株の信用取引は現物の約3倍の取引が可能!
株の信用取引と聞くと、なんだか難しそうなイメージですが、簡単な言葉で説明を受けることができれば、それほど難しいものでもないのです。
現物取引と信用取引の大きな違いは、現物取引が現金を元に売買を行うのに対して、信用取引は現金や株などを担保にして、証券会社から現金や株式を借りて売買を行うことができます。
信用取引は、現物取引に比べ大きな損失が発生することもあります。
そこで、初心者にもわかりやすく株の信用取引について説明いたします。
株の信用取引とは
まず、株の信用取引について説明しましょう。
現物の株式取引と信用取引とでは、何が異なるのでしょうか。
株式の現物取引では、顧客の口座にある現金を元に株式の売買を行います。
しかし、信用取引は、現金や株式などを担保としてまず証券会社に預けることにより、証券会社から現金や株式等を借りることができ、それを元に売買を行います。
この点が現物の株取引と信用取引との最大の相違点です。
株の信用取引のメリット
株の信用取引は、現物株にはないメリットがあります。
そこで、株の信用取引のメリットについて、初心者にもわかりやすく説明いたします。
信用取引の特徴として、証券会社から資金や株券を借りて担保の評価額の約3倍の金額の取引ができるようになることです。
例えば、50万円を入金した場合を考えてみましょう。
現物の株式取引であれば、50万円で株価50円の株が1万株しか買えませんから、10円上昇した場合であれば10万円の利益となります。
一方、信用取引では、およそ150万円分の取引を行うことができます。
50万円を信用取引口座に入金し、50円の株を信用取引で3万株買ったとした場合、株価が10円上昇すると、30万円の利益が生じることとなります。
50万円投資し、株価が20%上昇した場合の現物取引と信用取引との利益の差が20万円となることを考えると、その違いの大きさを理解して頂けるのではないでしょうか。
信用取引の大きなメリットとしては「空売り」ができることが挙げられます。
現物の株式の売買で利益を上げるのは、買った株の株価が上昇し、買値よりも高い株価で売却した場合にのみ利益を上げることができます。
しかし、信用取引の場合であれば、買う場合だけではなく、売りから入ることができるのです。
つまり、株価が下がれば下がるほど、利益は大きく上がるということになります。これは一般的に「空売り」と呼ばれます。
どのような仕組みかというと、保証金や有価証券等を担保に証券会社から売付け株券を借りてその株を売ります。
これを「売建」といい、売建てた株券(売建玉)は、主に返済買いをおこなって決済することとなります。
よくある使い方としては、株を長期間持っていると、必ず下落局面が訪れるものです。
こうした際に、保有株式を売り建てることにより、下落局面で生じた現物株式の評価損を売り建てた分で相殺させることができます。
相殺することを「つなぎ売り」といいます。
もちろん、現物株を保有していなくても、大幅な調整局面が訪れるという際には売り建てるだけを行うこともできます。
これからの中央銀行の出口戦略が議論されていく中では大きな利益を上げる手法となるかもしれません。
もう一つのメリットとしては、現物取引とは異なり、同じ資金で一日に同じ銘柄を何回でも売買することができることです。
現物取引では、一日の中で、同じ資金で同じ銘柄を売買することはできません。
例えば、口座に100万円あるとして、現物取引においてAという株を80万円買って、その日のうちに80万円で売却し、さらにその日で再び80万円分の同じ株を買おうとしても購入することはできません。
しかし、信用取引では、同じ資金で同じ株を何度も購入することができるため、委託保証金が30万円あるとして、Aという銘柄を80万円買って、80万円で売る、ということを何回でも繰り返すことができるのです。
つまり、「日計り取引」を何回でも繰り返すことができるということです。
デイトレーダーにとっては大変大きな魅力なのではないでしょうか。
株の信用取引のリスク
信用取引は、現物取引同様、取引の対象となっている株式等の株価変動等により損失が生じるおそれがあります。
また、信用取引は差し入れた担保を上回る金額の株式取引を行うことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。
その損失額は差し入れた担保以上になる可能性もあります。
こうした点において、現物取引よりも信用取引のほうがリスクは大きいといわれます。
また、担保として預けているものが現金だけではなく、株式等の有価証券が含まれている場合、有価証券の価値が下がると、取引できる金額も縮小してしまう場合があります。
つまり、場合によっては信用取引で取引をしている株式では利益が上がっていても、担保となっている株式が大きく下落してしまったために、後述いたしますが、追加証拠金を必要とする場合があります。
このように、株式の信用取引は現物取引よりもリスクが高いため、株式の信用取引を行うには、通常の口座を開設したうえで、それとは別に信用取引口座を開設する必要があります。
そして、この信用取引口座を開設する際には、簡単な審査があります。
これは、信用取引は現物の株式取引よりもリスクが高いためであり、資産や年収や、投資経験などが問われることがあります。
株の信用取引について知っておくべきこと
株の信用取引は、保有している資産の時価が下がると追加証拠金(追証)といって追加で資金を入れなければならなかったり、現物株と違って金利の支払いがあったりという仕組みがあります。
まず、信用取引を行うためには、一般的に信用取引口座に少なくとも30万円を入金する必要があります。
これは、法律で定められた金額で、この金額を下回ると、信用取引で新たに買い建てたり、売り建てたりすることができません。
ただし、30万円を入金したとしても、必ずしも毎回利益を上げられるわけではないでしょうから、余裕を持って入金しておくことをお勧めします。
また、証券会社によって定められた委託保証金最低維持率(追証ライン)を下回ると、不足額を所定の時限まで証券会社社に差し入れるか、建玉を決済する必要があります。
次に、金利や貸株料について説明します。
信用取引をする際の「信用買い」や「空売り」をするためには、証券会社から現金や株式を借りて取引を行うわけですが、その借りるためのコストが金利や貸株料です。
信用買いを行う際は金利が必要となり、空売りをする場合には貸株料がかかります。
売買機関が短いと大した金額ではありませんが、期間が長くなればなるほど大きなものとなるので注意する必要があります。
まとめ
信用取引は、現金や株式などを担保としてまず証券会社に預けることにより、証券会社から現金や株式等を借りることができ、それを元に売買を行います。この点が現物の株取引と信用取引との最大の相違点です。
また、信用取引のメリットは、差し入れた担保の約3倍の金額の取引ができること、下落局面でも利益を上げることができる「空売り」をすることができること、そして、日計り取引を何度でも行うことができることが挙げられます。
信用取引は、差し入れた金額以上の金額で運用できることからリスクが高いといえます。
そして、証券会社から現金や株式を借りて運用することから、金利や貸株料がかかることも覚えておく必要があります。
信用取引で損失が出た場合が、追証という追加証拠金を支払う必要があります。
信用取引はうまく使いこなすと大きな利益を上げることができるものです。
皆様が大きな利益を上げられることを祈念しています。