終身保険、私に合ってる?保険を見直したくなった時に考えたいこと
一定期間保障が得られる、掛け捨ての定期保険に対し、保障が一生涯続く終身保険。
定期保険であれば更新時に保障内容を確認して、必要であれば保障金額などを見直しすることになります。
ですが、終身保険には更新がありません。
またせっかく加入したのだからと、契約時のまま手つかずでそのままにしておいてしまっている方も多いのではないでしょうか?
そこに、保険見直しの盲点が潜んでいるかもしれません。
今回は、終身保険の種類や見直しについて、解説したいと思います!
終身生命保険にも種類があります
一口に「終身保険」と言っても、いくつかの種類があります。
また、それに特約をプラスする形で、さまざまな「終身保険」商品が販売されているのが現状です。
ということで、まずは終身保険にはどのような種類のものがあるのか、順番にお伝えします。
そもそも終身保険とは?
いわゆる「終身保険」とは、終身死亡保険つまり被保険者の生涯にわたって、死亡時に保険金が支払われる保障をする保険のことです。
「一生涯にわたって死亡保障する」ということは、いったん契約すると解約しない限り必ず保険金が支払われるということです。
終身保険が葬儀代などを用意するのに適していると言われる所以は、ここにあります。
必ず保険金支払いがあるので、保険料は定期保険に比べて高額になり、保険会社は保険金支払いに備えて多額の支払準備金を蓄える、というのが終身保険の特徴です。
そして、保険金支払いのための支払準備金は、終身保険の解約時には解約返戻金として加入者に返ってきます。
この解約返戻金は、契約後数年間はほとんどありませんが、払込満了後には総支払保険料を上回り、その後も上昇し続けることになります。
このため、保険料を積み立てる感覚で、解約返戻金の将来的な「利回り」を考えて、資産運用の一環として終身保険を利用する場合もあります。
これが、終身保険が養老保険などと同様に「貯蓄型保険」と呼ばれる理由なのです。
そして、貯蓄目的で終身保険を利用する人が多いため、生命保険会社は低解約返戻金型終身保険や変動終身保険というバリエーションを開発したのです。
低解約返戻金型終身保険とは?
「低解約返戻金特則付終身保険」とも呼ばれます。
保険料払込期間中に解約した場合、解約返戻金が一般の終身保険の約7割に抑えられているところが特徴です。
ただし、その分保険料払済後は解約返戻金が一般の終身保険より高めに設定されています。
つまり、
●早期に解約すると損
というデメリットがある一方で、
●長期間加入し続けるとお得度が高い
というメリットがあるのです。
また、上記のデメリットがあるために、保険料支払い中の加入者が「なるべく解約したくない」という気持ちになり、誘惑に負けずに貯め続けることができる、というのも隠れたメリットでしょう。
ということは、契約時に保障金額を十分に検討して、余裕をもって保険料を払い続けることができるように注意しなければなりませんね!
しかし、資産形成を考えるなら「見えない元本割れ」にも注意しておかねばならんぞ。
変動型終身保険とは?
「見えない元本割れ」とは、景気変動によりインフレーションが起こることによって発生する、資産価値の目減りのことです。
例えば、現在100万円で購入できるものが、30年後に購入しようとすると150万円に値上がりするとしましょう。
この場合「物価は50%上昇した」というふうに表現されます。
そして、この30年間に終身保険で100万円を運用した「利回り」が120%だったとしましょう。
そうすると、終身保険を利用したことにより資産は100万円から120万円に増えますが、その120万円では終身保険の契約時に100万円だったものを購入できません。
終身保険では20年、30年など長期間の加入を前提に契約するケースが多いですが、その期間に上記のような物価変動が起こる可能性(インフレリスク)は十分に考えられるのです。
この「見えない元本割れ」にも対応できるのが、「積立利率変動型終身保険」とも呼ばれる、変動終身保険なのです。
一般の終身保険では、契約時に予定利率が決まっています。
これは、保険会社が将来の景気動向を予測して決定しているのです。
それに対して変動型終身保険は、契約時に予定利率を設定せず、加入している間定期的に利率を見直すというのが特徴です。
見直される利率は、景気動向によって変動する市場金利に合わせて決定されるので、インフレーションが起これば利率は上がり、デフレーションになれば利率は下がることになります。
景気が過熱して物価上昇するようなことがあっても、変動型終身保険ならそれに合わせて利率も上昇するので、安定して資産形成ができるのです。
また、仮に大きなデフレーションになっても、利率がマイナスになるようなことはありません。
変動型終身保険には最低保証利率が設定されているので、それを下回って「元本割れ」することはないのです。
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終身保険を見直すタイミングと内容
それでは、いよいよ終身保険の見直しを検討しましょう。
まずは、現在加入している終身保険がどの種類の終身保険なのかを確認しましょう。
もし、あなたの加入しているのが定期保険特約付終身保険なら、注意が必要です。
定期保険特約付終身保険はすぐに見直しを
主契約である終身保険に特約で定期死亡保障が付いているもの、特に
・主契約の終身保険の保障金額:200万円
・特約部分の定期保険の保障金額:2800万円
のように、特約部分の保障金額が大きすぎるものには注意が必要です。
上記の例の場合、合計保障金額が3000万円となり、また保険の名称が「~~終身保険」のため、3000万円の保障が、同じ保険料で一生涯続く終身保険というふうに誤解してはいないでしょうか?
