【クレジットカード利用調査】コロナ禍でクレジットカード利用にも明暗が分かれたか?
- 新型コロナウイルス感染症対策として私たちの生活に制限がかけられた中、消費行動の変化に伴い提携サービスを皮切りに、クレジットカードにも新規発行や解約退会といった明暗が分かれています。
リエールファクトリー株式会社 足澤憲氏監修のもと、コロナ禍中(2月~6月現在)におけるクレジットカード新規発行または解約退会の実態調査を行い、カード種類と見直し理由そしてメインカードの利用変化を明らかにし、アフターコロナ禍におけるカード業界の動向について解説していただきました。
調査回答者の属性(n=418)
- 性別:男性39.0%/女性61.0%
- 年代:20代33.3%/30代30.9%/40代23.9%/50代9.8%/60代2.2%
- 婚姻:未婚44.3%/既婚55.7%
- 職業:正社員45.5%/契約社員・嘱託社員4.5%/派遣社員4.1%/パート・アルバイト18.2%/フリーランス・業務委託2.2%/自営業・自由業6.7%/専業主婦(主夫)13.6%/学生3.1%/無職2.2%
- 年収:100万円未満27.0%/100万円以上~150万円未満7.9%/150万円以上~300万円未満20.8%/300万円以上~500万円未満29.2%/500万円以上~700万円未満8.9%/700万円以上~1,000万円未満4.1%/1,000万円以上2.2%
調査1:コロナ禍中のクレジットカード新規発行または解約退会
コロナ禍中(2月~6月現在)におけるクレジットカードの新規発行または解約退会について調査したところ、「新規発行した」と回答したのは252人、「解約退会した」を回答したのは176人で、新規発行がおよそ1.5倍上回る結果となりました。
逆に、新規発行と解約退会の絶対数は、過去に同じ質問形式での調査がないため比較はできませんが、コロナによる外出自粛要請の影響で、店頭でクレジットカード契約の営業を受ける機会も減り、新規発行の数も減少している可能性があります。
また、発行数の減少に比例して見直しの機会も減り解約数も減少するため、それが今回の調査結果に表れているのだと思います。
調査2:コロナ禍中に新規発行したクレジットカードと理由
新規発行の理由は「ポイントが貯まる」や「入会金・年会費が無料(安い)」
新規発行したクレジットカード名では、「楽天カード」が104人と突出して多く、次いで「イオンカード」32人、「三井住友カード」23人、「dカード」18人、「Yahoo! JAPANカード」15人と続き、上位5種で回答者の7割以上を占める結果でした。
新規発行した理由として、「ポイントが貯まるため」が175人と最も多く、次いで「入会金・年会費が無料(安い)ため」133人、「付与ポイントが使いやすいため」89人、「よく利用するサービスの提携カードのため」74人と続き、ポイント還元率やカード保有にあたる費用等でのお得感が重視される内容です。
また、外出自粛要請に伴うオンラインショッピングの利用増加も、クレジットカードの新規発行に拍車を掛けているようです。
コロナ禍中に新規発行したクレジットカード 上位10種
楽天カード | 104人 |
イオンカード | 32人 |
三井住友カード | 23人 |
dカード | 18人 |
Yahoo! JAPANカード | 15人 |
JCBカード | 9人 |
ENEOSカード | 8人 |
セブンカード・プラス | 7人 |
リクルートカード | 7人 |
エポスカード | 6人 |
新規発行した理由 上位5項目
ポイントが貯まるため | 175人 |
入会金・年会費が無料(安い)ため | 133人 |
付与ポイントが使いやすいため | 89人 |
よく利用するサービスの提携カードのため | 74人 |
入会時の特典が魅力だったため | 71人 |
発行枚数上位2位のイオンカードは新規発行者限定で20%還元のキャンペーン、そして3位の三井住友カードは年会費無料と20%還元キャンペーンの影響により人気を集められたと考えられます。期間限定ではあるものの、ここまで高い還元率の実現と宣伝を効果的に行ったことが功を奏したように思います。
