豊かなライフスタイルを実現するために、定年前に見直しておきたいクレジットカード

調査目的

令和になり、日本のキャッシュレス化はますます進んでいます。そんな「キャッシュレス時代」と共に到来しようとしている「人生100年時代」。この2つの時代を共存し、豊かなライフスタイルを実現するためのひとつとして、定年前にクレジットカードの見直しをすることは重要だといえます。

まねーぶ調べでは、全国50代~60代前半の被雇用者(定年退職前)を対象にクレジットカードに関する意識調査を行い、定年後のクレジットカード利用意思や見直し状況を明らかにし、最適なクレジットカード選びについてCFP®の小山英斗氏に解説していただきました。

調査回答者の属性(n=322)

調査対象:全国50代~60代前半の被雇用者(クレジットカード保有)322人

調査回答者の属性(n=322)

  • 性別:男性53.7%/女性46.3%
  • 年代:50代前半42.9%/50代後半41.0%/60代前半16.1%
  • 世帯:単独世帯24.8%/夫婦のみ世帯25.2%/夫婦と子世帯28.6%/ひとり親と子世帯9.0%/その他世帯12.4%
  • 雇用形態:正社員(一般社員)42.9%/正社員(管理職)5.3%/契約社員・嘱託社員12.4%/派遣社員3.7%/パート・アルバイト14.3%/フリーランス・業務委託契約5.3%/その他16.1%
  • 個人年収:100万円未満8.7%/100万円以上~150万円未満9.0%/150万円以上~300万円未満37.6%/300万円以上~500万円未満23.3%/500万円以上~700万円未満12.4%/700万円以上~1,000万円未満7.1%/1,000万円以上1.9%

調査1:クレジットカードの保有状況

クレジットカードの平均保有枚数は2.8枚、メインで利用するクレジットカードは「楽天カード」が最多

クレジットカードの保有状況

全国50代~60代前半の被雇用者(定年退職前)を対象にクレジットカードの保有状況について調査したところ、「1枚」が28.6%と最も多く、次いで「2枚」26.7%、「3枚」18.0%と続き、平均保有枚数は2.8枚という結果でした。

保有するクレジットカードのうち、メインで利用しているカードについては、「楽天カード」が35.7%と突出し、次いで「イオンカード」10.6%、「三井住友カード」8.7%と続きました。
その他では、「ENEOSカード」や「シェルスターレックスカード」などのガソリンスタンド発行のクレジットカード利用も目立ちました。

調査2:クレジットカードの利用状況

クレジットカードの利用頻度は週1~3回程度が7割弱、利用金額は月額平均値3.9万円・中央値3万円
利用店・サービスは「オンラインショッピング」が最多、「ガソリンスタンド・ETC料金」も上位に

クレジットカードの利用状況

クレジットカードの利用頻度については、「週1回程度」35.7%、「週2~3回程度」32.3%と、週1~3回が7割弱を占めました。「毎日」は1.9%と僅かながらも、クレジットカードを頻繁に利用していることが伺えます。

ひと月あたりのクレジットカード利用金額については、「5万円以上~10万円未満」が23.3%と最も多く、次いで「1万円以上~2万円未満」18.0%、「3万円以上~5万円未満」17.7%と分かれ、平均値38,500円、中央値30,000円という結果でした。

クレジットカードの利用店・サービスについては、「オンラインショッピング」が236人と突出し、次いで「コンビニ・スーパー」173人、「ガソリンスタンド・ETC料金」138人と続きました。
ETCカードの発行やガソリン代が割安になる特典付きのクレジットカードは多くありますが、飲食店やその他店舗を抜いて利用上位に「ガソリンスタンド・ETC料金」が入るのは意外な結果です。しかし、日常的な買い物からスマホ料金や公共料金などの固定費まで、幅広くクレジットカードを利用していることが明らかになりました。

調査3:定年後のクレジットカード利用意思

9割強が「定年後もクレジットカードを利用したい」、理由は「オンラインショッピング利用のため」が最多

定年後のクレジットカード利用意思

定年後のクレジットカード利用意思については、92.9%が「利用したい」と回答しました。利用したい理由として、「オンラインショッピング利用のため」が219人と最も多く、次いで「ポイント・マイル還元があるため」178人、「利便性が高いため」173人と続きました。ポイント還元は誰もが納得する利用したい理由のひとつですが、コロナ禍での「オンラインショッピング」需要の増加や、キャッシュレス化が急速に普及する中での「利便性」も利用の後押しになっていることが伺える結果です。

