学資保険の一括払いって本当に得なの?
生命保険や学資保険(こども保険)の支払方法には、「一括払い」と「一時払い」という方法があります。
この2つはその名の通り必要な保険料をまとめて保険加入時に支払う方法ですが、性質がまったく異なるものになります。
どちらも毎月保険料を支払っていくよりもまとめて払う分保険料がお得になりますが、もちろんメリットだけでなくデメリットも存在します。
保険料の安さだけにつられず、デメリットもしっかり踏まえた上で学資保険の支払方法を検討しましょう。
一括払いと一時払いはこんなに違う
すべての保険料を保険契約時に支払ってしまう方法に「一括払い」があり、これは「全期前納払い」とも呼ばれます。
保険料を年払いにすると月払いよりも少し保険料がお得になるので、全額一度に支払うと保険料の総額はさらにお得になって利回りも良くなります。
保険料をいっぺんに支払う方法はもう1つ「一時払い」があります。
一括払いと全く同じで祝い金や満期金などの受取方に変わりはありません。
どちらがお得かと言えば、一時払いの方が保険料はグンと安いですが、デメリットもありますので注意が必要です。
名前も似ていてややこしいので、学資保険の場合の一括払いと一時払いの比較をしてみましょう。
保険料はどちらがお得?
〈一括払い〉
月払いや年払いよりは安い
〈一時払い〉
月払いや年払い・一括払いよりも安い。もっとも安い保険料になる
契約者が死亡・高度障害の場合
〈一括払い〉
祝い金や満期金は支払われる
学資保険の保険料払込免除の規定に従い、支払期間の残存期間分の前納した保険料は戻ってくる
〈一時払い〉
祝い金や満期金は支払われる
学資保険の保険料免除の規定は適用されない
途中で解約する場合
〈一括払い〉
解約する時点までの解約返戻金とそれ以降の分の保険料は月割りの合計で還付される
例:解約返戻金50万円+残りの支払い期間分の払込済保険料の合計金額55万円
〈一時払い〉
解約する時点までの解約返戻金のみ支払われる
例:解約返戻金50万円のみ
生命保険料控除
〈一括払い〉
年割にした分の保険料分を保険料払込期間中、毎年生命保険料控除できる
〈一時払い〉
保険料の支払いをした年に限り生命保険料控除できる
(生命保険料控除は控除できる保険料に上限があるのでほとんどの金額が控除できない)
注意点
一括払い・一時払いともに利用できない生命保険会社もある
保険料が安くなれば返戻率(支払保険料総額に対しての保険金受取総額の割合)も高くなりますので、いっけん一時払いが一番得かと思われます。
しかし、一時払いは契約者に万が一のことがあった場合にそれ以後の保険期間分の保険料が払い戻される「保険料払込免除特則(特約)」が適用されないうえ、払込んだ生命保険料に応じて所得税・住民税の負担が軽減される「生命保険料控除」においても不利になります。
これでは学資保険を使って教育資金を準備する意味があまりなくなってしまいますので、一度に保険料を払うのならば「一括払い」にすることをおすすめします。
一括払いにするとどのくらい安くなるの?
では、一括払いにするとどのくらい保険料が安くなるのでしょうか?
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学資年金として大学入学後に毎年学資を受け取るプランより、入学時の一番教育費がかかる時の負担に学資の受取を集中したシンプルなプランです。
■月払いと一括払いの保険料・返戻率比較
月払い | 一括払い | |
---|---|---|
保険料総額 | 約275万円 | 約237万円 |
返戻率 | 109.1% | 126.5% |
(保険契約者:30歳男性、被保険者:子ども0歳、満期金300万円、学資保険満期:18歳の場合)
月々保険料を支払ったときの満期金と保険料支払総額の差は約25万円ですが、
一括払いの場合の満期金と保険料支払総額の差は約63万円。
結構な差が出ますね。
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学資保険における一括払いのメリットは?
まとめると、一括払いには次のようなメリットがあります。
一括払いのメリット
●同じ内容の保障で大きな返戻率が約束される
●途中で解約しても大損の可能性が低い
(数年での解約ならマイナスになりますが、加入して5年以上経過すれば解約返戻金の方が支払保険料を上回ります)
●生命保険料控除も毎年の払い込み期間分が活用できるので、節税効果も期待できる
まとまったお金があるのなら一括払いにするのが有利に見えます。
ですが、一括払いを決断する前に以下のことを知っておいて欲しいと思います。
物価上昇リスクも視野に入れておくこと
上記の試算で見たように、返戻率126.5%というと相当の利回りに感じますね。
しかし、年複利(元本と利息両方に利息を発生させる運用方法)で考えると、237万円を18年後に300万円にするには、1.4%で運用する計算になります。
1.4%というと銀行の普通預金金利よりは良いかもしれませんが、他の金融商品などと比べると残念ながら良い運用とは言えません。
元本割れになるリスクもありますが、一括払いするお金があれば株や投資信託などで運用すればもっと高い利回りで運用できる可能性もあります。
18年後には現在よりも物価が上昇することが考えられますので、安定運用の一括払いの学資保険だけでなく、他の金融商品などと組み合わせて効率良く運用することを考えてみた方が良いでしょう。
【預貯金よりはずっと利回りが良い上、契約者の万が一にも備えられる学資保険】と【リスクはあっても利回りの良い投資信託の積立】などとの組み合わせがお勧めです。
無料保険相談などを上手に活用し、一度保険やお金の専門家であるFPに相談してみると良い方法が見つかるはずです。
学資保険をまとめて支払うポイントまとめ
数百万円一度に支払える資金余力があるならば、学資保険の一時払いの保険料の利回りの良さにだけ注目せず、一括払いの学資保険の機能を有効に活用しましょう。
その方が「保険」で学資を準備する点に意義があります。
また、貯蓄性の高い保険商品に加え、それ以外の金融商品での運用や合わせて視野に入れて学資準備を行うことで、物価上昇に負けない学資準備を目指しましょう。