この保険の定期部分(上の例の場合2800万円)は、定期保険ゆえ10年など一定期間ごとの更新が必要で、当然更新時ごとに年齢が高まるので保険料は上昇していきます。
また、健康状態の変化などにより、更新自体ができない可能性もあります。
にもかかわらず、そのあたりをきちんと説明しない悪質な保険営業職員に勧誘されて、よく理解しないまま定期特約付終身保険に加入している例が少なくないのです。
もしこの保険に加入している場合は、保険自体を解約したほうが無難でしょう。
ただし、契約のタイミングが古い場合には、主契約部分については予定利率が高い「お宝保険」である可能性もあります。
予定利率を最近の保険商品と比較して、現在加入しているものの方が有利なようでしたら、定期特約部分だけ解約して主契約の終身部分を残すという手もあります。
終身保険の保障内容、契約内容の確認を今一度!
なるべく見直さないほうが良いんじゃないですか?
じゃが、長い人生にはいろいろなことがある。
なるべく終身保険自体はいじらずに、見直したいところじゃの。
結婚や出産で、必要保障金額が急に大きくなった
大きな保障を用意するのであれば、掛け捨てだけど保険料が安い定期保険の方が有利です。
ですが必要保障金額は、年月の経過とともに残りの人生が短くなり子供も成長するので、だんだんと小さくなるものです。
現在加入している主契約に収入保障特約(家族収入特約)などの定期特約を、一時的につけてはいかがでしょうか。
それでも保険料支払いが厳しいようでしたら、保障金額を減らして保険料を減らしても良いかもしれません。
急にまとまったお金が必要になった
だからといって、元本割れする解約返戻金を当てにするのは、尚早です。
保険会社は契約者に、加入中の保険を担保にしてお金を貸してくれます。
これを「契約者貸付」と呼びます。
当然契約者貸付にも利息は発生しますが、もしまとまったお金が必要なのが一時的なことにすぎないのであれば、その利息よりも終身保険の「運用益」の方が高くなるので、こちらの方が有利となる可能性が高いのです。
メリットたくさん!終身保険の活用法
でも、長引く不景気で利率には魅力がなくなってきていますよね…。
何とかならないんですか?
保険で資産形成するメリットとは?
資産形成というと積立預貯金や積立投資信託など他にも方法がありますが、保険だからこそのメリットもあります。
●万一の時には保険金が支払われる
教育資金や住宅の改築資金などを積み立てている場合、預貯金や投資だと、積み立てている本人に万一のことがあると、当然積立はそこでストップします。
ですが、保険の場合は保険金が支払われるので、積立途中で万一のことがあっても、予定していた資金を受け取ることができます。
●税金対策になる
終身保険も生命保険料控除の対象のため、最大で4万円(旧制度の場合5万円)が所得控除されます。
これによって、所得税と個人住民税が節税できるのです。
また、子どもを受取人として終身保険に加入することによって、受取人×500万円の非課税枠が得られ、相続税対策にもなります。
●途中解約すると不利なので、資産形成する意思が持続しやすい
前述の通り、途中解約による元本割れを避けるために、資産形成の意思が持続しやすくなるでしょう。
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さらに貯蓄性をあげるために
とはいえ、昔と比べると利率が低くなってしまっているのは事実です。
最後に、終身保険の貯蓄率を上げる方法を紹介しておきましょう。
●お金を受け取る時期を遅らせる
保険会社は、加入者から預かったお金を運用しています。
ですから、お金を受け取る時期が遅くなればなるほど、貯蓄率は高くなるのです。
具体的には、解約する時期を遅らせるほかに、解約返戻金を一時金ではなく年金方式で受け取るという方法もあります。
●保険料を支払う時期を早める
同様に、保険料を早くに支払ってしまうことで、貯蓄率は高まります。
・月払い
・半年払い
・年払い
・一時払い
の順に、貯蓄率が高くなっていきます。
また、一時払いは契約時に保険会社に保険料全額を支払いますが、同様に保険料全額を用意するのは同じでも、保険会社に預けておくだけという「全期前納払い」という払い方もあります。
この保険料は一時払いよりも高くなりますが、万一の時に未経過分の保険料の返還を受けられる、生命保険料控除を毎年受けられるという、一時払いにはないメリットがあります。
まとめ
- 終身保険には「低解約返戻金型終身保険」「変動型終身保険」という種類もある。
- 「定期保険特約付終身保険」には注意が必要。
- 終身保険は途中解約すると「元本割れ」が発生するため、見直し時にはなるべく現在加入しているものを活かしたい。
- 保険による資産形成には、預貯金や投資にはないメリットがある。
- 保険料を一時払いや全期前納払いにしたり、解約金を受け取る時期を後ろ倒しすることで、終身保険の貯蓄率は上がる。
さっそく私も、終身保険を契約しよっと♪
資産形成の王道は、バランスよくじゃ。
預貯金には預貯金の、株式投資には株式投資のメリットがある。
保険にだけにかたよるのは問題じゃぞ。
ファイナンシャルプランナーのような専門家に相談してはどうかの