うつ病、高血圧…既往歴・持病がある人向けの保険見直し

現在は持病があっても入れる保険も増えてきましたが、そういった保険は保険料が高かったり、保障が薄いというネックがあります。

しかし、既往歴や持病があっても病気になった時期や病状によっては健康な人と同じ保険に加入することも可能です!

今回は既往歴や持病がある人がどうしたらより良い保険見直しができるのかについて解説します。

病気が完治して5年以上経っている場合は通常の保険に申し込める

まずは、よくある誤解から解いておきましょう。

過去に病気やけがで入院や手術の経験がある人でも、最後の入院・手術か完治から5年以上経過している場合は、生命保険においては一切病気をしたことがない人と同様に扱われます。

つまり5年以上経ってからの申し込みであれば、通常の保険に何の障害もなく加入できるのです。

さらに言えば、入院や手術をしてしまっても、その後5年間を無事に過ごすことができれば、保険加入のチャンスが回復することになるのです。

実際の商品で確かめてみましょう。

生命保険では、申し込み時に「告知」といって、自身の健康状態などを問う告知書に回答することが求められます。

そして、告知内容によっては引受不可として保険加入を断られてしまうことがあります。

それがすなわち「保険に加入できない」ということなのですね。

例に挙げるのは、オリックス生命の医療保険『新キュア』の告知事項です。

  • 最近3か月以内に、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。
  • 過去5年以内に、病気やケガで、継続して7日以上の入院をしたことがありますか。
  • 過去5年以内に、病気やケガで、手術をうけたことがありますか。
  • 過去5年以内に、別表(※)のいずれかの病気で、一度でも医師の診察検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。
    ※高血圧症や心筋梗塞、脳内出血やうつ病などの病名が列挙されています。
  • 過去5年以内に、別表(※)以外の病気やケガで、通算して7日以上にわたり医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかをうけたことがありますか。
  • 過去2年以内に、健康診断・人間ドックをうけて、以下の臓器または検査の項目で以上を指摘されたことがありますか。(臓器や検査の内容は割愛)

確かに!「最近3か月」「過去2年以内」「過去5年以内」と3種類の期間設定がありますが、最長でも5年ですもんね~。
うむ。つまり、5年以上経過しているなら、病気でもケガでも、病名にかかわらず、入院・手術・診察・検査・治療・投薬の何があっても問題ないということじゃな。
これは、うつ病や自律神経失調症などの精神疾患でも同じことが言えるぞい。


ただし、あくまでも完治から5年間ですので、自己判断で治療を中断したままの場合は、きちんとその旨を告知しないと告知義務違反になる可能性があります。

難病指定、治療中、病気治療から5年以内の場合は条件つき加入を検討

過去5年以内に既往歴があったり持病があったりしても、医療保険加入をあきらめる必要はありません。
通常の加入は難しくても、条件付きで保険に加入できる可能性があるためです。

引受緩和型保険または無選択型保険への加入を検討

生命保険会社のなかには、通常の保険以外に、告知内容のハードルを引き下げた保険を用意しているところもあります。

それらの、いわゆる持病があっても入りやすい保険は「引受緩和型保険」と呼ばれます。

それでは、先ほどと同様オリックス生命の引受基準緩和型保険『新キュア・サポート』の告知項目を見てみましょう。

  • 最近3か月以内に、医師から入院、手術、検査のいずれかをすすめられたことがありますか。または、現在入院中ですか。
  • 最近3か月以内に、がんまたは上皮内新生物・慢性肝炎・肝硬変で、医師の診察、検査、治療、投薬のいずれかを受けたことがありますか。
  • 過去2年以内に、病気やけがで入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。
  • 過去5年以内に、がんまたは上皮内新生物で、入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。


「最近3か月」「過去2年以内」「過去5年以内」のどの期間においても、『新キュア』よりも告知条件が甘くなっているのが分かりますね。

ただしこれらの引受緩和型保険は、通常の保険に比べて加入しやすい分、保険料が割高に、また保障内容が薄くなるという特徴もあります。

保険料と保障内容を比較

『新キュア』と『新キュア・サポート』の保険料と保障内容を比較してみましょう。

 通常の医療保険
『新キュア』
引受緩和型保険
『新キュア・サポート』
30歳男性の月額保険料1,582円2,860円
(基本プラン)
3,155円
(生活習慣病充実プラン)
手術給付金入院中10万円
外来2万5000円
入院中5万円
外来2万5000円
1入院の
入院給付金支払限度日数
通常:60日
七大生活習慣病:120日
三大疾病:無制限
すべて60日通常:60日
七大生活習慣病:120日
三大疾病:無制限
引受緩和型保険は、通常の保険のほぼ2倍の保険料を支払わなきゃならないんですね!これは厳しいな~。
しかも、手術給付金は少ないし、基本プランなら入院保障も短いし…。
踏んだり蹴ったりですよ。持病がある人は、これしか選べないんですか?
ふぉっふぉ。実は、そうでもないのじゃよ。
実は通常の保険に加入するという手が残されているのじゃ。


