【働き方改革 意識調査】オフィスワークとリモートワーク、仕事効率が良いのは?
- 働き方改革の推進、そして新型コロナウイルス感染拡大の予防対策として多くの企業が「在宅勤務(リモートワーク)」を導入しています。働き方の多様化、ワーク・ライフ・バランスの実現として普及するリモートワークですが、労働時間の管理や社内コミュニケーション不足など多くの課題もあります。
株式会社ビズヒッツ代表取締役 伊藤陽介氏監修のもと、全国のリモートワーカー500人を対象に働き方に関する調査を実施し、リモートワークの仕事効率や社内コミュニケーション対策について解説していただきました。
調査回答者の属性(n=500)
- 性別:男性 39.8%/女性 60.2%
- 年代:20代 25.2%/30代 40.8%/40代 24.2%/50代 6.8%/60代 3.0%
- 婚姻:未婚 52.4%/既婚 47.6%
- 雇用形態:正社員 46.6%/契約社員・嘱託社員 12.6%/派遣社員 7.8%/パート・アルバイト 14.6%/業務委託契約 18.4%
- 個人年収:100万円未満 18.4%/100万円以上~150万円未満 11.6%/150万円以上~300万円未満 20.4%/300万円以上~500万円未満 29.2%/500万円以上~700万円未満 15.6%/700万円以上~1,000万円未満3.0%/1,000万円以上1.8%
調査1:オフィスワークとリモートワーク、仕事効率が良いのは?
全国20代~60代のリモートワーカー500人を対象に働き方に関する調査をしたところ、オフィスワークとリモートワークの仕事効率について、64.2%がオフィスワークよりもリモートワークの方が効率的と感じていることが明らかになりました。
SNS、ビジネスチャット、ビデオ会議など、ICT(情報通信技術)を活かすことで、自宅や喫茶店でもオフィスと変わらない作業環境を作れていることが、上記の結果につながっていると考えられます。
そして、この「64.2%」という数字、今後さらに伸びるのではないかと考えられます。
2020年4月現在、新型コロナウイルスの影響で、企業のテレワークやそれに伴うリモートワークを急遽、導入するに至った企業も少なくありません。
現時点ではまだリモートワーク用ツールを上手く使いこなせなかったり、オフィス以外で仕事をすることに慣れていない人も多いのではないでしょうか。
さらに、現在のリモートワーク用ツールがアップデートによって使いやすくなったり、最新ツールが発売されることで、いまよりもリモートワークを行う環境が充実すると考えられます。
「リモートワークに慣れる人が増える」のと「リモートワーク用ツールの進化」に比例して、リモートワークの仕事効率が良いと回答する人は今後さらに増えることが予測できます。
調査2:リモートワークの満足度とその理由
最も多い理由は「通勤時間がなく無駄な時間が削減できる」
リモートワークの働き方に対しての満足度については、「満足」が83.6%、その理由は「通勤時間がなく無駄な時間が削減できる」(383人)が最も多く、次いで「自宅で業務に集中できる」(252人)、「健康管理(風邪などの感染症予防)ができる」(248人)と続く結果でした。
一方で、「不満」が16.4%、その理由は「自宅だと集中できない」(58人)が最も多く、次いで「勤怠や業務管理があいまい」(53人)、「社内コミュニケーションが取りにくい」(49人)と続く結果でした。
「満足」の理由 上位5項目
通勤時間がなく無駄な時間が削減できる | 383人 |
自宅で業務に集中できる | 252人 |
健康管理(風邪などの感染症予防)ができる | 248人 |
人間関係によるストレスがない | 233人 |
仕事と家事・育児を両立できる | 184人 |
「不満」の理由 上位5項目
自宅だと集中できない | 58人 |
勤怠や業務管理があいまい | 53人 |
社内コミュニケーションが取りにくい | 49人 |
上司への申請や承認が取りにくい | 25人 |
孤独感がある | 20人 |
毎日オフィスまでの通勤時間が長かったり、交通費が高い人ほど、メリットとしては大きいでしょう。
満足の理由で気になる点としては、3番目に回答数が多かった「健康管理(風邪などの感染症予防)ができる」(248人)です。新型コロナウイルスが流行する前であれば、もっと少ない回答数だったと考えられるからですね。
リモートワークに満足と回答した418人中248人と、半分以上の方が回答に挙げていることからも、新型コロナウイルスに対しての恐怖と社会的な影響の大きさを見て取ることができます。
続けて不満の理由に関して気になるポイントとしては、上位5項目すべてに共通して「周りに人が居ないこと」によるデメリットなことが見て取れます。
いままで周りに人が居たことで当たり前にできていたことが、リモートワークでできなくなったことに対して、とまどいを覚えている人も多いことがわかりますね。
その中でも注目する点としては、不満の理由で1番回答が多かった「自宅だと集中できない」(58人)です。
満足の理由で2番目に多かった「自宅で業務に集中できる」(252人)と真逆の結果となるからですね。
このことから、リモートワークを行ううえで、「1人でもオフィスと変わらず集中して仕事できる環境作り」は、大事なポイントのひとつと言えます。
もし自宅で仕事をするのであれば、部屋の数、場所、広さ、置いてある物、好みなど個々で違いがあるため、「どうすれば自宅でも業務に集中できるのか?」を自身で考えながら環境作りしていきましょう。
調査3:正確な労働時間の報告(勤怠管理)をしている?
