
わが子の誕生と子育ては、人生に大きな喜びをもたらすものです。
ですがその分、子供を育て上げる責任が、親となった2人にのしかかってくるのも事実です。
今回は、そんな子供のための保険選びについて、徹底解説いたします!
子供に生命保険は必要なのか
まずは、新たに誕生した子供に生命保険が必要なのかどうかについて検討してみましょう。
生命保険の役割から考えてみよう
生命保険とは、保険期間中に被保険者に万一のこと(死亡または高度障害状態になる)が起こったときに、保険金受取人である遺族にまとまった金額の保険金が支払われるというものです。
この万一の時に保険金が支払われることを「死亡保障」と呼びます。
例えば、お父さんの収入に頼って生活している専業主婦世帯を考えてみましょう。
もしこのお父さんに万一のことがあれば、それ以後は家族の収入は遺族基礎年金のみ(お父さんが会社員の場合はプラス遺族厚生年金)だけになってしまうので、家族の生活は成り立たなくなってしまうでしょう。
そうならないために生命保険を契約して、お父さんを被保険者、妻や子を受取人として死亡保障を用意しておくのです。
あれ?それじゃあ、お子さまにかける生命保険って、必要あります?
最愛のわが子を失った両親の悲嘆ははかり知れんものじゃろうが、だからといって経済的に困窮するということは想定しにくいの。
それじゃあ、大切なお子さまですから、生命保険よりも医療保険が重要だということになるのでしょうか?
子供に医療保障は必要か?
被保険者に万一のことがあったときに1000万円などまとまった保険金が受け取れる生命保険に対し、「入院給付金日額5000円」「手術給付金1回につき10万円」などのように、医療を受けたときに保険金が支払われるのが医療保険です。
医療費は、健康保険など国の公的医療保険制度によって、窓口負担額が小学校入学前は2割、小学校入学後なら3割に軽減されます。
それに、各自治体独自の子供医療費助成制度が、子供の医療費を大幅に軽減してくれるのです。
自治体によって差がありますが、子供が小学生または中学生になるまでの間、医療費や入院費が無料あるいは数百円になるのです。
ですから、子供のけがや病気で大きな手術が必要になったり長期入院することになったりしたからといって、高額な医療費を請求されることはないと考えて差し支えありません。
子供に必要なのは死亡保障よりも教育資金
子供に保険をかけるのであれば、生命保険や医療保険よりも、「学資保険」を選ぶべきです。
学資保険とは?
学資保険とは、両親のどちらか(または祖父母)を契約者、子供を被保険者にして契約する、生命保険の一種です。
途中で解約すると元本割れしてしまいますが、積立貯蓄をする要領で毎月保険料を支払い続けていれば、満期時すなわち子供の大学入学時に200万円などまとまった資金を受け取ることができます。
そして契約者に万一のことがあれば、以後の保険料支払いは免除され、それでも期日には保険金が支払われるので、子供に確実に教育費を用意できるのです。
一例として、フコク生命の学資保険『みらいのつばさ(J型)』を挙げます。
契約者は30歳男性、被保険者は0歳の男児、満期保険金額100万円として試算します。
- 月払い保険料:8,897円
- 保険料払込期間:被保険者が17歳まで
- 払込保険料総額181万4,988円
- 受取総額:200万円(18歳時の大学入学祝金100万円、22歳時の満期保険金100万円)
- 戻り率:110.1%
子供の高校卒業までは、教育費を毎月の家計から捻出することは難しくありません。
しかし大学の授業料は高額で、特に入学初年度には支出は100万円を超え、家計を圧迫します。
子供が小さいうちから、学資保険を利用して将来の学資金の準備を始めておくと、親に万一のときの保障もあるので安心です。
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しかも、戻り率が110%を超えるって、現在の超低金利な定期預金と比べれば、ずいぶん有利です!
ところで、学資保険に「育英年金特約」というのが用意されている保険商品もあるようなのですが、これは利用する価値があるのでしょうか?
育英年金は必要か?
育英年金とは、学資保険に付加できる特約の一種で、月額20万円のように、親の万一以後の養育費を保障するための特約です。
親に万一のことがあっても、子供が未成年の間はなかなかお金は稼げないもの。
まるで親がお給料を稼いでくるように育英年金を受け取れるというのは、一見して魅力的です。
ですが、この育英年金特約の付加はおすすめできません。
というのは、この特約を付加することによって、せっかくの学資保険の貯蓄性が失われてしまうからです。
育英年金の金額にもよりますが、返戻率は大幅に下落し、ほとんどの場合は100%を下回るでしょう。
総支払保険料が受取総額を下回るようでは、貯蓄型保険としての魅力は消えてしまうと言って良いでしょう。
それでも養育費を用意したいなら、収入保障保険を
育英年金のように、万一の時以後も年金形式で継続的に保険金を受け取りたいのであれば、「収入保障保険」(「家族収入保険」とも呼ばれます)がおすすめです。
収入保障保険は定期生命保険の一種で、被保険者に万一のことがあると、以後満期日まで年金形式で保険金を受け取ることができる保険です。
中でもおすすめ商品は、東京海上日動あんしん生命の『家計保障定期保険 就業不能保障プラン』です。
30歳男性を契約者としたときの保険料と保障内容を見てみましょう。
- 月払保険料:8390円
- 保険料払込期間:55歳まで
- 保険期間・保険金支払期間:60歳まで
- 死亡・高度障害になって以後:月額給付金15万円
- 5疾病で就労不能・病気やけがで所定の要介護状態になって以後:月額給付金10万円
- 最低支払保証期間:5年間
もし契約者であるお父さんに万一のことがあれば、そのお父さんが60歳になるはずだった時期まで毎月15万円の保険金(5疾病で就業不能または所定の要介護状態の場合は毎月10万円)を年金形式で受け取ることができます。
このため保険金総額は契約期間の経過とともにだんだんと減っていき、40歳時に万一のことが起こったなら、保険金総額は20年間×12か月×15万円=3600万円で、同様に50歳時なら、保険金総額は10年間×12か月×15万円=1800万円となります。
子供の成長に伴って、万一の時の必要保障額はだんだんと減っていくので、遺族の生活費を準備するのに適した生命保険だと言えますね。
この収入保障保険には「育英」や「養育」という文言は含まれていませんが、受け取る保険金を何に使うかは遺族の自由ですよね。
学資保険の育英年金と同様の、遺された子供の生活保障の機能を果たすのです。
また、家計の状況が芳しくなくなって毎月の保険料支払いが困難になってしまった時にも、学資保険プラス収入保障保険という組み合わせが有利です。
なぜなら、学資保険に育英年金特約を付加していた場合には、主契約である学資保険を解約してしまうと自動的に特約部分である育英年金も解約となってしまうので、改めて定期生命保険や収入保障保険に加入しなおすことになります。
もしこの時に健康状態が悪化していると、最悪の場合には新しい保険には加入できません。
健康状態が良くても年齢は上昇しているはずなので、やはり比較的不利な条件で新保険に加入するはめになるのです。
その点、学資保険と収入保障保険を別々に契約していたなら、片方を解約してももう片方は契約を継続することができるのです。
まとめ
- 万一のことがあっても遺族は経済的に困らないので、子供に生命保険は不要。
- 各自治体が子供医療費助成制度を設けているので、子供の医療保険も不要。
- 子どものために保険をかけるなら、教育費を準備する学資保険がおすすめ。
- 学資保険の育英年金特約はおすすめできない。
- 親の万一の時以後の子供の養育費を用意したいなら、収入保障保険がおすすめ。
じゃから、大学費用も何とかならんもんかの…。