なお、引受緩和型保険よりも条件がやさしい、告知事項が設定されていない「無選択型保険」もあります。

もちろん引受緩和型保険よりも保険料は高額になり、保障内容は薄くなります。

通常の保険への加入を検討

先ほどのオリックス生命『新キュア・サポート』の公式ページには、引受緩和型保険の保険料が『新キュア』よりも割高であることが指摘されたうえで、こう書かれています。

  • 健康状態について、より詳細な告知をいただくことで、保険料が割増しされていない当社の他の商品にご契約いただける場合があります。


これは、通常の保険である『新キュア』に、持病や既往歴があっても加入できる可能性があることを示しています。

例えば、持病があってもその状態が安定していて、入院や手術の可能性が低く見込まれる場合は、加入が認められる可能性があるのです。

これは、難病指定や特定疾患、またうつ病のような精神疾患の場合でも同様です。

ただし、特定部位不担保や特定疾病不担保、割増保険料といった条件が付く可能性はあります。
それぞれ簡単に解説しましょう。

特定部位不担保

特定の部位に関する保障はしないという条件のことです。

例えば痔の病歴があったために、直腸及び肛門が不担保になるなどが考えられます。

特定疾病不担保

特定の疾病に関する保障はしないという条件のことです。

例えば切迫流産の既往歴があったために、異常妊娠・異常分娩が不担保になるなどが考えられます。

割増保険料

その名の通り、保険料が通常よりも割り増しになります。

生命保険会社が提示する保険料が、保障内容も含めて引受緩和型保険よりも有利である可能性もありますから、チャレンジする価値はあるでしょう。

「部位不担保」に「疾病不担保」か…。
たしかに保険会社にとっても、一度経験した疾病まで保障するのはリスクですもんね…。
でも、たとえば一度切迫流産をしただけで、手足や臓器を含む全身の保障が高額になるというのも、腑に落ちません。
そう考えれば、これは痒い所に手が届く考え方ですね♪
うむ。じゃから、告知は包み隠さず丁寧にすることが重要じゃ。
それが保険加入の選択肢を広げることになるんじゃからの。
もちろん、5年以内に病気治療の経験があれば、特にそれが精神疾患なら、加入を断られることともあるんじゃがの。

保険を見直すより現在の契約を継続したほうが良い場合も

死亡保険でも医療保険でも、生命保険各社は新商品開発にしのぎを削っていますので、どうしても新しい保険には目がいってしまいます。

しかし入院や手術を経験したのであれば、保険見直しの際には、現在加入している保険契約継続を検討するのも重要です。

更新タイプの保険なら、再度の告知の必要は無い

終身保険なら、解約さえしなければ保障は一生涯継続するので、契約途中で手術やけがをしても、その後も保障が続きます。

一方定期保険は、その契約の仕方によって「更新タイプ」と「年齢満了タイプ」の2種類に分かれます。

更新タイプ:契約時に定めた一定期間ごとに保険契約を更新することができ、更新のたびに保険料が上がる。

年齢満了タイプ:契約時に定めた保障期間が過ぎれば契約が終了し、更新されない。

ここで重要なんじゃが、更新タイプの保険を更新するときには、保険料こそ上がるんじゃが、再度の告知は不要ということなんじゃ。
ということは、更新時からさかのぼって5年以内に入院や手術、治療の経験があっても、問題なく保険契約を更新できるんですね!
ふぉっふぉ。そうなのじゃ。
更新時には年齢が上昇している分、保険料が上がるのは確かじゃ。
それが気になるというのであれば、保障額を減らして継続するというのも手じゃぞ。


それでも医療技術は日々進歩しているので、保険が古く契約内容に不安がある場合は、引受緩和型保険や無選択型保険と比較してみるのも良いでしょう。

新しい保険の保障が始まるまで既存保険の解約はしない

引受緩和型保険に無選択型保険、通常の保険でも部位不担保に疾病不担保という可能性もあって、現在加入している保険を更新するという選択肢もあるんですね…。
う~ん、持病や既往歴がある人の保険見直しって、選択肢がいっぱいで悩んじゃいますね!
そうかのう。確かに様々な可能性が考えられるが、そのどれもが選択できるわけじゃないことを忘れてはいかんぞい。
人によっては、あらゆる可能性を試して、選べるのは現在の保険契約の更新という1種類しかないということもあるはずじゃ。
なるほど!ということは、保険見直しの際には、新しい保障が始まるまでは現在加入している保険を解約しないことが重要ですね。


万が一無保険になる期間が生じてしまい、どうしても保険に加入したい場合は、一時的に引受緩和型保険や無選択型保険を検討しましょう。

保険料は高くなりますが、その分審査は甘くなります。

終身保険の払い済みには注意!

