生命保険の値上げラッシュ!保険選びで知っておきたいこと
近い将来、生命保険料の値上げラッシュが起きるかもしれないのは知っていますか?
その背景にあるのは「マイナス金利政策」です。
「どうして金利が下がると保険料が上がるの?」
と思う方も少なくないでしょう。
そこで今回は、マイナス金利の影響で保険料がどうなっていきそうか、それを保険選びにどう活かすことができるかを解説します。
どうしてマイナス金利で保険料が値上がりするの?
2016年の初めにマイナス金利導入となり、「マイナス金利」という言葉をニュースでもよく耳にするようになりましたが、今のところ私たち個人が銀行に預けているお金が減っていくわけではありません。
では、何がマイナス金利になっているんでしょうか。
これは、民間の銀行が日銀に預けている日銀当座預金の一部について金利をマイナスにするというものです。
その部分にマイナス金利が適用されているだけなので、私たちの預金が減るような事態にはなっていません。(※なお、中長期の国債金利もマイナスになっていますが、私たちが購入できる個人向け国債の金利はマイナスにはなっていません)
では、マイナス金利は私たちの生活に密着するところではどのような影響を与えるのでしょうか。
メリット・デメリットをいくつか挙げてみました。
メリット
- 住宅ローンの金利が下がる(新規または変動金利型)
- それ以外のローン金利も下がる
デメリット
- 固定金利の住宅ローンは、市場金利よりも不利な返済になる
- 銀行や郵便局の利息が減る
- 将来的に生命保険の保険料が上がる
こういった影響があるのですが、どうして生命保険の保険料が上がってしまうかもしれないのでしょうか。その仕組みを説明しましょう。
生命保険は契約者が支払った保険料を運用しており、その運用益を保険金支払いの原資とすることで少しでも安い保険料で加入できるようにしています。
そのベースとなる運用利回りを「予定利率」と言うのですが、予定利率が高いほど保険料を安く抑えることができます。
しかし、マイナス金利が導入された他、世界的にも長期金利が低下しているため、運用環境が悪化しています。
保険金の支払いに支障をきたさないように、保険会社は国債などの安全性が非常に高い金融商品で運用しなければならないため、金利低下の影響を大きく受けているのです。
そして、この超低金利時代が当面続きそうな状況のため、生命保険の保険料値上げが相次ぐかもしれないのです。
保険料の改定されるであろう商品を知る
保険料がどうなっていくかの目安を一覧にしてまとめました。
マイナス金利の影響大 | マイナス金利の影響小 | |
---|---|---|
保険の種類 | 終身保険(※) 養老保険 個人年金保険 学資保険 | 定期保険 収入保障保険 掛け捨ての特約など |
※一時払い終身保険については販売停止に踏み切る会社が相次いでおり、現在販売中の各社も追随する可能性が高いです。
このようにしてまとめると、貯蓄性があるかどうかでマイナス金利の影響度が変わってくるのがわかります。
貯蓄性がある保険は必ず保険金支払いが発生するため、運用利回りが保険料にはね返ってくる可能性が高くなります。
そのため、保険会社が予定利率引き下げに踏み切ると、保険料引き上げの影響も強く受けてしまうのです。
保険料が下がる商品もあるの?
マイナス金利の影響で保険料が上がる可能性は充分にあるのですが、その一方で、掛け捨てタイプの保険は保険料が値下げされるかもしれません。
実は、2020年4月までに、生命保険の保険料を計算する基礎となる「標準生命表」が改訂される見通しなのです。
この改定では、高齢化を反映した全面見直しとなる予定です。
医療技術の進歩で長寿化が進んでいること、言い方を変えれば、各年齢での死亡率が下がっていることを反映することになります。
ということは、次のような保険料改定が予想されます。
掛け捨ての定期保険では、死亡リスクが減ることになるため、保険料の値下げが予想されます。
一方で、一定年齢で払い済みになるタイプの医療特約は、長生きする分だけ医療費がかさむと考えられることになり、値上がりが予想されています。
この改定の影響は既存契約には及ばないため、改訂される直前での駆け込み契約が増えることでしょう。
また、保険会社の担当者も駆け込みでの加入をすすめてくるかもしれませんが、不必要な保険に加入してしまわないよう自分でどんな保障が必要かを考えておくようにしましょう。
相続対策としての生命保険の機能に影響はあるのか
万が一に備えるという以外に、生命保険の機能として「相続対策」があります。
相続対策で加入する生命保険は貯蓄性が重視されるため、マイナス金利による影響は避けられません。
しかし、支払う保険料は値上がりするかもしれませんが、相続税を軽減する効果は失いません。
被相続人が契約した生命保険の保険金を法定相続人が受け取った場合、非課税限度額(法定相続人の数×500万円)までの保険金が非課税になります。
この制度自身は2016年現在変わっていませんので、節税効果は変わらないと言えます。
まとめ
- マイナス金利で保険料が上がる可能性があるのは「貯蓄性のある」生命保険。
- 長寿化によって死亡リスクが減るので掛け捨て保険は保険料が下がると予想される。
- 長寿化によって一定年齢で払い済みになるタイプの医療特約は値上がりが予想される。
- 保険料が値上がりしても生命保険の相続対策としての機能は変わらない。