労働時間の報告(勤怠管理)については、「時間外労働(残業)を含め、正確な報告をしている」が58.2%とおよそ6割の人が正確な労働時間の報告をしているという結果でした。
一方で、「時間外労働(残業)の報告はせず、所定の労働時間の報告をしている」19.4%、「労働時間の報告はしていない」22.4%とおよそ4割の人が労働時間および時間外労働について報告をしていないことが明らかになりました。
調査4:時間外労働手当(残業代)は支給について
そのうち65.8%は「残業していない」と回答
時間外労働手当(残業代)については、「支給されている」が20.4%であり、時間外労働手当額(月)の平均値は17,750円、中央値は20,000円でした。残業代は6割近くが10,000円以上~30,000円未満という結果でした。
一方で、「支給されていない」が79.6%であり、その理由として「残業していない(所定の労働時間のみ)」65.8%と決められた時間内で従事している人が多いものの、「サービス残業」の回答が34.2%いることも明らかになりました。
「支給されている」ひと月あたりの時間外労働手当額
10,000円未満 | 18.6% |
10,000円以上~20,000円未満 | 24.5% |
20,000円以上~30,000円未満 | 33.3% |
30,000円以上~40,000円未満 | 18.6% |
40,000円以上 | 4.9% |
「支給されていない」理由
残業していない(所定の労働時間のみ) | 65.8% |
サービス残業 | 34.2% |
調査5:労働時間の規則・ルールについて
社内で決められている労働時間の規則・ルールについては、「勤怠管理システムで記録(IT・クラウドツール)」(209人)が最も多く、次いで「電話またはEメールでの勤怠報告」(160人)という結果でした。
一方で、3番目に多い回答が「規則・ルールは決まっていない」(112人)であり、リモートワークにおける労働時間の管理に規則を設けていない会社も目立ちます。
社内での労働時間の規則・ルール 上位5項目
勤怠管理システムで記録(IT・クラウドツール) | 209人 |
電話またはEメールでの勤怠報告 | 160人 |
規則・ルールは決まっていない | 112人 |
みなし労働時間制・裁量労働制 | 82人 |
時間外労働(残業)の禁止 | 68人 |
調査6:社内コミュニケーションについて
コミュニケーション内容は「質疑応答」
社内コミュニケーション(伝達・共有・管理等)で使用しているツールとして、「電話・Eメール」(344人)が最も多く、次いで「ビジネスチャット」(228人)、「web会議システム」(209人)という結果でした。
コミュニケーション内容としては「質疑応答」(320人)、「勤怠管理」(306人)、「社内ミーティング」(291人)などが挙げられ、リモートワークでも社内でコミュニケーションを取れていることが伺えます。一方で、「コミュニケーションを取らない」(24人)という回答もみられ、リモートワークの働き方に対して不満である理由に直結する結果もみられました。
コミュニケーションツール 上位5項目
電話・Eメール | 344人 |
ビジネスチャット | 228人 |
web会議システム | 209人 |
勤怠管理システム | 175人 |
LINE | 170人 |
コミュニケーション内容 上位5項目
質疑応答 | 320人 |
勤怠管理 | 306人 |
社内ミーティング | 291人 |
業務進捗・可視化 | 233人 |
シフトスケジュール | 160人 |
コミュニケーションツールの結果を見てみると、全体的に「文字」や「文章」を使ったコミュニケーション方法が多いことを見て取れます。
Eメール、ビジネスチャット、勤怠管理システム、LINE、グループウェアなどが当てはまりますね。
コミュニケーションツールの使い方は当然として、それに合わせて「文章ルール」を決めることで、より円滑にコミュニケーションが取れるのではないでしょうか。
たとえば、社内コミュニケーションの内容で1番の回答数を集めた「質疑応答」(320人)であれば、質問の仕方が悪いと回答する側も上手く答えられません。
「結論から話す」「こそあど言葉を避ける」「曖昧表現を使わない」といった文章ルールを取り入れるだけでも、「相手が何を言っているのかよくわからない」といったコミュニケーションのすれ違いを減らせます。
外部のお客様とやり取りを行うビジネスメール上では文章ルールを決めている企業も多いと思いますが、もしまだ社内チャットやメール上での文章ルールを決めてないのであれば、試してみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール
株式会社ビズヒッツ
代表取締役 伊藤 陽介
株式会社ビズヒッツ
代表取締役 伊藤 陽介
2009年1月、三重県鈴鹿市に創業、2年後となる2011年の倒産危機をキッカケとして在宅ワークの導入と組織化に成功。その後、本社は鈴鹿市のまま自身は東京へと居住地を移しての遠隔経営を取り組み現在も継続中。
自身の経験を元に2013年5月『現場のプロがやさしく書いた Webサイト運営・プロデュースの教科書』を共著執筆。
在宅ワークに関するセミナー講演の実績多数。
主な事業内容は、派遣・パート・アルバイト求人情報サイト「Biz Hits Work」と、それに伴い働く人たちの問題解決を考えるメディア「Biz Hits」の運営。
また、サイト運営の中で得た知識や経験を元に「パソコン業務の効率化」「在宅ワーカー導入サポート」等も行っている。