また、どちらも特定のお店でないと高還元を受けられないというわけではなく、オンラインやスマホ決済との連携でも同様に高還元を受けられるという懐の広さが人気に拍車をかけたのではないかと思います。
4位のdカードについては、2019年10月1日から年会費が永年無料になった影響と、d払いとの親和性の高さ、5位のYahoo! JAPANカードはPayPayとの親和性の高さから発行数を伸ばしたのではないかと思われます。
調査3:コロナ禍中に解約退会したクレジットカードと理由
解約退会の理由は「ポイントが貯まらない」や「提携サービスを利用しなくなった」
解約退会したクレジットカード名では、「イオンカード」23人、「楽天カード」20人が上位回答でしたが、突出したカード種類はなく満遍なく見直されている傾向です。
解約退会した理由として、「ポイントが貯まらないため」48人、「クレジットカードの提携サービスを利用しなくなったため」46人、「年会費が高いため」44人、「利用限度額が低いため」40人が上位を占めており、クレジットカード保有に見合うお得感が得られないことや、コロナ禍での外出自粛による“新しい生活様式” で利用するサービスの変化が解約につながっているようです。
コロナ禍中に解約退会したクレジットカード 上位10種
イオンカード | 23人 |
楽天カード | 20人 |
dカード | 18人 |
オリコカード | 17人 |
三井住友カード | 15人 |
ビューカード | 13人 |
三菱UFJニコスカード | 11人 |
ANAカード | 10人 |
エポスカード | 10人 |
JCBカード | 6人 |
解約退会した理由 上位5項目
ポイントが貯まらないため | 48人 |
クレジットカードの提携サービスを利用しなくなったため | 46人 |
年会費が高いため | 44人 |
利用限度額が低いため | 40人 |
クレジットカードの汎用性が低いため | 28人 |
特に三井住友カードに関しては、2020年4月30日までに契約した人に限り年会費が無料化されるキャンペーンがあったため、これまで年会費を払って契約していた人たちが解約に走ったのではないかと思います。
解約件数4位のオリコについては、上位4つと異なる点として、スマホ決済との親和性が特筆して高くないという点です。特に解約する理由もないと思われますが、より還元率の高いカードへ移っていった可能性があります。
調査4:コロナ禍中のメインクレジットカード変化
コロナ禍中のメインクレジットカード変化について、「変わった」と回答した人は27%と、4人に1人がコロナ禍にメインで使うクレジットカードを変えたことが明らかになりました。
メインで使うクレジットカードとして、「楽天カード」が154人で突出して多く、次いで「Yahoo! JAPANカード」52人、「イオンカード」47人と続き、上位3種で全体の6割を占める結果でした。
上位2種はいずれも提携オンラインショッピングサイトでの利用でポイント還元率が良く、需要増加に伴うメイン利用だと考えられます。
メインで使う理由として上位3項目を抜粋すると、「ポイント(マイル)が貯まりやすい」、「買い物(特定の店)で使うのに便利」、「スマホ決済と組合せ利用しやすい」であり、いずれも利用時に付与されるポイントが重視される内容であり、コロナ禍における経済の不安から節約志向が高まりお得感が支持される結果でした。
どのカードもスマホ決済と連携することで、より多くのポイントが獲得できるという点が共通しており、この要件を満たしていることが、今後のクレジットカードとしては必須なように思います。
また、コロナ禍においてもスーパーやオンラインショップは、これまで通りまたはこれまで以上に利用されていたので、楽天カード、Yahoo! JAPANカード、イオンカードといったスーパーやEC事業をグループ会社にもつ企業は、キャンペーンも打ちやすく優位だったように思います。
監修者プロフィール
リエールファクトリー株式会社
COO/CTO 足澤 憲
リエールファクトリー株式会社
COO/CTO 足澤 憲
クレジットカードを40枚以上所持するクレカマニア。決済方法を組み合わせて、最高還元率を求めるAI-Creditの企画・開発を行なっている。