小学生にキャッシュレスはまだ早い?いまどきの子供のお小遣い事情

調査目的
    キャッシュレスの普及により現金を扱う機会も徐々に減ってきました。子供のお小遣いもキャッシュレス化を検討している家庭も増えているのではないでしょうか。
    お小遣いのキャッシュレス化は、現金を落とす心配もなく利用状況や履歴などが管理しやすいという安心感がある一方で、お金の使いすぎや小学生にはまだ早いという不安から踏み出せない親も多くいます。

    まねーぶ調べでは、小学生の子供をもつ保護者477人にお小遣いに関する意識調査を行い、キャッシュレス化が進む今の時代におけるお小遣い事情とお金の教育の在り方について、監修者のファイナンシャルプランナー高木典子氏に考察していただきました。

調査回答者の属性(n=477)

調査対象:小学生の子供をもつ保護者477人

調査回答者の属性(n=477)

  • 性別:男性34.0%/女性66.0%
  • 年代:20代6.7%/30代55.3%/40代36.1%/50代1.9%
  • 子供学年:小学校低学年(1-2年生)47.4%/小学校中学年(3-4年生)23.9%/小学校高学年(5-6年生)28.7%
  • 職業:正社員41.9%/契約社員・嘱託社員0.6%/派遣社員1.3%/パート・アルバイト18.0%/フリーランス・業務委託4.0%/自営業・自由業6.7%/専業主婦(主夫)27.5%
  • 世帯年収:100万円未満1.9%/100万円以上~150万円未満2.1%/150万円以上~300万円未満11.3%/300万円以上~500万円未満32.7%/500万円以上~700万円未満30.6%/700万円以上~1,000万円未満14.0%/1,000万円以上7.3%

調査1:小学生の月のお小遣い額と使い道

小学生の月のお小遣い額平均値は、低学年499円、中学年954円、高学年1,142円
実際の使い道は1位「お菓子・ジュース」、親が希望する使い道は1位「書籍(漫画以外)」

小学生の月のお小遣い額

小学生のお小遣いの使い道

小学生の子供をもつ保護者に月のお小遣い額について調査したところ、低学年(1-2年生)では「0円(お小遣いなし)」が46.9%と半数近くを占め、次いで「~500円」19.9%、「~1,000円」15.0%となり、平均値499円でした。中学年(3-4年生)では「0円」が3割程度に減少、次いで「~500円」28.9%、「~1,000円」25.4%となり、平均値954円でした。高学年(5-6年生)では中学年と同様に「0円」が3割程度でしたが、「~1,000円」28.5%、「~3,000円」21.2%と金額が上がり、平均値1,142円という結果でした。

お小遣いの使い道については、実際の使い道1位は「お菓子・ジュース」286人、2位「漫画」149人、3位「おもちゃ」130人という結果に対し、親として希望する使い道の1位は「書籍(漫画以外)」191人、2位「文房具」178人、同率2位「お菓子・ジュース」178人となり、親子の意識にギャップが見られる内容でした。

お小遣いの使い道に対する親としての想いや使い方のルールについて、本調査で寄せられた声をご紹介します

お小遣いの使い道に納得の声

決まった金額の中で上手にやりくりできるようになるためのお小遣いなので、実際の使い道については特に何も感じていない。(20代女性/子供学年:小学校低学年)
親としては漫画ではない書籍を買って読んで欲しいですが、自分も子供のころ漫画が一番好きだったので仕方がないのかなと思っています。子供のお小遣いなので好きに使ってもOKだと思っています。(40代女性/子供学年:小学校高学年)
親が指示するのではなく子供の意思で買い物をさせたい。無駄遣いをしてから他に欲しいものが見つかって後悔するなどの失敗も経験しながらお金を計画的に使うことを学んでほしい。(50代女性/子供学年:小学校高学年)

お小遣いの使い道に不満の声

親としてはお小遣いをもらったら計画的に使って欲しいと思いますが、子供は欲しいものがあればすぐに使ってしまい、月末にはなくなってしまうことが多いので、我慢を覚えて欲しい。(40代女性/子供学年:小学校高学年)
お小遣いを渡すとすぐゲーム関係に使いたがります。親は貯金してほしいのに、それを言うとお金は使うためにある、使わなかったら持っている意味がないと言い、諭すのが難しいです。(40代女性/子供学年:小学校高学年)
無駄遣いはしていないが、同級生との会話の中でお小遣い額の差があったようで、子供が今の金額に不満を感じている様子がある。(30代男性/子供学年:小学校高学年)

お小遣いの使い方のルール

小学1年生から100円、今は2年生なので200円渡しています。足りない分は家の手伝いなどしてもらってバイト代として渡しています。(30代女性/子供学年:小学校低学年)
貯金箱を2個用意し、お小遣いをもらったら貯める用と使う用の貯金箱にそれぞれ分けることをルールにしています。貯める用の貯金箱に入れるお金は最低でももらった金額の10%と決めています。(40代女性/子供学年:小学校中学年)
使った後は必ずお小遣い帳を記入させます。お金は貯金箱に保管させ、管理は自分で行わせています。何に使ったかは必ず報告させ、出来ないと次回のお小遣いは無しと決めています。(40代女性/子供学年:小学校高学年)

調査2:小学生へのお小遣いのあげ方(現金・キャッシュレス内訳)

お小遣いは「現金のみであげている」94%、「キャッシュレスであげている」6%
現金派の理由は「現金のほうがお金の重みがある」「子供にキャッシュレスはまだ早い」

小学生へのお小遣いのあげ方

お小遣いのあげ方については、「現金のみであげている」94%、「キャッシュレスであげている(現金併用含む)」6%となり、お小遣いにキャッシュレス化を取り入れている家庭は少数となりました。
現金派の理由として、1位「現金のほうがお金の重みがある」196人、2位「子供にキャッシュレスはまだ早い」149人、3位「キャッシュレスは使いすぎてしまう」37人と続き、現金への根強い安心感が見受けられます。
対してキャッシュレス派の理由として、1位「利用状況や履歴が管理できる」8人、2位「現金を用意する手間がない」7人、3位「現金を落とす・無くす心配がない」6人と続き、キャッシュレス決済の利便性からお小遣いに取り入れているようです。

調査3:今後、小学生のお小遣いに「キャッシュレス」を取り入れたい?