一方で利用したくない理由として、「使いすぎてしまうため」17人、「収入が減るため」12人、「盗難・紛失が心配のため」8人と続きました。定年後に収入が減る不安から、クレジットカード利用を控えるという人も一定数いることがわかりました。

定年後もクレジットカードを利用したい人の意見

毎月の利用明細書で何にいくら使ったかを把握でき、家計の支出管理にもなるため、今後もクレジットカードを利用していきたいです。ただし支出は極力抑えることを心掛けたいです。(50代前半 女性)
定年後も変わらずにネットショップの利用をするし、キャッシュレス化への対応は進んでいくから。また、今後米国のようにクレジットヒストリーが社会的信用の一部になる可能性があり、現役時代の利用歴が必要になるかもしれないから。(50代後半 男性)
定年しても冠婚葬祭や突然の出費に備えてクレジットカードを有効に使用したいと思いました。年齢を重ねていくと頼れる親戚や知人もいなくなり、本当に貴重な存在だと思いました。(50代後半 男性)
やはり、時代はキャッシュレスへ一直線。コロナの影響でネットでの買い物も増えたのでクレジットカードは絶対に必要です。使いすぎない様に気を付ければ便利な物ですから。(50代前半 女性)
定年後は海外旅行をしたいと思っています。海外ではクレジットカードは必需品なので、定年後でもクレジットカードを継続して保有したいです。(50代前半 女性)

定年後はクレジットカードを利用したくない人の意見

もともと現金で買い物をしているので、クレジットカードだと使いすぎや紛失する心配があります。かといって、いざという時に1枚も持っていないのも困りそうです。(50代後半 男性)
定年後の収入に不安を感じているためクレジットカードの利用はしないつもりです。定年後も収入が見込めて安定していれば利用するかもしれません。(50代前半 男性)

調査4:定年後のクレジットカード利用で重視する項目

定年後のクレジットカード利用で重視する項目は「年会費が無料・安い」が最多

定年後のクレジットカード利用で重視する項目

定年後のクレジットカード利用で重視する項目については、「年会費が無料・安い」が603ポイントと突出して最多となりました。次いで「安全性・サポート性」472ポイント、「ポイント・マイルの還元率が高い」368ポイントと続きました。

調査5:定年前or定年後のクレジットカード見直し(発行・解約)

クレジットカードの見直しは「定年前に見直しをする」2割強、「定年後に見直しをする」3割強、「見直しをしない」4割強

定年前or定年後のクレジットカード見直し(発行・解約)

クレジットカードの見直しについては、「定年前に見直しをする(したい)」23.3%、「定年後に見直しをする(したい)」32.0%とおよそ半数以上が見直し意思があるものの、「見直しをしない」も44.7%いる結果となりました。
また、見直し内容としては、「解約退会する(したい)」55.1%、「新規発行する(したい)」44.9%とおよそ半数ずつながら解約が若干上回り、クレジットカードの保有枚数を整理したい意識が伺える内容でした。

定年前および定年後のクレジットカード見直しについて本調査にて寄せられた悩み・疑問に対し、CFP®の小山英斗氏に解説していただきました。

定年後にクレジットカードの新規発行は可能か?

定年後は、現役に比べて収入が極端に減り安定しないので、新しいクレジットカードを発行できるのか気になります。また、審査の条件なども知りたいです。
クレジットカードの新規発行には審査がありますが、その審査内容はクレジットカード会社により異なり開示はされていません。審査は収入、職業、年齢、資産・負債状況、家族構成、持ち家かどうかなどから総合的に判断されるようです。そのため、定年後であっても新規発行が可能かどうかは審査次第ということになります。一般的には定期的な収入があれば、それが年金であっても収入面での審査は通ることも多いようです。

一方で、定年後に本人の収入がなくても、例えば生計を一にしている家族に定期的な収入があれば収入面ではOKとしているカード会社もあるようです。また定年退職をしたシニア世代では昔はクレジットカードが作りにくいと言われていたようですが、近年では年齢による明確な制限はないというのが一般的です。

年金生活になってもクレジットカードの期限は更新されるのか?

年金生活になっても、今のステータスのまま更新されて継続利用できるのか気がかりです。
クレジットカードは最初の審査が通れば、一般的にカードの更新については、それまでの支払いなどに問題がなければ自動更新となります。年金生活となってもそれは同様です。ただし、カードの利用が長期間無い場合などは利用停止となるケースもあるようです。

またあまり一般的ではないようですが、カード会社によっては現在の状況確認についてのお伺いがある場合もあるようです。そのため状況確認の結果次第では次回の更新がされないことも考えられます。

定年後のクレジットカードは何枚持つべきか?

