保険を見直すときの解約の注意点とは?
保険の見直しをいざ実行しよう!となると、避けては通れないのが、現在加入している保険の解約です。
生命保険会社の営業担当者は、保険加入については丁寧に説明してくれますが、解約時に同様のサービスは期待できません。
保険解約手続きに必要な知識はあらかじめ持っておきたいですよね。
今回は、保険見直しには欠かせない、解約手続きについて解説いたします!
スムーズに保険を解約する方法
もう保険を解約すると決意したのであれば、保険解約手続きはなるべくスムーズに進めたいものですよね。
スムーズに保険を解約するためには、かつて保険契約を結んだ時の営業担当者に連絡するのではなく、保険会社のコールセンターに直接連絡するのがお勧めです。
というのも、保険会社所属の営業マンのお給料は、歩合制つまり営業成績によって上下するシステムが一般的だからです。
契約の解除は営業成績にかかわる大切な顧客を失う手続きになるため、解約を思い直すことや新たな保険商品の提案を顧客に迫ったりすることもあります。
解約を申し出ても手続きが始まらなければその間にも保険契約は続行しているわけですから、保険料支払い義務も継続することになります。
その点、コールセンターで電話対応するオペレーターや窓口担当者は、そういった歩合制とは無関係にお仕事をされていることが多いです。
このため、解約を嫌がる営業職員よりは事務的に、つまり短時間でスムーズに保険解約手続きを進めてくれることが多いのです。
それじゃあ、特に彼らが解約を渋る保険はどんなものがあるんでしょうか?
代表的なのは定期特約付終身保険かの。
保険を解約するときの注意点
保険見直しのための解約手続きの際には、新しく加入する保険が有効になるタイミングに注意しておきましょう。
保険見直しの鉄則は、先に新しい保険契約が有効になってから、古い保険の解約手続きをするという順番を守ることです。
- 無保険状態の期間(古い保険を先に解約して新しい保険契約が有効になるまで)に、万一のことがあった場合
- 古い保険を先に解約したが新しい保険の審査に落ちて契約できない場合
⇒当然のことながらこの期間に発生した出来事について、保障は一切受けられません。
⇒このまま何もしなければ、永久に無保険状態が続くことになります。また古い保険と同様の保険に再加入するにしても、年齢や健康状態が変わっていますので、これまでよりも不利な条件での加入になるでしょう。
上記のような可能性も考えられますので、新たな保険の契約が開始されるまで見直し前の保険は解約してしまわないようにしましょう。
保険会社との契約が有効になるタイミングは?
保険契約の発効は、責任開始日から
まぎらわしいことに、保険の世界には3つの、似ているが意味が異なる用語があるのです。
①申し込み日
保険への加入を、営業担当者などに申し込んだ日のこと。
②責任開始日
保険への加入が認められ、保険会社に保障の責任が発生する最初の日のこと。
③契約日
契約年齢や保険期間などの計算をする基準となる日のこと。保険商品によって、責任開始日と同じ日になることと、責任開始日の翌月1日になることがあります。
契約時の年齢とともに保険料も上昇しますので、誕生日が近い場合には注意しましょう。
上記の①~③の日の中で、保険契約が成立し発効するのは、②の責任開始日です。
責任開始日は、がん保険以外の場合、次の3つのことがすべて完了した日になります。
- 保険加入申し込み
- 告知(必要な場合は医師の審査)
- 第1回保険料の払い込み
これらのことが同日になされることもありますが、告知の結果医師の審査が長引くなど、申込日から責任開始日までの間がかなり開くというケースもあり得ます。
また、がん保険の場合は特殊で、上記の3つが完了した日から90日または3か月の待機期間があり、待機期間が経過した翌日が責任開始日となるので注意が必要です。
でも、もう解約するって決まっていながら、保険料を払い込むのはなんだか抵抗があります。
何か良い方法はないんですか?
保険料の支払いがなかった場合でも、1か月間は保険が失効しないのじゃ。
その翌月に払い忘れた分も含めて2か月分の保険料を払い込めば、無傷で保険契約を継続できるのが「支払い猶予」という制度なのじゃよ。
もし新しい保険契約が不調な場合は、支払い猶予中に保険料を追納すれば良いってことですね。
解約返戻金に税金はかかるの?
