株主になるには「権利付き最終日」までに株を買うこと!決算時期もチェック
株を買ったことのない人にとって、株式投資はわからないことだらけの世界です。
株は、銀行では買えません。
「あの会社の株を買って儲けたい」「あの企業は有望そうだから株主になりたい」と思ったら、証券会社に新たに口座を開く必要があります。
証券口座を開いたら、欲しいと思った銘柄の株を買うのに必要なお金を入金します。
「この会社の株を買います」という注文を発注して取引が成立すると、ようやく株を買って、その会社の株主になることができるのです。
目次
株主になるためのプロセス
株を買うというのは、その会社の株主になることです。
昔は株を買うと実際に株券を手に入れることもできました。
しかし、2009年以降は紙ベースの株券が廃止され、株の取引は「証券保管振替機構」(略して「ほふり」といいます)という公的な機関を通じた電子取引に一本化されました。
よく「会社が倒産して株券が紙クズになった」という表現がありますが、実際の株券はもうないので、この表現は適切ではありません。
証券会社を通じて株の取引を行なうと3営業日後、つまり中2営業日を経た翌日に、証券保管振替機構に電子管理された株主名簿に株主としてあなたの名前が記載されます。
株主名簿に記載されると、企業から実際に株主と見なされ、株主配当をもらえる権利や株主総会の議決権を獲得できます。
多くの会社では、こういった株主の権利を獲得できる基準日をその会社の事業年度の最終日、決算期末に設定しています。
しかし、決算期末の日に慌てて株を買ってもその権利は得られません。
なぜなら、先ほど見たように証券保管振替機構の株主名簿に株主として名前が登録されるのに3営業日かかるからです。
つまり、決算年度の株主になるためには、決算期末の確定日当日を含まないで3営業日前に株を買っておく必要があり、その日は「権利付き最終日」と呼ばれます。
権利付き最終日の翌日は、その日に株を買っても配当など株主の権利を獲得できないので、「権利落ち日」と呼ばれます。
たとえば、2018年3月末が決算期末の会社の場合、31日が土曜日のため、30日(金)が決算期末になります。その3営業日前の3月27日(火)が権利付き最終日です。
口座を開く証券会社を選ぶ基準
株を買うための第一関門は証券会社に口座を開設することです。
証券会社といって、あなたがパッと思いつくのは大手証券会社の「野村證券」や「大和証券」でしょうか?
2社ともテレビCMなどを頻繁に流しているのでご存知でしょう。
証券会社には、店舗があって窓口で株が買える証券会社のほかに、店舗はなくインターネット上だけで取引可能なネット証券もあります。
証券口座は、口座といっても銀行口座のように給与の受け取りや、他人に振込送金をすることはできません。
基本的に自分名義の銀行口座や専用のATMカードからしか入出金ができません。
ただし、証券口座に入金したお金は、株を買わないうちは「マネー・リザーブ・ファンド(MRF)」という元本割れがほとんどない投資信託で自動的に運用される証券会社も多く、銀行の普通預金と同等かそれ以上の金利がつきます。
晴れて証券口座に自分名義の口座を開設したら、ようやく株の取引ができるようになります。
株を取引するときは、証券会社が注文を取り次いでくれるのですが、注文が成立すると証券会社に「売買委託手数料」を支払う必要があります。
野村證券の店舗で、100万円支払って株を買った場合にかかる手数料は1万1967円(税込)です。
ネット証券ですと、最安値水準の会社の場合、手数料は367円しかかかりません。
手数料に関してはネット証券が圧倒的に有利です。
むろん、株のことがまったくわからない人やインターネットの操作が苦手な人は、店舗型証券会社の有人サービスやコールセンター経由での注文を利用することもできます。
証券口座開設をするまでの手続き
「この証券会社で株の取引がしたい」と決めたら、いよいよその会社に口座開設するための申し込みをします。
証券口座を開設するには、銀行口座と同様に、氏名、住所、電話番号などの個人情報のほかに、本人であることを証明するための本人確認書類の提出が必要です。
本人確認書類はパスポート、運転免許書、各種健康保険証、年金手帳などです。
2017年1月からは証券口座の開設にマイナンバーの登録も必要になりました。
