医療保険選びのポイントになる「入院時にかかる差額ベッド代」とは?

入院したとき、大部屋ではなく個室や少人数の病室で治療すると、別途追加で料金がかかることをご存じですか?

この追加料金のことを通称「差額ベッド代」、正式名称は「特別療養環境室料」というのですが、実はこの料金、健康保険が適用されないので、全額自己負担になってしまいます。

しかも、“差額ベッド代がかかる部屋に入院したとしても、本来料金を支払わなくても良い場合”があるにもかかわらず、その仕組みを知らないと病院に言われるがままに差額ベッド代を支払わされてしまうケースもあるのです!

ただでさえ出費がかさむ入院治療。

余計な医療費を払わなくて済むように、差額ベッド代についてもしっかり理解しておきましょう!

差額ベッドとは?

まずは、差額ベッド代がかかる病室を意味する「特別療養環境室」が、どのような病室なのか確認しておきましょう。

厚生労働省によると、「特別療養環境室」は、次の4つの条件をすべて満たした病室のことをいいます。

  • 病床数が4床以下であること
  • 1人あたりの病室面積が6.4㎡以上であること
  • プライバシーを確保する設備があること
  • 個人用の私物の収納設備、個人用の照明、小机等及び椅子があること
「病床数は4床以下であること」ってあるように、個室だけじゃなくて少人数部屋でも差額ベッド代がかかる、っていうのは、あまり知られてないことかもしれないですね。
博士!一日あたりの差額ベッド代は、どれくらいかかるものなんですか?
個室に限らずすべての差額ベッド代を平均すると、一日5,918円になっている。
この金額は健康保険の対象ではないから、全額自己負担になってしまうんじゃな。

差額ベッド代の平均額

部屋別の平均額は以下のようになっています。

・1人室 7,563円
・2人室 3,065円
・3人室 2,812円
・4人室 2,346円
(出典:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」平成25年7月現在

豪華な個室であれば料金はもっと上がりますし、もちろん値段は病院ごとに異なります。
ですがひとまずは平均額として、6,000円程度必要になる、と覚えておきましょう。

差額ベッド代は全額自己負担

差額ベッド代の費用は、健康保険適用対象外、つまり、全額自己負担になってしまいます。

そのため、入院費用や治療費がかさんだ場合のミカタである『高額療養費制度』を利用することもできません。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは、公的医療保険の制度の一つです。

月の初めから終わりまでに、医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定額を超えた場合に、その超えた金額が還ってくる制度になります。

この高額療養費制度が適用になる医療費は、医療を受けた人の所得によって、ひと月あたりの上限金額が決まっています。

具体的には、
年収が約370万円までなら、自己負担限度額は57,600円、
年収が約770万円までなら、自己負担限度額は約9万円、
となります。

自己負担限度額を超えた分は自分から申請しないと戻ってこないのじゃ。
知らないと損するから、しっかり覚えておいてな。

上記の高額療養費制度が適用された後の自己負担限度額とは別に、差額ベッド代の室料などの「保険外負担」の費用がかかってくるわけです。

ただし、差額ベッド代の一日平均が約6,000円とはいっても、入院が長期入院になるのか短期入院になるのかで負担する額はずいぶん変わってきますよね。

近年の入院患者の平均入院日数もみておきましょう。

入院患者の6割以上は14日以内に退院している

厚生労働省「平成23年患者調査の概況」によると、平均入院日数は32.8日となっています。

33日の入院すべて差額ベッド代がかかったとして、健康保険が適用になる治療費などのほかに20万円必要になることになります。

ただ、入院患者の66%は日帰り~14日以内で退院しており、入院が長引くのは少数派であることも確認できます。

差額ベッド代を支払わなくていい場合もあります

差額ベッド代がかかる部屋に入院することになったら、絶対に室料を払わなくてはいけないのでしょうか?

答えは「NO」です!本人が希望しない場合など、室料を払わなくても良い場合がいくつかあるのです。

病院側が差額ベッド代を請求できない場合は、3種類あります

① 同意書による同意の確認を行っていない場合
(当該同意書が、室料の記載がない、患者 側の署名がない等内容が不十分である場合を含む。)
② 患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
③ 病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選 択によらない場合

(引用元 厚生労働省“「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定め る掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医 薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について”)

これらの場合には、「患者が差額ベッド代のかかる部屋への入院を希望したわけではない」ので、差額ベッド代を支払う必要はありません。

確かに、院内感染を防ぐだめに個室へ移された場合にも差額ベッド代を請求されるのはおかしいですよね。

ということは、裏を返せば、差額ベッド代が請求される場合は「同意書による確認」が行われているということになります。

同意書にはその部屋の設備や料金について明示されており、患者(またはその家族など)がその内容の説明をうけます。

その上で署名すれば差額ベッド代が請求されます。

差額ベッド代を支払いたくない場合は、同意書にサインをしなければ請求されない、ということです。

差額ベッド代で病院側とトラブルにならないために

同意書にサインしなければ差額ベッド代を拒否できると言われても、実際問題、これから入院して長くお世話になるかもしれない病院に対して、本当にそんなことができるのか疑問に思いますよね。

現実には、同意書にサインをしない、差額ベッド代の支払を拒否するというのは難しい場合もあるのです。

緊急入院しなければならないにもかかわらず、“同意書にサインできないなら、当院では受け入れできません”ど言われてしまったらどうしようもありません。

それに、“同意書にサインしなかったせいで、ちゃんとした治療をしてもらえないかもしれない‥”といったことを心配しながら入院するのは気持ちの良いものではないですよね。

病院側にしっかりと希望を伝えることが重要

このように、同意書のサインは拒否しにくいかもしれませんが、病院側に交渉することは可能です。
大部屋が希望であることや、経済的に厳しいということを伝えれば、室料の交渉ができる場合もあります。

また、大部屋が空いたときには必ずそちらに移して欲しいと伝えておくのも効果的です。

差額ベッド代がかかる部屋への入院日数を少しでも減らせるかもしれません。

同意書にサインするときにこのことを書いておき、特別療養環境室への入院を希望していない証拠を残しておくと良いでしょう。

ここまでしていても、空いている大部屋に移してもらえなかったり、本来支払う必要のない差額ベッド代を請求されたときには、社会保険事務所や厚生労働省の厚生局が、トラブルがあった場合の相談窓口になってくれるんじゃ。
困ったときは、ひとりで悩まずに連絡してみるのが良いな。

まとめ

  • 差額ベッド代の平均額は5,829円
  • 差額ベッド代は高額療養費制度の対象外なので、全額自己負担になってしまう
  • 病院とトラブルになりそうなときは、社会保険事務所か厚生労働省の相談窓口で相談しよう
保険のセールスマンはよく「入院すると差額ベッド代が高額になるから、医療保険は手厚いものを!」と言って手厚い医療保険を売る手段にしてるって話もあるみたいですね。
不安をあおられると、人間弱いからのう。
患者が差額ベッド代のかかる部屋への入院を希望したわけではない場合は、代金を払う必要がない、という決まりがあることをしっかり理解しておくことが大事なわけじゃな。
ちなみに、差額ベッド代について調べていたら、こんな豪華な個室を見つけました!
関門海峡の眺めに、ジャグジー付きバスルームの特別室ですって!!
私や博士のような一般人には、一生縁がなさそうですね!
まぁ、そうじゃな・・・。

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