iDeCo加入を決めたら。よくわかる手続きと金融機関選び

“iDeco”の通称で知られている確定拠出年金。
「どうやら自分も加入条件を満たしているようだ」 「節税や受取時にもメリットがあって是非はじめてみたい」そう思われている方も多いのではないでしょうか。

そこで必要になってくる知識は、手続きと金融機関選びです。特に金融機関選びはとても重要なことで、金融機関によって、将来の受取り金額に差が出てしまいます。
まず金融機関選びの際に一番見て欲しい数字は「手数料」です。
そこで今回は後悔しない、金融機関選びのポイントと金融機関の特徴を比較してお伝えしたいと思います。

手続きに必要な書類と流れ

確定拠出年金のとは、公的年金(国民年金・厚生年金)でまかないきれない不足部分を補う個人年金のシステムです。掛け金、運用方法も自分を選択することができ、60歳以降で受け取ることができます。大きな節税効果や運用のメリット・元本割れの可能性があるというデメリットもありますが、ここでは加入を前提としてその後の手続きや口座開設についてご説明します。

【STEP1】口座開設・申込書の取り寄せ

金融機関から申込書を取り寄せます。国民年金の第1号被保険者と第2号被保険者では申込み用紙が異なるので、書類取り寄せの際は間違えのないように請求してください。

ポイント

この際、疑問や気になることがある場合は窓口やコールセンターに問い合わせるなどして不明点を解消しておくと、後々「知らなかった」ということが防げます。
書面にももちろん契約内容や留意点についてはきちんと記載がありますが、直接説明を受けるとより安心して運用を任せることができます。

【STEP2】書類の記入と返送

以下の書類等の準備が必要です。会社員の場合は、会社側に記入、押印してもらう「事業主確認書」があるので担当部署に提出してください。

  • 加入申出書
  • 事業主確認書(会社員の場合)
  • 確認書(同意書)
  • 身分証明書
  • 引き落とし先の口座番号
  • 基礎年金番号
注意ポイント

記入に誤りがあると加入まで時間がかかるので、特に「掛金の納付方法」「引き落とし先」の項目には注意が必要です。よくわからない場合は、一度確認してから記入しましょう。

【STEP3】審査

審査にはだいたい1〜2ヶ月かかります。審査待ちの間に商品選びをして運用に向けて準備を行うと、あとで慌てないで設定が行えます。

【STEP4】完了・設定へ

無事審査が通るとネットで口座のパスワードや運用の設定を行えるようになります。
そのまま放置しておくと運用益のメリットが減ってしまう場合もあるので、審査通過後は早めに口座設定することをおすすめします。

手数料が重要な理由 同じ商品ならこんなに差がつく!

確定拠出年金には加入時と毎月の運用時には手数料が必ず発生します。
まず、加入時に国民年金基金連合会に2777円支払うのはどの金融機関を利用した場合にも変わりません。その他に固定されている費用は、収納手数料(月額103円)事務委託手数料(月額64円)が掛かるので覚えておきましょう。

受付管理手数料、口座管理料などの手数料が金融機関によって異なります。
この金額がどれだけ違うかというと、金融機関によって最大年額5000円も違いがでます。
例えば、確定拠出年金に25歳から加入して35年間運用した場合、単純に手数料が高い金融機関を選択していると5000円×35年=175,000円の差が出ます。

商品選び、運用の仕方はもちろん大切ですが、必ず固定でかかる手数料は少しでも抑えることも重要になるので積極的に手数料の比較を行ってください。
取扱い商品数の変更やキャンペーンの情報などは日々更新されているので、情報の鮮度をチェックして選択しましょう。

金融機関別の特徴と傾向

確定拠出年金を取扱う金融機関は大きく分けて、銀行、証券会社、保険会社の3つです。
それぞれの特徴を知って、自分にあった金融機関を選びましょう。

【銀行】

店舗で直接、相談ができて加入の手続きのサポートが手厚いのが魅力です。
また、元本保証型といって元本が割れることがない商品のラインナップが充実している点も特徴といえるでしょう。元本保証型の商品には、定期預金や保険があります。現在の利回りは平均して、定期預金で0.01%、保険商品で0.02%ほどです。

ポイント

「リスクをなくして節税を狙いたい」「直接相談して安心して運用したい」という方におすすめなのが銀行です。

【証券会社】

確定拠出年金を投資信託で運用したい方には最もおすすめするのが、「証券会社」です。
取扱う投資信託の商品数は、銀行、保険会社と比べて充実しており、証券会社ならではの厳選した商品も魅力です。元本保証型の商品より利回りがいいのも特徴で、加入者の運用状況から平均して2.9%となっています。
サポート体制はコールセンターになりますが、平日の夜間や土日も受付けている会社もあるので「相談は電話で大丈夫」という方にも良いでしょう。