何年も使用していないクレジットカードがあるので解約したいと考えています。本当に必要なカードはどれなのか、適切な所持枚数は何枚なのか判断に迷っています。
基本的にクレジットカードはメインで利用する1枚とサブで1枚の計2枚あれば十分かと思います。逆に言えば、2枚は持っておいた方がいいかと思います。カード1枚だけですと、お店によっては利用できないブランドのクレジットカードもあったりします。

各クレジットカード発行会社はメジャーブランドであるVISA、Master、JCBと提携しているものが多く、提携ブランドがVISAとJCB、MasterとJCB といった組み合わせで2枚持つと安心かと思います。
またICチップや磁気ストライフの不具合によってカードが利用できないような場合でも、もう1枚あると慌てることがないかと思います。

今ではポイント還元や割引特典などさまざまな付帯サービスのあるクレジットカードですが、メインのクレジットカードを選ぶ際には自分の生活スタイルにあったカードを選ぶようにしましょう。ポイントについてはポイント還元率が高いに越したことはないですが、自分の生活にあったポイント利用ができるのか、利用目的を重視するとよいかと思います。

ポイント自体は持っていても利息がつくわけでもなく、ポイントによっては利用期限などもあり使わないでいると失効することもあります。例えば旅行をよくする人であれば旅行サイトでのポイント利用に便利なクレジットカードや、近くの店舗でのショッピングをよくする人であればそこでの割引が受けられるクレジットカードをメインにするといいかもしれません。

キャッシュレス時代・・・やはり定年後もクレジットカードを持つべき?

定年後はクレジットカードを持ちたくないのですが、キャッシュレス時代だから持つべきなのか迷っています。
定年後であってもクレジットカードは持っていた方がいいかと思います。決済手段が多様化する中で、場合によっては現金では買えない場合もあるかもしれません。特にネットショッピングでは決済方法をクレジットカードのみとしている場合もあるようです。代引きやコンビニなどでの支払い方法もありますが、代引きでは手数料がかかったり、コンビニ支払いではお店に出向かなくてはならなかったりと、利便性はクレジットカードの方が高いです。

またカードの解約は簡単にできますが、あとでまた必要に思い新たにカードを作り直そうとしても、その時の状況での審査があるため必ずしも作れるとは限りません。ですので、すべてのカードを解約してしまうのはあまりお勧めしません。

身寄りがいない(単独世帯)場合、万が一の際の解約手続きはどうなる?

一人暮らしで身寄りがないない場合、本人死亡後クレジットカードの解約手続きはどうすればよいのか不安です。一定期間、利用がなければ自動解約などの措置があればいいのにと思います。
クレジットカードは解約の申込みをしない限りは基本的には自動更新となります。しかし、どんな場合も自動更新になるかというとそうではありません。クレジットカードの更新時には、通常簡易書留で更新されたカードが郵送されます。そのためカードの受け取りができないと郵便物は不在扱いとなり、いったん郵便局での預かりになります。その後、最終的に受け取りができなかった場合には差出人であるカード会社に戻されます。

カードが戻されてきた場合の対応方法はカード会社によって異なりますが、カード名義人に連絡が一定期間取れないとその後利用停止などの手続きとなるようです。
なお、一般的にクレジットカードはカード名義人にのみ支払い義務があるため、ショッピング利用の残債や年会費などの支払いが残っている場合でも他の人に請求がされるようなことはないようです。

監修者プロフィール


未来が見えるね研究所
代表 小山 英斗

未来が見えるね研究所
代表 小山 英斗

CFP(日本FP協会認定会員)、1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー(平成29年10月認定)

神奈川県の横浜を主な活動拠点としてFP事業を中心に、ライフプラン相談、資産運用相談、保険相談、住宅建築相談サービス等を展開しています。銀行や保険等の金融機関やハウスメーカー等に属さない独立した立場からのお手伝いをさせていただきます。

調査概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2020年11月5日~2020年11月9日
  • 調査対象:全国50代~60代前半被雇用者(クレジットカード保有)322人
  • 調査監修:未来が見えるね研究所 小山英斗
  • 調査結果は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100とはなりません。
  • 調査資料は調査期間時点における回答結果に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。

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