責任準備金の中から、解約返戻金が支払われる
保険の解約時には解約返戻金というお金が払い戻されることがあります。
このお金は、責任準備金から支払われます。
責任準備金とは、保険会社が保険業法に基づいて保険加入者に将来の保険金を支払うために積み立てているお金のことです。
終身保険などの貯蓄性のある保険解約時には、この責任準備金の一部が払い戻されます。
保険会社の運営費が差し引かれるため責任準備金の全額が解約返戻金となるわけではありません。
とはいえ、この責任準備金と解約返戻金との差額は契約から期間が経過するにつれてゼロに近づいていきます。
また、責任準備金は将来の保険金支払いに備えるためのものであるため、将来必ず支払いが発生する終身保険や養老保険では高額になり、満期時には保険金支払い可能性が無くなる定期保険では低額か、解約の時期によってはゼロになります。
しかし、返戻率の高い保険を解約して解約返戻金が高額になると、そこに課税される可能性が出てくるので注意が必要じゃ。
解約返戻金への課税は、受け取り方によって計算方法が異なる
解約返戻金にも税金がかかります。
解約返戻金に課せられるのは所得税なので利益に対してのみ課税されます。
このため、受け取る解約返戻金からそれまでに支払った保険料の総額を差し引いた金額(「X」とします)がマイナスまたはゼロの場合、税金は発生しません。
また、解約返戻金をまとまった一時金で受け取るか年金として受け取るか、受け取り方によって解約返戻金の課税額の算出方法は異なります。
- 一時金として受け取る場合
- 年金として受け取る場合
一時所得として計算されるため、課税額は次の式で計算されます。
課税額=(X-50万円)÷2×その年の所得税率
雑所得として計算されるため、その年の分のXがそのまま所得に算入されて、その年合計の課税所得金額と控除額により、所得税額が決定。
※X=受け取る解約返戻金-支払い保険料総額
受け取り方が選べるなら、課税額も含めてよく比較すべきです!
契約者貸付があっても、解約時にお金を支払う必要はない
保険商品の中には契約者サービスの一環として、「契約者貸付」としてお金の貸し付けを受けることができる商品があります。
しかし、この貸し付けを受けている場合でも、解約時にお金を支払う必要はありません。
なぜならこの貸し付けは、その時点での解約返戻金額の範囲内で行われているからです。
解約返戻金から「契約者貸付」の分減額されますが、貸付したお金を返済しないと解約できないということはありません。
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すぐに解約したほうがいい保険、解約しないほうがお得な保険
定期特約付終身保険は解約したほうが良い
たくさんの種類がある保険商品の中でも、解約したほうが良い保険と解約しないほうがお得な保険があります。
契約者にとって解約したほうが良い保険というのは、保険会社にとっては解約してほしくない有利な保険だということになります。
定期特約付終身保険は、掛け捨て部分が大きく、しかも更新によって保険会社のリスクが少ないという、保険会社にとってメリットの多い保険です。
この保険は解約したほうが良い保険の代表格ですが、それだけ保険会社側からは解約を渋られる可能性があるでしょう。
昔の養老保険や終身保険は解約しないほうがお得
一方、解約しないほうがお得な保険の代表格は、約20年前より以前に契約した養老保険や終身保険です。
これらの保険は貯蓄性が高いことが特徴で、その貯蓄率(予定利率)は現在と比べてずいぶん高く設定されていました。
その時代に契約した貯蓄率が継続しているこれらの保険は、低金利の現在となっては、「お宝保険」とも呼ばれるとてもお得な保険となっているのです。
その分、お宝保険の存在が保険会社の経営を圧迫しているのも事実なので、営業担当者が顧客のデメリットを承知で解約を顧客に迫る、というケースもあるようです。
まとめ
- 保険の解約手続きは、コールセンターに連絡するのがスムーズで良い。
- 定期特約付終身保険は解約したほうが良いが、昔の養老保険や終身保険は解約しないほうがお得。
- 無保険状態を避けるため、古い保険の解約は新しい保険の責任開始日以降にしよう。
- 保険料を納めなくても、1か月なら保険契約は失効しない。
- 解約返戻金が高額なときには、課税されることがある。
保険会社は保険の専門家なんだから、お客様のメリットをもっと考えて対応してくれてもいいのに、って感じちゃいます。
過去には経営に失敗して破綻した生保会社もあったんじゃ。
どうしても専門家の意見がほしいなら、中立な相談所に頼むのが良いのかのう。