【保険会社】

保険会社の特徴は、保険商品の利用が可能ということと、保険会社ならではの付帯サービスが受けられることです。60歳以降の給付金の受取り方として、毎年定額を受け取る確定年金と一生涯定額の年金を受け取る終身年金などがあります。
保険商品での平均的な利回りは0.02%ほどです。

ポイント

「まとまった金額を受け取ってしまうと心配」「一生涯年金を受け取りたい」という方にもおすすめです。また付帯サービスで、医療や健康についての電話相談が無料でできるのが嬉しいポイント。

運用手数料無料!ピックアップ2社

一例として運用手数料無料の金融機関2社を取り上げました。
マネックス証券は「これといって運用したい商品がない」SBI証券は「自分で細かく商品を設定したい」という場合に特色を活かせそうなのでご紹介します。
※こちらは2018年8月31日現在のデータです。また利益を保証するものではありませんのでご了承ください。

【マネックス証券】

条件なしで運用手数料が無料というのが嬉しいです。
口座管理手数料には月167円/年額2,004円かかります。
「ロボアドバイザー」の機能があり、質問に答えるだけで自分にあったポートフォリオ(資産分配)を提案してくれる点は「商品は何を選んでいいかわからない」といった投資初心者
にも役立つサービスだと言えるのではないでしょうか。
このサービスは口座開設前にも利用することができるので、ポートフォリオの参考に使ってみるのも良いでしょう。

マネックス証券の評価ポイント!
マネックス証券のここがオススメ!
  • リバース注文(Uターン注文)ができる
  • 少ない金額でスタートできるワン株
  • 商品ラインナップが豊富で、お好みのスタイルで投資が可能
  • 投資判断に役立つ豊富な情報提供
  • 使わないと損するNISA,iDeCoにも対応
  • 「わかりやすさ」を重視した各種ツール
  • 完全平等抽選であるIPO

【SBI証券】

こちらも運用手数料無料の証券会社です。
マネックス証券同様、口座管理手数料には月167円/年額2,004円かかります。
商品数は63種類と非常に多いのですが、サイト内で「信託報酬◯%以下」「国内株式」など条件を入力するとそれに見合った商品が検索されるので「投資商品選びにはこだわりたい」という方にはピッタリだと思います。
またレオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」の取扱いがあり、その運用実績から高い注目を集めています。将来的にどうなるかは未知数ですが、TOPIXを大きく上回る運用実績から人気がでています。

SBI証券の評価ポイント!
SBI証券のここがオススメ!
  • 手数料が安い
  • 貸株金利が高い「貸株サービス」
  • 豊富な取扱い商品
  • ネット証券NO.1のIPO取り扱い実績
  • 夜間取引も可能(PTS取引)
  • 見やすさと高性能の最強ツール「HYPER SBI」
  • 豊富なマーケット情報

もし金融機関選びに迷ったら

運用、投資のことはよくわからなくても「手数料」(口座管理手数料・月額手数料)の数字ははっきりしています。特に投資初心者や「リスクはゼロにしたい」という元本保証派の方は、
トータルの手数料をしっかり試算して金融機関を選びましょう。

そして確定拠出年金は早く加入するほど節税につながります。申込みを行っても最短手続きに1ヶ月程度かかるので、節税メリットが高い人ほど加入を先延ばしにするのがもったいないのも事実です。

現在、キャンペーン的に「口座管理手数料」を一定期間無料にしている金融機関もあって一定の条件(口座残高50万円以上など)に達した場合など、条件によって口座管理手数料が無料になる特典もあります。「無料キャンペーン」の流れは拡大傾向なので、活用しない手はありません。

またランキング形式に確定拠出年金向けの金融機関を紹介しているサイトもあるので、どの金融機関が人気あるのかも目安にもなります。「たくさん金融機関があってどれから見ていいのか…」という場合には上位のサイトから比較してもいいでしょう。

ネットを使えば金融機関の公式サイトを閲覧すれば、手数料や取扱い商品、特色などの情報が一瞬にして手に入ります。
金融機関選びに迷ったらまずは、「口座管理手数料無料」「運用手数料無料」の文字を探してみてください。商品選びは加入の手続き期間でもじっくりできるので、運用する金融機関の口座開設を目指して、随時最新の精度の高い情報収集を行うことが重要です。

執筆者

藤澤環奈/ファイナンシャルプランナー・ライター・会社員
藤澤環奈/ファイナンシャルプランナー・ライター・会社員

介護のため一時離職。FP資格を活かしたライターとしてライフプラン、節約、住宅ローン、教育資金、投資、終活などの記事を多数執筆。その傍らクラウドソーイングセミナー講師を務める。「読者、お客様と一緒に学ぶ」という姿勢を大切にわかりやすい言葉で、等身大のアドバアイスを行っている。


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