計画的な資産形成が魅力!終身型生命保険のメリット・デメリットまとめ
保険は一家の稼ぎ頭に死亡保険をかけたり自宅に火災保険をかけることで、収入が途絶えたり高額な支出が発生したりすることに、備えることができます。
しかし、実は保険の機能はそれだけではありません。
保険の中には「貯蓄型保険」と言って、万一の事態に備えながらも将来のための資産形成に役立つものもあるのです。
今回は貯蓄型保険の中でも、「終身保険」に絞って解説したいと思います。
銀行預金や投資信託だけではなく、保険でも資産形成を始めてみませんか?
生命保険について基本を知ろう
「定期保険」と「終身保険」、まずはこの違いから押さえておきましょう。
どちらも、万一の時(死亡保険なら被保険者が死亡した時)に保険金が支払われる点では同様です。両者が唯一異なる点は、保険期間です。
- 定期保険
「10年間」や「60歳満了」のように、保険期間が契約時に決まっており、その保険期間が終了すると自動的に保険契約が消滅する。 - 終身保険
保険期間は「終身」つまり一生涯である。それゆえ、解約しない限り保険契約は被保険者の死亡まで継続する。
でもちょっと待ってくださいよ…。
死亡保険が一生涯続くって言っても、生涯の最後にはみんな必ず死を迎えますよね?
終身保険は解約しない限り必ず保険金を受け取ることができる。
一方で定期保険は、満期までに幸いにして万一のことが無ければ、保険金はもちろん満期返戻金も受け取れん。
これが「定期保険は掛け捨て」と言われる理由なのじゃ。
終身生命保険のメリット・デメリット
「保険金がもらえるかどうかわからない」と「絶対に保険金をもらえる」なら、迷う余地はないですよ。
じゃが、保険料を比べてみても、はたして同じことが言えるかの?
オリックス生命の「定期保険FineSave」と「終身保険RISE」の保険料を比較してみましょう。
契約年齢30歳、男性のもので保険料試算しています。
定期保険Finesave | 終身保険RISE | |
---|---|---|
保険期間 | 10年満了 | 終身 |
保険料払込期間 | 10年 | 60歳払済 |
保険金額 | 1,000万円 | 1,000万円 |
月額保険料 | 1,830円 | 2万1,740円 |
月額1,830円と2万1,740円、支払う保険料には実に10倍もの差があることが分かりますね。
一家の稼ぎ頭に万一のことがあったときのために遺族の生活費を保険で用意するとなれば、必要保障額は1,000万円では不十分なことが多いでしょう。
終身保険で2,000万円、3,000万円という必要保障額を用意するとなれば、支払月額保険料は3万円~5万円にも上ることになり、これでは毎月の支出に占める保険料の割合が高くなり家計を圧迫してしまいます。
じゃあ、終身保険のメリットはどこにあるのでしょうか?
終身生命保険のメリット
メリット① 高い払戻率
終身保険の最大の魅力は、高額な解約払戻金(「解約返戻金」ともよばれます)にあります。
そもそも終身保険は、解約しない限りかならず保険金支払いが発生する保険でしたね。
ですから、生命保険会社は終身保険の保険金支払いのために、高額な責任準備金を積み立てています。
この責任準備金というのは、将来の保険金に充てられるわけですから、生命保険会社が積み立てている時点ですでに、保険契約者の資産であると言っても過言ではありません。
ですから、責任準備金の一部は解約時には解約払戻金として契約者に還付されるのです。
そして、この責任準備金はただただ積み立てられているのではなく、生命保険会社が運用しているので、必要経費が差し引かれるものの、少しずつ増えていくという性質を持っています。
それでは、先ほどのオリックス生命「終身保険RISE」を例に、解約払戻金がどれほどになるのかを見てみましょう。
保険金額は500万円、男性が30歳時点で保険料60歳払込満了という契約で「終身保険RISE」に加入するというプランです。
この場合、月額保険料は10,920円となります。
年齢 | 経過年数 | 払込保険料総額 | 解約払戻金 | 払戻率 | 定期預金積立複利 |
---|---|---|---|---|---|
40歳 | 10年 | 1,310,400円 | 952,150円 | 72.6% | 100.045% |
50歳 | 20年 | 2,620,800円 | 1,963,600円 | 74.9% | 100.095% |
60歳 (低解約払戻期間経過直後) | 30年 | 3,931,200円 | 4,355,900円 | 110.8% | 100.145% |
