元銀行員が教える30代からのお金の管理
30代になり、お金の不安が以前より増した・・・と感じたことはありませんか?
結婚や子供ができたり、転職を考えたりと資産周りも変わってくることが多くなる時期。
一方で、これまでは自分のためだけに使えた給与も、支える家族のために家計全体の管理を考えなくてはいけなくなってくる必要も。20代の頃と比べて、大きな「人生の転機」が多い分、お金の悩みも増えがち。今からすぐ実践できるお金の管理方法をチェックしてみましょう!
目次
貯蓄を考える前に、支出を見直そう!
お金のことを考えるとなると、どうやって貯めようか?と、いきなり貯蓄の方法を考えがちです。しかし、長く続く日本の低金利時代。また、世界情勢が不安定な中、リスクを負いながら投資でお金を増やすことよりも、無駄な支出を減らすことのほうが、実は手軽です。
一番もったいないのは「時間外手数用」
週末の急な出費や、深夜までおよぶ飲み会・・・。気づいたら「財布にお金がなかった!」と慌ててコンビニで引き出していませんか?このような、時間外手数料。習慣化すると、とてももったいない出費になっています。
例:土日(時間外)の度にATMで引き出しをしている場合
- 1ヶ月あたり:216円×4回=864円
- 1年あたり :864円×12回=10,368円
といった、痛い出費になってしまいます。仮に、銀行の定期預金の金利が、0.1%だったとします。1年間1000万円を預けても、税引前の受取利息は10,002円、税引後の受取利息は、7,971円となります。
どれだけの大金を金利の良い銀行に預けても、時間外手数料を払ってしまうと、元も子もなくなります。数百円くらい良いかな?と安易に考えるのはやめましょう!時間外の引き出しを辞めるだけで年間1万円以上の節約になることもあるのです。
時間外手数料がかからない生活にするために!
そうはいっても、平日の日中は忙しく、なかなか銀行ATMには行けませんよね。ましてや、月末になるとATMに長蛇の列・・・。なるべく時間外手数料がかからないように、自分のお金を引き出す方法を見つけましょう!
メインバンクで優遇条件を満たす
今現在、主に使っている銀行で時間外手数料が無料になる方法があるかもしれません。都市銀行や地方銀行は、コンビニのATMを利用すると手数料がかかることが多いのですが、優遇条件を満たすと免除になるサービスを行っている銀行があります。
【優遇条件の一例】
- 住宅ローンの借り入れがある
- 一定以上の金融資産(500万円や1,000万円以上の定期預金等)を預け入れしている
- 銀行発行のクレジットカードを保有している
銀行側から提案を受けていなくて、サービスを知らないケースもあると思うので、1度確認してみましょう!
ネット銀行を活用する
ネット銀行は、自前のATMがない場合が多いです。そのため、コンビニのATMが手数料無料で利用できるサービスが多いという特徴があります。(コンビニATMと提携しているため)
急な出費で、どうしてもお金を引き出す必要があるときのための対策として、コンビニATM用に、ネット銀行で口座開設をしてお小遣い程度の預金を預け入れておくと便利です。
また、ネット銀行のなかには、時間外手数料がかからないということ以外にも、振込手数料が無料になる銀行もあります。合わせて活用するとさらにメリットがありそうですね!
デビットカードを活用する!
今一番おすすめなのは、「デビットカード」です。
時代はだんだん現金を持たないキャッシュレス化に向かっているので、1枚持っておくと便利です。
デビットカードは、クレジットカードとは違い、カード利用と同時に支払い口座から金額が引き落とされる仕組みになっています。口座の残高から引き落とされるので、使い過ぎの心配がありません。
多くのデビットカードは、VISAやJCBのようなカードブランドになります。したがって、デビットカードの多くはクレジットカードが使える店であれば、ほとんど使えるようになります。お金の管理が心配だったり、使いすぎを防ぐために、クレジットカードを普段あまり利用しない方も、この機会に銀行でデビットカードを発行してもらいましょう。
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お金の管理の第一弾。不要な出費を減らすための手段として、銀行に支払っている時間外手数料の対策をご紹介しました。しかし、銀行に払っている手数料は時間外手数料だけではありません。
たとえば、普段通帳を使うことがあまりなく紛失していませんか?通帳の再発行にも手数料がかかることがあります。銀行には、「紛失してしまいました」というお客様が毎日来店されています。お金を預けているだけなのに、手数料ばかり支払っている・・・ということがないように気をつけましょう。
今の貯蓄額は関係ない!まずは今後の貯蓄目的を考えよう!
お金悩みは様々。人と同じ方法ではだめ?