今後のお小遣いに「キャッシュレスを取り入れたい」家庭は3割弱

小学生のお小遣いに「キャッシュレス」を取り入れたい?

今後の子供のお小遣いにキャッシュレスを取り入れたいかについては、「取り入れたい」28.9%と3割弱にとどまり、「取り入れたくない」は71.1%という結果でした。

子供のお小遣いにキャッシュレスを取り入れることに対する、賛否の意見をご紹介します

キャッシュレスを取り入れたい親の意見

今後は、現金よりもキャッシュレス決済の利用が多くなると思うので、使い方や便利さを知ってもらうために取り入れたいとは思う。ただ、使いすぎないようチャージ額だけは管理したい。(30代女性/子供学年:小学校低学年)
親が月の利用額を決めて、子供がそれ以上を使わないように管理をすれば問題はないと思う。手軽で便利なところと、それ故に使い過ぎてしまうという怖さを学んでみてもいいと思う。(30代女性/子供学年:小学校高学年)
簡単にお金を使えること、お金の重みが感じられなくなる事が懸念されますが、自己管理、セキュリティ意識、お金の教養がつくなどプラス面も考えて取り入れていきたい。(40代女性/子供学年:小学校中学年)
セキュリティをしっかりすれば現金より心配なく(落としたり盗られたり)持たせられるので安心だと思います。Web上で利用履歴が見られるものだと何を買ったか親も確認できるのでいいと思います。(30代女性/子供学年:小学校中学年)

キャッシュレスを取り入れたくない親の意見

今後キャッシュレスは必要不可欠になっていくとは考えますが、小学生のうちは使いすぎの心配やお金を使ったという実感が湧かないと思うため、まだ早いと思います。(30代女性/子供学年:小学校中学年)
お金はただの数字ではありません。汗水流して働いたお金です。現金を握りしめて買い物に行ってほしいです。また、計算の勉強になります。キャッシュレスは自分で働いて口座を管理出来るようになってからでも遅くないと思います。(40代女性/子供学年:小学校高学年)
キャッシュレスは大人でも遣いすぎてしまうのに、子供がきちんと管理できるとは到底思えません。金銭教育は現金に限ります。算数の勉強にもつながりますから。(50代女性/子供学年:小学校中学年)
キャッシュレスではお金の重みを感じず、ワンクリックで入出金されるので簡単にお金が手に入ると勘違いされてしまいそうで教育に良くないと感じています。(30代女性/子供学年:小学校低学年)

調査4:小学生のお小遣い中のキャッシュレス比率と種類

お小遣いをキャッシュレスであげている内、キャッシュレスと現金の比率はおよそ半々ずつ
キャッシュレスの種類は主に「スマホ決済」の他、「交通系IC」を利用

小学生のお小遣い中のキャッシュレス比率と種類

お小遣いをキャッシュレスであげている内、キャッシュレスと現金の比率(お小遣いの合計を100とした平均値)については、キャッシュレスが53.3%と現金よりも若干多いもののおよそ半々ずつという内訳でした。
お小遣いに利用しているキャッシュレスの種類では、「スマホ決済(QRコード・バーコード)」が10人であり、主に「PayPay」や「LINE Pay」の決済サービスが利用されています。
次いで「電子マネー(交通系・流通系ICカード)」が8人と続き、「Suica」や「PASMO」といった交通系ICを中心に、「nanaco」や「WAON」など流通系ICの利用もみられました。

子供へのお小遣いにキャッシュレスを取り入れている家庭の意見をご紹介します

還元キャンペーンもあり、数あるキャッシュレス決済サービスの中でも利用できる店が多く、子供にも使いやすいためお小遣いとして渡しています。(20代女性/子供学年:小学校低学年/PayPay)
たまに現金で渡すこともありますが、キャッシュレスは限度額に達すると使用不可になるので、困るのは私ではなく無駄遣いした子供になるし、キャッシュレス決済のセキュリティや紛失に関するリスクも教えています。子供なりにスマホの持ち歩きにはちゃんと気をつけているようです。(40代男性/子供学年:小学校高学年/LINE Pay)
将来的にキャッシュレスが当たり前になると思うので利用方法を学習させるために渡しています。通学時に使用する定期券にお小遣いとして入金していますが、限度額があるので使いすぎませんし、現金をなくす心配もないです。(30代女性/子供学年:小学校低学年/Suica)

監修者プロフィール

高木典子氏
合同会社HAL FP OFFICE
高木 典子

合同会社HAL FP OFFICE
ファイナンシャルプランナー 高木典子

新卒で大手証券会社に入社し、その後外資系銀行に転職。17年間の金融機関勤務後、中立公正な立場を守るため、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在は、二人の子供を育てながら、学校や企業、金融機関でのセミナー講師を中心に、金融・投資教育等を行っています。また、オンラインでの個別マネー相談など全国で活動を展開しています。

調査概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2020年8月28日~2020年9月3日
  • 調査対象:小学生の子供をもつ保護者477人
  • 調査監修:合同会社HAL FP OFFICE 高木典子
  • 調査結果は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100とはなりません。
  • 調査資料は調査期間時点における回答結果に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。

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