マイナンバーに関しては、マイナンバーだけが記載されたマイナンバー通知カードのほかに、顔写真入りの個人番号カードがあります。
個人番号カードの場合はそれ1枚の提出だけで口座開設できるので大変便利です。
金融商品取引法では、会社の関係者が株の価格に影響を与えるような情報を事前に入手して、その発表前に株の売買をすることを禁じています。
こうした不正取引を「インサイダー取引」といいますが、証券口座を開くときは、それを防止するために自分の勤務先情報も伝える必要があります。
また、投資経験や金融資産の有無なども聞かれます。これは証券会社が法律で決められた投資家保護や金融商品の説明責任を果たすためです。
投資経験がなかったり、金融資産が少なかったりしたら証券口座を開けないわけではないので、ご安心ください。
株式を購入する資金を証券会社に入金する
証券口座の開設には審査があるため、通常、1週間程度かかります。
晴れて証券口座を開設できたら、いよいよ株の取引です。
株の価格は「株価」と呼ばれています。
株を買うには株価×株数の資金が必要です。それに証券会社に払う手数料を加えたものが株の購入代金になります。
たとえば、株価が1000円の株を100株買う場合に必要な資金は1000円×100株で10万円です。
株を市場で買うときは1株単位で買えるわけではなく、100株単位、1000株単位といったように最低限の取引ができる、まとまった株数が決まっています。
「この会社の株が買いたい」と思ったら、その株が市場では何株単位で取引できるかのチェックも必要です。
自分が買いたい株を買うのにだいたい、いくらぐらいのお金がかかるかわかったら、証券口座に入金します。
入金は、自分名義の銀行口座から証券会社が指定した自分専用の振込口座などに資金を振込送金して行います。
ネット銀行や通常の銀行のインターネット支店から証券口座に振り込み手数料無料で送金できる「クイック入金」というサービスも充実しています。
株価は日々の取引で上がったり下がったりしているので、だいたいこのぐらいのお金が必要だなとわかったら、多少、多めの資金を口座に送金したほうがいいでしょう。
実際に株の買付注文を出す方法
入金が完了したら、いよいよ株の取引です。
株を買うときは、自分が株を買いたい企業の名前、何株買うかという株数、いくらで買うかという株価などを伝える必要があります。
その注文をどの期間、発注し続けるのか、注文の有効期限も伝えます。
実際の株の注文には、「〇〇〇円で買いたい」と株価を指定して注文する「指値(さしね)注文」と、「いくらでもいいから買う」という「成行(なりゆき)注文」があります。
成行注文の場合は、そのとき、市場で発注されている「この株価で売りたい」という売り注文の中の、一番株価が高い注文との間で売買が成立して、株を買うことができます。
ちなみに株の売買注文が成立することを株式用語では「約定(やくじょう)」といいます。
一方、指値注文の場合は、指定した〇〇〇円という株価で「その株を売りたい」という売り手の投資家で登場してくるまで売買は成立しません。
自分が買いたい株価で必ず買うことができ、高い値段で株を買うリスクがない点が長所です。
まとめ
株式投資には元本保証はなく、買った株の株価が下がって損をするリスクがあることから「怖い」「危ない」と敬遠する人も多いと思います。
確かに株価が下がると損をしますが、逆に株価が値上がりしたあと買値よりも高い値段で売れば儲かります。
また、株を買って株主になると、毎年高額な株主配当をもらえる会社も多数あります。
株主になってくれたお礼に自社商品券や金券などを贈呈してくれる株主優待制度を導入している企業もあります。
株を買って株主になるメリットを思い存分、楽しみましょう。
元証券会社社員の補足ポイント
●買いたい株の決算時期を必ずチェックしよう!
日本の企業の多くは決算時期が3月で、9月に中間決算を行うところが多いのですが、小売業の会社は2月決算が多いという特徴があります。
イオン、セブン&ホールディングス、高島屋、ローソン、ファミリーマートなどは、すべて2月決算です。
また、家具や生活用品を販売する「ニトリ」は、決算月を月末ではなく2月20日にしています。
株主になるには、決算時期がとても重要になります。2月決算の企業なのに3月決算と勘違いをして購入した場合、せっかく株を買っても今期の株主にはなれないからです。
必ず、買いたい株の決算時期を確認してから株を買う様にしてください。