最後に、終身保険に医療特約を付けることによって、医療保障を確保しているケースについて考えてみましょう。

終身保険は定期保険よりも保険料が高額になるため、中には保険料払込途中でその負担に耐えられなくなることも考えられます。

そんなとき、それまで払い込んだ保険料による保障を残したままで、以後の保険料支払いをストップする「払い済み」を選択することとができます。

このことによって以後の保険料負担から解放され、薄くはなりますが保障を継続することができますね。

しかし、終身保険を払い済みにしてしまうと、医療特約は消滅してしまうのです。

ですから、医療保障をこれに頼っていた場合には、払い済みを選択することによって、やはり医療について無保険状態になってしまいます。

終身保険を払い済みにするなら、その前に新しい医療保険を確保しておくのが賢明でしょう。

持病があっても入れる、おすすめの保険一覧

それでは、最後に持病があっても入れる保険商品を、死亡保険と医療保険それぞれ3商品ずつご紹介しましょう!

持病があっても入れるおすすめの死亡保険

保険料は40歳男性、死亡保険金200万円のもの。
保険料支払と保障期間はともに終身でシミュレーションしています。

●『新ライズ・サポート』(オリックス生命)
・月額保険料:4316円
・20歳から85歳までと、契約可能な年齢幅が広い。

●『持病があっても!終身保険』(AIG富士生命)
・月額保険料:4210円
・保険料が割安。

●『ずっとスマイル』(メットライフ生命)
・月額保険料:5162円
・持病(既往症)を原因とする死亡でも、保険金が支払われる。
・災害死亡の場合は、支払われる保険金が4倍になる。

持病があっても入れるおすすめの医療保険

保険料は40歳男性のもので、入院日額5000円、先進医療特約を付加したものです。
保険料支払と保障期間はともに終身でシミュレーションしています。

●『キュアサポート』(オリックス生命)
・月額保険料:3920円 1入院の給付金支払限度日数:60日
・手術給付金:5万円(外来なら2万5000円)
・1入院の給付金支払限度日数は、七大生活習慣病で120日、三大疾病なら無制限に延びる。
・保険加入前にかかっていた病気が悪化した場合の入院・手術についても、給付金が支払われる。
・さらに、終身死亡保障特約やがん一時金特約・三大疾病一時金特約をつけることができる。

●『ゴールドメディワイド』(富士生命)
・月額保険料:5005円 1入院の給付金支払限度日数:30日
・手術給付金10万円(外来なら2万5000円)
・給付金支払いが無ければ、5年ごとに健康ボーナスとして10万円が支払われる。

●『OKメディカル』(アクサ生命)
・月額保険料:3509円 1入院の給付金支払限度日数:60日
・手術給付金:5万円
・保険加入前にかかっていた病気の悪化や再発の場合の入院・手術についても、給付金が支払われる。
・さらに、終身死亡保険特約をつけることができる。

同じ引受基準緩和型保険でも、保険料にはわりと差があるんですね…。
そこじゃ。保険料の差の理由は、もちろん各保険会社の懐事情もあるか、告知内容がどれだけ甘いか、厳しいかの違いによるのじゃ。

じゃから、保険料が割安な保険(=審査が厳しい保険)には加入できなくても、保険料が割高な保険(=審査が甘い保険)には加入できることもあるぞい。

まとめ

  • 過去に病気やケガがあっても、完治や最後の入院・手術から5年以上経過していれば、通常の保険に加入できる。
  • 通常の保険に加入できない人には引受緩和型保険や無選択型保険があるが、保険料は高額で保障内容も薄くなる。
  • 告知内容によっては、通常の保険に部位不担保や疾病不担保で加入できることもある。
  • 現在加入している保険が更新タイプなら、再度の告知なしで更新できる。
  • 新しい保険がスタートするまでは、加入している保険は解約しないようにしよう。
う~ん。今回は考えさせられました。
病気やケガを経験したというだけで、こんなにも保険見直しで悩まなきゃならないんですね…。
うむ。そうじゃの。
じゃから、生命保険は健康を保っているうちに、加入しておいたほうが良いとも言われるの。
まぁそんな健康状態のときには、なかなか保険の必要性を自覚できんがの…。

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