70歳 | 40年 | 3,931.200円 | 4,571,800円 | 116.2% | 100.245% |
80歳 | 50年 | 3,931.200円 | 4,755,700円 | 120.9% | 100.345% |
※比較対象として、メガバンクの定期預金金利0.01%で30年間積立し、その後も定期預金を更新したときの複利を最右列に掲載。
終身保険RISEは、「低解約払戻金型終身保険」と呼ばれている、近年主流となっているタイプの保険です。
この保険は、一般の終身保険よりも低解約払戻期間(保険料払込期間)中の払戻率(「返戻率」ともよばれます)が低く抑えられている代わりに、その期間経過後には払戻率が高くなるという特徴を持っています。
それでは、上の表を見てみましょう。
保険料払込期間である60歳までの30年間に解約すると、大きく「元本割れ」してしまいますが、低解約払戻期間経過直後の払戻率は110.8%で、その後も払戻率は116.2%、120.9%とどんどん上昇していることが分かります。
一方で現在のメガバンクの定期預金金利は0.01%。
50年経過しても複利で1%も殖えない定期預金積立と比較すると、終身保険の資産形成効果が非常に大きいことがご理解いただけるでしょう。
これが、終身保険が「貯蓄型保険」だと呼ばれる理由です。
メリット② 保障を得ながらの資産形成
それに、「終身保険RISE」の上記のプランの場合、解約しなければ万一の時に500万円の保険金が受け取れるということも忘れてはなりません。
不慮の事態に備えながら資産形成ができるというのが、終身保険のメリットなのです。
メリット③ 税金対策
また、資産形成するとは言っても生命保険であることには違いないので、生命保険料控除という所得控除が受けられ、所得税と住民税を圧縮できます。
また、保険金受取人を子や孫といった相続人にすることで非課税枠が設けられ、相続税対策にもなります。
これらの節税効果があるというのも終身保険のメリットだと言えるでしょう。
メリット④ 心理的資産形成圧力
他には、全期間元本保証される定期預金などと違って、保険料払込期間中に解約すると大きく元本割れするという特徴から、途中解約したくないという心理的圧力がかかり、半強制的に資産形成ができるというのも、メリットだと言えばメリットなのでしょうか。
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終身保険のデメリット
もちろん、世の中に良いことづくめで悪い点がないというものはありません。
終身保険にも、デメリットは存在します。
デメリット① 途中解約による元本割れ
まずは、保険料払込期間中に途中解約してしまうと、大きく元本割れしてしまうという点が挙げられます。
住宅のリフォームや子供の教育など、人生には死亡や病気以外にも予期せぬ大きな出費が発生する可能性があります。
まとまった資金が必要になって、途中解約せざるを得ないこともあるでしょう。
そんなときに元本保証がないというのは、やはり資産形成上はリスクであると言えます。
デメリット② インフレリスク
また、資産形成の面では「見えない元本割れ」というリスクを考える必要があります。
例えば先ほどの「終身保険RISE」のプランの場合、50年後の払戻率は136.7%でした。
ですがもしこの50年間に、物価が50%上昇(インフレ)したとすれば、それはもはや「資産が殖える」とは言えないでしょう。
そして、50年間という期間は、物価がそのくらいは変動するには十分すぎる長さなのです。
このインフレによる資産の目減り、そしてその可能性が十分ある契約期間の長さというのも、終身保険のデメリットです。
ただし、このリスクに対応する、「変動型終身保険」という保険商品も存在します。
デメリット③ 高額保険料
最後に、前半で解説したことですが、単に死亡保障を得たいだけならば、定期保険と比較したときの保険料の高さというのもデメリットに数えて良いでしょう。
まとめ
- 終身保険は保険期間が一生涯のため、必ず保険金を受け取ることができる。
- 終身保険は定期保険と比べると、非常に保険料が高額になる。
- 終身保険は高い解約払戻金が魅力で、このために資産形成に向く。
- 終身保険による資産形成には、元本割れリスクやインフレリスクといったデメリットがある。
資産形成には、投資信託や不動産投資といった資産運用、今後は個人型確定拠出年金という選択肢もあるし、どう活用したら良いのか、混乱しちゃいますよ…。
保険だけ、投資だけ、年金だけ、という偏った資産形成はおすすめできん。
じゃから、全分野に見識あるファイナンシャルプランナーに相談してみるのが良いぞ。