30代は、既婚か独身か、子供がいるのか?でライフスタイルが全く違います。これまでと違い、友人同士でも休日の過ごし方やお金の使い方に差がでてくる時期です。20代まででどれくらいの貯蓄があるかは、収入や家族、マイホームなどの住宅状況でも様々です。
貯蓄ができているか、そうでないかは人それぞれ。大切なことは、これからどのようにお金を使っていくか、考える時間を作ることです!自分が今後何のためにお金を貯めたいのか考えていきます。
何にお金が必要なのか…わかっている人は少ない
あなたは、何か目的をもって貯蓄をしていますか?もしくは、収入全部使い切ってしまうという方もいるかもしれません。実は、多くの場合「将来の何が起こるかわからない不安」のために、なんとなくお金を貯めているケースが多いのです。
貯蓄の目的と、金額や達成時期
ライフスタイルが多様化・分岐する30代。あなたは何のためにお金を貯めていきたいですか?書き出してみましょう!これまでなんとなく貯蓄していて、思いつかない人もいますよね。銀行に来られるお客様に、貯蓄の目的をヒアリングすると、主なものはこちらでした!
単身世帯
- 休暇時の旅行やレジャーなどの趣味
- 老後の生活資金
- 病気やけがの備え
- 将来の結婚資金
- 目的はない
子ども有り・2人以上の世帯
- 子どもの教育資金
- 老後の生活資金
- 病気やけがの備え
- 住宅、車の購入
目標金額と達成時期を明確にしたら、貯蓄の方法を考えましょう!
目的の決まっている貯蓄は「先取り」で徹底!
明確に目的がはっきりしている目標は、「積立定期預金」を活用しましょう。
積立定期預金とは、銀行等で扱われている積み立て型の定期預金です。一般的には、毎月5,000円以上の積み立てをすることができます。積み立ては、銀行口座から自動振込されます。
ポイントは、給与が入ってきたと同時に積立定期預金に振り替えるようにすることです。
これを「先取り貯蓄」といいます。毎月生活をして残ったお金を貯金となると、なかなか決まった金額貯金することは難しいです。
積立定期預金で、給与振込と同日に、毎月決まった金額振り返れば、気づいたら使ってしまっていた!というのを防ぐことができますよ。
金利は、低金利なので僅かですが、解約するときに元本割れすることはないので、車の購入や、旅行などのお金を貯めたい方はおすすめです!
病気やけが・介護の備えは医療保険を!
ただ漠然と「将来病気になったら不安だから」「病気になって働けなくなったらどうしよう」という理由で貯蓄をしたい方は、現在加入している医療保険の見直しをしてみましょう。
40代、50代と年齢を重ねてから加入するよりも保険料が安くなりますし、必要な保障によって加入することが出来るので、安心して生活することができます。
「親が確か医療保険を払ってくれているはず。」「医療保険に入っているから大丈夫。」と言う方、万が一病気になったときには、いくら保障されるかご存知ですか?自分ではよくわからない方は、プロのFPに相談したり、契約した保険会社に再度確認してみましょう。今の加入内容を把握することがまずは大切です。
不安だからお金を貯めたいという方は、何が不安なのか具体的に考えていくことで、貯蓄の目的も明確になり、貯め方も変わってきます。
筆者は、出産のときに緊急の処置を行ったことから、医療保険が支給されました。加入している保険にもよると思いますが、「何かわからない不安」があるなら、早めに加入しておくとお守り替わりになりますね。
子どもの教育資金・老後の資金
直近数年間で使いたいお金ではないけれど、将来のために備えたいお金。子どもの大学進学まで時間がある場合や、自身の老後を心配して少しでも貯めておきたい!という方は、長期で運用することができる資産運用がおすすめです。
資産運用というと、「まとまった資金がないとできないのでは?」「富裕層がやるものじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、今は、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる「NISA(少額投資非課税制度)」や、生命保険控除が利用できる「個人年金保険」など、少額から始められる商品や税金が優遇される制度があります。
子どもの教育資金や老後の資金。まだまだ先のこと・・・と考えていませんか。少額でも良いので、少しでも早く資金準備をスタートしましょう。
たとえば、児童手当。目先の支出に使っていませんか?銀行のお客様には、児童手当を積立定期預金にしたり、個人年金保険や学資保険を契約して”18歳まで使わないように”管理するようおすすめしています。できれば0歳児から始めて、積立期間を長く設定しましょう。
自身のリスク許容度に合わせて、長い時間かけてお金を運用することが大切です。
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セールストークに惑わされないためにも、目的をはっきりと!
今後お金を管理する上で、金融商品などを契約することがあると思います。窓口に出向いて、「いい商品がありますよ」と紹介されたり、「人気があります」と提案を受けることもあります。
しかし、30代以降は学生時代のような「右にならえ」の世代は終わっています。みんながやっているからと、自分も契約することはやめましょう。
生き方も、家族構成も、仕事も自分だけのオリジナル。お金の貯め方や使い方も今の自分に合ったものを選ぶべきです。
商品を提案してくれた人は、本当にあなたの貯蓄の目的を理解していますか?これから老後の資金も貯めていくうえで、30代はとても大切な時期です。金融や運用の知識を高め、資産運用を楽しみながらお金の管理をしていきましょう!
執筆者
lany
某地方銀行にて約8年間、窓口業務や個人のお客様向けの営業を担当。銀行の実店舗以外に、銀行本部での営業部門の経験および新規店舗開店の戦略室に勤務。担当したお客様の多くは、退職金の資産運用や高齢者の方の相続対策が主であったが、若年層向けの住宅ローンや、資産運用相談も担当経験有り。「親切、丁寧」をモットーに、運用のアドバイスを行っています。